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ドラゴンさんの子育て日記⑯

 新聖歴890年 守月の一日


 国の一族の長がやってくるという事が終わって、ライラがほっとしていた。

 よくわからないが、ただの村娘であるライラからしてみれば2号達と会うのには緊張してならないようだ。

 2号の子供がいつ遊びに来るのだろうかと考えて身を震わせておった。


 新聖歴890年 守月の七日


 巣穴の中でのんびりと過ごす。今日はやけに眠い日で我はよく寝ておった。

 起きた時、寝すぎとミカガネに怒られた。


 新聖歴890年 守月の十二日


 村に顔を出した。村には我が与えた魔物避けのおかげで魔物が寄りつかないが、村を訪れる行商人が魔物を見たらしい。

 退治できないでしょうかと聞かれたので承諾する。村のものたちには、ルグネの事でお世話になっておるからの。


 新聖歴890年 守月の十五日


 なんかライラに我とラオの像を村人が建てようとしていると聞いた。

 魔物避けや魔物退治の感謝をこめてらしいが、少し恥ずかしいのである。


 新聖歴890年 守月の十九日


 ラビノアとシノウールは互いを呼び捨てで呼んでおる。そしてルグネの事は兄さんと呼ぶ。

 ドラゴンの子であり、生まれた時からそれなりに知性のあるラビノアとシノウールは、人の子であるルグネを兄とするのに最初は躊躇していたようだが、一緒に暮らしているうちにちゃんとルグネが「兄」という認識になったらしい。良い事だ。


 新聖歴890年 守月の二十二日


 ルグネは赤子の頃から我が傍に居るのもあって、ドラゴンの鱗を触るのが好きなようだ。

 嬉しそうにいつも触っている。そして自分にはそれがない事を悲しそうにしている。

 空を飛べる事を羨み、鱗が欲しいという態度のルグネ。やはり、空を飛べるようにさせてあげたいと心の底から思う。


 新聖歴890年 守月の二十六日


 ライラに人の世の事を聞く。

 我の友人は人の中でも異端であり、我と対等に渡り合えるほどであった。

 しかし人という種族はそういうものではない。

 ルグネに空を飛ばさせるにあたって、ルグネの魔法の才能というのも重要であるとライラはいった。

 人は魔力を少なからず所持しているものらしいが、魔法を使えるものはそうはいないらしい。

 友人の話をしたら、本当にその方は人間ですか?と驚かれた。

 まぁ、あの友人は生前から本当に人間か?と同じ人に問われていたようだからの。



 新聖歴890年 威月の五日

 

 我、ラオ、ミカガネ、ライラで最近よく話し合いをする。

 子供たちについての子育て会議である。

 ライラは最初遠慮していたのだが、ライラも我の家族のようなものと言ったら参加してくれるようになった。

 子育てというものは難しい。番が亡くなり、雌のみで子を育てたドラゴンの話を昔へぇーと軽く聞いていたが、子育てをしている今考えるとそのドラゴンを尊敬する。子育ては大変だ。


 新聖歴890年 威月の七日


 ラビノアとシノウールは、我やラオ同様長い時を生きるだろう。でもルグネは、人の身であるから数十年で寿命を迎えてしまう。

 それを改めて考えると我は悲しくなる。

 友人を亡くした時も、我は悲しかった。

 ルグネが生涯を終えた時、我はとても悲しくなるだろう。想像だけでもこんなに悲しいのだから。

 でも拾わなければよかったとは思わない。ルグネを拾って、我はルグネから沢山のものを与えられた。

 ルグネを拾ったから騒がしい、楽しい今がある。

 ルグネの生は我らより短いけれど、ルグネは我の息子だ。


 新聖歴890年 威月の十日


 ラビノアとシノウールは宙には浮けるようにはなった。

 でもまだ空を飛ぶという事は出来ないようだ。子によってすぐに飛べるものもいれば、中々飛べないものもいると聞く。

 ラビノアとシノウールはどのくらいで飛べるようになるのであろうか。


 新聖歴890年 威月の十五日


 ライラが怪我をした。実家で過ごしている時に地の揺れがあり、物が落ちてきたらしい。

 慌てて治癒魔法をかけた。我、治癒の魔法はそこまで得意ではないのだが、ライラが怪我したのを見て、改めてもっと治癒魔法を得意になろうと考えた。


 新聖歴890年 威月の十七日


 ミカガネがドラゴンについての事を改めてラビノアとシノウールに教えていた。ルグネも一緒に聞いていた。

 ドラゴンは色によって属性がわけられている。我は白竜であり、光や治癒といった魔法属性を元から持っている。とはいっても治癒は正直あまり使わないので得意ではない。

 ラオは黒竜であるから、闇や破壊といった魔法属性である。赤竜は炎だったり、青竜は水だったりそういうものを生まれ持っている。


 新聖歴890年 威月の二十日


 ルグネが魔法を使えるかどうかは、ルグネがもう少し大きくなったら試して行こう。魔法が使えたら、空を飛ばせてあげたい。というか我がルグネも連れて空の散歩をしたい。


 新聖歴890年 威月の二十五日


 ルグネ、ラビノア、シノウールという我が子たちが可愛すぎて愛い愛いと言っていたら、ミカガネに呆れた目で見られた。

 ミカガネも五ヶ月ほどもうここにいるわけだが、ルグネを拾う前の我を知っているからかそういう目で見られるらしい。

 あと少しずつ我とラオが番った事が種族の中で広まっているから他の竜がやってくるかもと言われた。





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