表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/106

ドラゴンさんの子育て日記㉔

新聖歴891年 守月の一日


 日が経つのは早い。もう守月が来てしまった。ライラが今月王都なる場所に向かう。我はそれを実感すると何だか泣きたくなった。


 新聖歴891年 守月の四日


 番と幸せになる、というのは幸福なことだ。ライラはきんきらきんと番になることを望んでいる。

 ライラはきんきらきんと一緒になれることに、それはもう嬉しそうに微笑んでいた。なればこそ、涙など見せるべきではない、とは我は思う。しかし寂しいものは寂しい。

 ラオがそんな我に気づいて慰めてくれた。


 新聖歴891年 守月の九日


 結局、ライラへのプレゼントに関しては結婚式なるものの時に渡すことにして、竜の鱗だけをライラが王都に行くときに渡すことにした。

 我ら高位竜の鱗はそれだけで魔物を寄せ付けなかったりするからの。それだけでは少し心配だが、結婚式までの間にライラがそれほどの危険に見舞われるとは……正直思いたくない。きんきらきんもライラに何かあったら我らが動くことも分かっておるだろうし、大丈夫だろうとラオが言っておった。だから、我も結婚式までは大丈夫だと思っておく。

 

 新聖歴891年 守月の十一日


 きんきらきんがもうこちらについてしまった。ライラを迎えに来たというが、早いぞ! 我はきんきらきんが少しでも遅れて到着してくれればと願っておったのに。どうしてそういう時に限って早くたどり着いたりするのだ。


 新聖歴891年 守月の十二日


 昨夜はきんきらきんたち一味は泊まっていった。護衛とか言うやつもいたのできんきらきんたちはそれなりに数がいた。

 明日ライラを連れて王都に向かうそうだ。……ライラに何かあったら許さぬからな? ときんきらきんが護衛として連れてきたらしい存在にいったら青い顔をして首を振っていた。護衛とはライラを守ってくれる存在らしいからの、ちゃんと守ってもらえるように言うのは当然である。


 新聖歴891年 守月の十三日


 ライラが。我のライラが行ってしまった。

 ライラは竜の鱗をもらえただけでも喜んでいた。でももっと盛大なプレゼントがあるのだからなとライラの様子を見ながら結婚式で渡した時にどんな風に喜んでくれるかと楽しみになった。

 きんきらきんは必ず守ってみせます、などといっていたので当然だという意味を込めて咆哮をあげたら腰を抜かしそうになっておった。そんなので大丈夫であろうか、と心配になった。

 そしてライラを見送り終えるまで我慢していたが、我はもう限界で、見送った後に泣いた。ライラがいないと、我寂しい。


 新聖歴891年 守月の十五日


 ルグネと子竜たちも寂しそうだ。我も、寂しい。



 新聖歴891年 守月の二十日


 ライラは無事王都なる所にたどり着いたのだろうか。

 人の身には旅をするだけでも負担だと聞いたことがある。

 我、ライラが心配になってきた。


 新聖歴891年 守月の三十日


 手紙が来た。無事に王都についたらしい。良かった。我、安心。


 新聖歴891年 威月の二日


 ミカガネとラオに結婚式に参加するなら衣装を準備しなければといわれた。竜体での参加は駄目だと。それでいて人型の時も結婚式としての服装があるのだと。

 

 新聖歴891年 威月の四日


 ラオに結婚式の日付が決まる前に一度、王都に行かないかといわれた。

 ライラにも会えるし、結婚式用の衣装となるとそういうところで準備したほうがいいらしい。竜体で途中まで飛んでいったらすぐつくからとも言われた。


 新聖歴891年 威月の十日


 王都についた。ルグネや子竜たち、あとミカガネと母君も一緒である。ライラの結婚式のための衣装を作るのである。王都というものは竜体で飛べば中々近いのであるな。

 お金なるものの使い方など我には分からないので全てラオ任せである。ラオ、凄い。

 衣装を頼みに行った。ラオ、わざわざ結婚式できるものを作ってもらおうとしておる。なんか我に似合うものを用意するのだと張り切っておった。ミカガネと母君も人型で着飾ったりとか全然したことないからか楽しそうだった。皆の分作ってもらうらしい。子竜たちとルグネもである。


 新聖歴891年 威月の十一日


 ライラのいる場所に突撃しようとしたら、ラオにちゃんと手続き踏まなきゃといわれた。

 別に会いたいから会いに行くでいいではないかと思ったが、貴族の家だとそうはいかないらしい。面倒だのう。

 ライラに会いにいこうとしたら人間に止められるし、ラオが止めてくれなきゃ痛い目に合わせてしまったかもしれぬ。

 その後、ライラに会えた。ライラ、人型の我に抱きついてきた。ライラ、再会が嬉しいといっておった。我も嬉しい。

 ライラになんかあったら許さぬと、周りにちゃんと知らしめて、一旦帰った。



 新聖歴891年 威月の二十二日


 ライラの結婚式は来月になるらしい。そんな手紙が来た。我、楽しみ。

 プレゼントをあげたらどれだけ喜んでくれるだろうか。

 ライラが傍に居ないのは悲しいし、寂しいけれど、我はライラが幸せそうなのは嬉しい。



 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ