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幕間 ドラゴンさんの旦那さんとは。

 ザイドラ村の近くに住まうドラゴンさん。

 そんなドラゴンさんの夫に収まったのは、真っ黒な鱗に覆われた黒竜である。

 白竜であるドラゴンさんも、黒竜であるドラゴンさんの旦那さんも、高位竜と呼ばれる存在である。

 竜騎士たちの従える下位竜とはくらべものにならないほどの強さを持ち合わせた竜種。

 さてドラゴンさんの旦那さんに収まった黒竜は、ドラゴンさんの事が大好きである。

 それは時々しかドラゴンさんとドラゴンさんの旦那さんを見ることがかなわない村人たちにとっても周知の事実である。

 なぜかって、毎回村に降りてくる度に自分以外の雄は近づけないとばかりに警戒しているからだ。

 それもあって村人達は中々不純な動機がなくてもドラゴンさんに近づけなかったりもするのだが、ドラゴンさんは気づいた様子もない。

 村人たち誰もが薄々気づいていた事だが、ドラゴンさんは中々鈍い。

 そしてドラゴンさんの旦那さんは心が狭いというか、嫉妬深いというか、ドラゴンさんに近づくものを許さない。

 それはなぜかといえば、なんというか、ドラゴンさんの旦那さんは正直浮かれているというのもあるのである。

 そもそもこのドラゴンさんの旦那さん。人間でいうと幼馴染という立場にある。幼い頃から、それはもう昔からドラゴンさんが大好きで、ドラゴンさんに求愛し続けてきたのである。

 その時間、三百年以上という筋金入りである。

 幾ら求愛しても、興味がないと断られ続け、周りのほかの竜たちからも『あんな竜やめて私と――』という誘いもかなりあった(ドラゴンさんの旦那さんはもてもてである)が、それを振り切っての三百年である。

 愛しいドラゴンさんは自分がもてる自覚もなしに好き勝手に生きているので、気が気じゃなく、近づく雄に警戒し続け、ドラゴンさんの傍に居続け、雄を近づけなかった。

 ドラゴンさんが特に嫌がる素振りもなかったので良かったが、一歩間違えればストーカーである。

 ドラゴンさんが自分を嫌っていないのもなんだかんだでわかっていたが、ドラゴンさんは「興味がない」とあしらっていた。しかしドラゴンさんは急に何かに興味を持ち出す性格だとドラゴンさんの旦那さんは知っていた。

 人間にも興味がなかったのに、あるとき人間の友人が出来たなどといって人間に興味を持ったりしていたドラゴンさんである。急に結婚に興味があったその辺の雄でいいかと突拍子もない行動をする恐れもあったのだ。

 ドラゴンさんの旦那さんとしては、自分が見ていない間に誰かとくっついたら嫌だという思惑もあり、よくドラゴンさんの元へ顔を出していた。

 そんな感じで三百年過ごしていたため、竜たちの世界の中でドラゴンさんとドラゴンさんの旦那さんはそれなりに有名である。本人たちはあずかり知らぬ事だが、ドラゴンさんとドラゴンさんの旦那さんがくっつくか、もしくはくっつくならどういう場合かなどと面白がって賭けがなされていたりもしていた。

 まさか人間の赤ちゃんを拾って、興味から番うとはだれも想像していないだろうが。

 ドラゴンさんが人間の赤ちゃんを拾い、自分を番に選んでくれただけでもドラゴンさんの旦那さんとしては歓喜していた。三百年ごしの片思いがかなったため、もう喜んで仕方がなかった。

 人間に対して好印象はなかったものの、人間の赤ちゃんのおかげでドラゴンさんと番えたと思うといとしいというのが最初の赤ちゃんに対する感情であった。

 まぁ、そうしているうちに本当に人間の赤ちゃんに愛情を持ったり、ドラゴンさんが親しくしている少女と仲良くなったりしたわけだが。

 それに加えて、なんとドラゴンさんが自分をすきなどと言い始めてドラゴンさんの旦那さんは感涙である。気づかせたのが人間の少女という事もあって、その少女への感謝は計り知れないほどになっている。

 三百年越しの片思いが実り、なおかつ、すきなどといわれ、ドラゴンさんの旦那さんは嬉しくて仕方がないのである。

 正直番に選ばれたのは嬉しかったが、ドラゴンさんは子づくりを終えたら用済みと自分を放置しそうと思っていたからだ。番えただけでも幸せでももっと一緒に居たいななどと思うのは当然である。それがかなってドラゴンさんの旦那さんは幸せそうである。

 子竜も生まれて、人間の赤子と共にドラゴンさんの旦那さんは幸せを謳歌しているのであった。





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