ドラゴンさんの子育て日記91
9/1 本日四話目
新聖暦899年 宵月の一日
今年もルグネを拾った月がやってきた。
ルグネを拾った月というだけで宵月は我にとって特別な月である。
新聖暦899年 宵月の三日
ルグネ、ラビノア、シノウールが街の子供たちと遊んでいる。我が子達が学園に来年には行くから、街の子供達も寂しがっているらいし。
我が子達と遊ぶ街の子供達も楽しそうで良きことだ。
新聖暦899年 宵月の五日
子達が学園に入ったらルグネを拾う前のようにぶらぶら色んな場所に行くことにしたので、長2号とかにも言っておいた。
この街にもちょくちょく寄るが、我は基本自由気ままに色んな場所に行きたい存在なのだ。
ちゃんとちょくちょく顔を出すし、我を呼びたい時に我らが分かるように鱗から作ったものとかもあげておくことにする。しょうもないことで街の者たちは呼ぼうとせぬだろうしの。
新聖暦899年 宵月の七日
母君と父君も自由気ままにぶらぶらするって言ってた。母君の友人たちはよっぽど竜の道場が気に入っているのか、飽きるまではいるって言ってたが。
あとルグネたちの通う学園にもたまには顔を出さねば。
あまりにも子離れしないのは子達に嫌がられるかもしれぬが、巣立ちをしようが我が子は我が子なのである。
こういう話をしているともうすぐなのだなって気持ちになった。
新聖暦899年 宵月の十一日
街の方では正式な街になったからもっと住みやすいように色んなものを増設しようとしているらしい。
その増設するものにも竜を形どった装飾をしたりするらしい。というか、街が作るものではなく個人が建てる家とかにもそういう装飾が見られる。
なんかパシャパシャを使って、幾つか竜の装飾を撮って、それがどこにあるでしょうか? って探すようなゲームがこの街では出来たらしい。やってみたくてやってみたが、全部は分からなかった。分かりやすいのは分かったのだが。
しかし、ラオが我が出来なかった分、見つけてくれて埋まった。凄い。ちなみに景品は竜のグッズだった。
しかし人は面白いことを考えるものだ。
新聖暦899年 宵月の十四日
ライラから手紙が届く。あときんきらきんからも。
我らが色々ぶらぶらするのは良いが、王都にもたまには顔を出してほしいとのこと。ライラが居るから当然言われなくても顔を出すのである。
気を付けなければならないのは、人がすぐに老いてしまうことだろうか。我にとって一瞬でも長い時だったら困るからラオと相談してぶらぶらしないと。我一人だと十年ぐらい一瞬で過ぎそうだから。
新聖暦899年 宵月の十八日
ミカガネが今日も子たちに色々教えている。真面目に話を聞いている我が子たちは、本当に愛いとしか言えない。いや、どんな表情をしていても我が子たちは愛いのだけど。
学園生活の様子も是非報告してほしいものだって言ったら気が向いたら日記として記録してくれるってラビノアとシノウールが言ってくれた。日記って良いものである。あとから読み返せるし。
新聖暦899年 宵月の二十日
ラオと二人で子たちの入学祝に何かあげようと画策している。入学式は来年の流月なので、まだ何か月かあるが、はやめに準備したほうがいいのである。
喜んでくれる姿を思い浮かべると我はそれだけで幸せな気分になった。
新聖暦899年 宵月の二十二日
子達の背も伸びてきている。人型だと雌と雄で差が出るから、シノウールよりもルグネとラビノアの方が背が高い。
というか、人の中でも人型だとシノウールは背が少し低いようだ。ラビノアと昔は変わらなかったのに身長差があって少し嫌なようだった。もう少し身長が欲しいなどというシノウールも愛い。思わず頭を撫でた。
新聖暦899年 宵月の二十五日
街に下りたら「我が子を抱っこしてください」とか赤ん坊を抱えた夫婦に言われた。なんか長2号が言った「幸せになれた~」みたいなのが少し広まったのか、我に抱きかかえられた赤ん坊が幸せになるのではとか若い夫婦は思ったらしい。
うーむ、我が抱っこしたぐらいではどうも変わらないと思うが、抱っこしてほしいなら抱っこしよう。
赤子は愛いから良いものよ。
新聖暦899年 宵月の二十六日
今日は夢を見ていた。
ルグネが番を作る夢である。ルグネのお嫁さんの顔を見たかったのだが、夢だから見えなかった。
夢は夢だろうが、ルグネがどんな番を持つのかわくわくする。でも人の子だと番を作らないで一生を終えたりもするとも聞いたことがあるが……まぁ、ルグネならば良き番を作るだろう。
新聖暦899年 宵月の三十日
街の方で風邪が流行っているらしい。ちょっと我は心配である。




