ドラゴンさんの子育て日記92
9/1 本日五話目
新聖暦899年 深月の一日
我らは分からないが、人のルグネには寒さを感じる時期になっている。
大きくなるにつれて魔法を使って温めているからかルグネは体調を崩さなくなったが、ルグネが風邪をひいたら大変なので、母が温めるというのを口実にぎゅってした。
風邪をひいてほしくないのも、ぎゅってしたいのも本音である。
新聖暦899年 深月の四日
街で流行っている風邪だが、街になって治す場所も充実してなんとかなりそうらしい。街になっててよかったって長2号が言ってた。
新聖暦899年 深月の七日
学園への入学手続きはきんきらきんが全部手配してくれているのである。来年の流月までには学園都市にいるようにって手紙で言ってた。あと必要書類とかも色々手紙と一緒に送ってきた。
書類が入っているからか、きんきらきんの所の騎士が持ってきてくれた。
新聖暦899年 深月の十日
なんかシノウールに胸をじーっと見られた。なんじゃ? と思って問いかければ、「私もお母さんみたいに大きくなるのかな?」と聞かれた。
竜である我らにとって人の時の胸の大きさなどどうでもいいことだと思うが……、まぁ、シノウールは人の子と関わって生きてきたから大きくなってほしいのかもしれない。
そのうち大きくなるだろうって答えておいた。
新聖暦899年 深月の十四日
今日はラオと二人で子達への入学祝いのための話し合いである。子たちに隠れてこそこそしていた。サプライズであげたい我であった。
新聖暦899年 深月の十九日
街では来年出来る学園に入学する準備をしているらしい。なんか制服も出来てた。そっちも愛いものだった。
街の子供たちも昔から知っていて、我が子達と遊んでくれている子たちなので、我は街の子達が元気に過ごしていると嬉しい。
新聖暦899年 深月の二十四日
今日は家族で寄り添って眠った。温かくて気持ち良い。この時間が我は好き。
新聖暦899年 深月の三十日
子達がミカガネと一緒に出掛けて行った。
我はラオと贈り物の準備である。
新聖暦899年 氷月の一日
ルアノもルグネたちと一緒に学園に行くのだが、子たちが制服と言うお揃いなのに自分にはお揃いがないと鳴いていた。
ミカガネが器用に制服と同じ色の飾りを作ってつけていた。ルアノが喜んでいた。よかった。
新聖暦899年 氷月の五日
街の長が亡くなった。階段から足を踏み外して、打ち所が悪くて死んだらしい。我、悲しかった。
体が痛いとか言っていたが、まだ元気そうだったのに。
お別れの儀式が行われた。
新聖暦899年 氷月の七日
ぎゅっとルグネの体を抱きしめる。街の長の死は、本当に人は簡単に死ぬなぁって思わせるものだったから。
ルグネは「大丈夫だよ」って言ってた。ルグネは我らに鍛えられて強くなったからって。十一歳の息子に慰められた。
ああ、なんて優しく愛い子か!!
新聖暦899年 氷月の十一日
ルグネを最近ぎゅっとしてばかりなので、ラビノアとシノウールのこともぎゅってした。我がぎゅってしたいの分かっているからか、何だかんだ呆れながらもされるがままの二竜たちも本当に愛い。
新聖暦899年 氷月の十五日
ライラからもうすぐ十二歳になるからってお祝いの品が届いた。学園生活で使えるようにって。
ライラからのプレゼント、子たちが嬉しそうにしていた。ついでにライラ、我にもプレゼントくれていた。ライラ、大好き。
新聖暦899年 氷月の十九日
ラオとぶらぶらした。ラオとのんびり劇を見たり、街をぶらぶらするのは楽しかった。相変わらず街の者達は色々くれたりする。美味しそうなものはその場で食べてしまったりしているが、我が食べて「おいしい」と言うとくれたものたちはもっとくれた。
新聖暦899年 氷月の二十五日
今日はルアノを連れて山で遊んでいた。ルアノは竜である我ほど飛べはしないので、ちゃんと調整して遊んでいたのだ。
ルアノもルグネたちと一緒に行く予定なので、今のうちに可愛がっておくのである。
新聖暦899年 氷月の三十一日
あっと言う間に年収めの日が来た。街の長が亡くなったのは少し悲しいが、代わりに新しい命が生まれた年である。
我が子達もすくすくと育っていて、もう明日になればルグネたちも十二歳なのだ。月日がたつのははやいものだ。
今年の年収めも母君と父君、母君の友人たちなども来ていた。年々街の年収めは規模が大きくなっている。はぐれないようにラオと手を繋いで過ごした。
沢山の人たちは、「今年もありがとう」って我に色々とくれた。普段からくれているのに、年収めだからなのかいつもよりいっぱいくれた。
我の周りにプレゼントの山が出来て、「何をやっているの?」とミカガネが呆れながらプレゼントを一緒に巣に持ち帰ってくれた。
なんか長2号とその番もいろいろくれた。
またからかうように「『幸運のドラゴンさん』だから~」とかいって長2号は笑ってた。本当に良き性格をしていると思う。
それにしても今年もとても楽しい一年だった。
子達に視線を向けて、楽しそうに過ごしているのを見ているだけで我はどうしようもないほど幸せを感じた。




