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こいしかなし4







「だってぼく、あなたのことが、嫌いじゃないですから」


ロゼは刀を納め、クロの手を握る。


「でも、ぼくはたくさんの人を不幸にした

たくさんの人間を、食べた」


「不幸と思ってるのは、あなただけですよ」


森の外に出た少女も

目をつぶした青年も


「最後はちゃんと、笑っていました」


例え、物語としては不幸な終わり方でも、それは本人達の幸せを決める理由にならない。



「もらった力をどう使うかは、その人次第です」


靴屋の女性も魔法の靴をもらって喜んでいた。

その使い方を決めたのは、彼女自身だ。


「でも、ボクはキミからたくさん奪ったよ」


「その代り、ぼくは大切な神様を死なせずに済みました

色んな世界を知りました」


受け取り方は自分次第。


「それでも、まだ納得できないなら償うために生きてください」


ロゼは、神様を護るために昔は色んなものを壊して来た。

理由があったから、ためらわず双子も消して、その罪を当たり前のように背負う。


「ぼくのために、これから先も、のうのうと生き続ければいいんです



だって、ぼく、あなたのことわりと好きですから」


「私は、あなたのこと、好きではないわ」


少女はロゼの隣に立ち、クロをじっと見る。


「私の立場上、あなたの存在を許すことはできない。

でも、そうね

神であるわたしの監視下に置くのなら、ギリギリ息をするのを許してあげるわ」


「でも…それって…」


クロはくしゃりと顔を歪める。


「ボクは、ずっと生きなくちゃいけないの?

ボクを生んでくれた彼らを裏切ってまで、寂しさも埋められないまま存在しなくちゃいけないの?」


「それが、生きるということよ

あなたは本来は消えるはずだった自分を歪めてまで、この世界に生まれなおした。


自分の選んだ道から簡単に解放されるほど、生きることは容易くない


そして、それは私も同じ」


守るべき土地を失って

格下だったはずの物に頼ってようやく力を取り戻した神は言う。


「でもね、そんな自分たちを



大好きだって




言ってくれる人がいるのもまた、人生よ」


ゆっくりと、少女はクロを抱きしめる。


「お馬鹿な赤ん坊

あなたが知らない、愛情を、与えてあげる」


ロゼは、目を丸くするクロを見ておかしそうに笑った。


「実をいうとぼく、いまだに自分を大切にするってどういうことか分からないんです

だから、今度は主とかシモベとか関係なく、一緒に探してくれませんか?」


言いながら、ロゼはいつかもらったブレスレットをクロの手につけた。


「プレゼントです」


一緒に過ごした日々は、例え騙されていたとしてもロゼにとって不幸ではなかった。


「困ったなあ」




恋しくて焦がれたものの正体を知らなかった。

悲しいと感じる意味を探していた。


「こんな時なのに、涙のひとつも出ない」





こいしい

かなしい





一体幾度、クロはつぶやいただろう。





「ねえ、ボクに泣き方を教えてよ」


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