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顔なし姫
「これはある意味ゲームみたいなものだね」
約束を交わした直後、目の前の真っ黒い人はそう言って少しだけ笑った。
「これからキミは、7つのボクの遊びに付き合ってもらう。
ボクと一緒にいてもらう」
ぼくはただひらひらと浮いていて、ぼんやりとモヤがかかったような頭に言葉は無機質に響いていた。
「といっても、今のキミには自分がどうしてここにいるかも分からないか」
約束をした。
ただ、それだけは覚えている。
「7つの遊びが終わったら、キミは選ぶんだ」
「なにを、ですか?」
「今と昔」
昔ってなんだろう。
ぼくはどうしてここにいるんだろう。
ぼくは、何を望んだんだろう。
真っ白になった頭に浮かぶのはただ一つ。
「うれしいなあ」
目の前で笑う真っ黒なこの存在が、今日からぼくの主だっていうこと。
「しばらくは退屈しなくてよさそうだ」
そしてぼくは誘われるまま、最初の遊び。
森の女の子の物語に出会ったんだ。
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