表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/47

桜の話

どぽん


音がした。


主に肩を押されたのは覚えている。


覚えている。


遠くなる視界。


どこ行くの?


行かないで。


落ちて行く


落ちて行く





















◆◆◆


『スカボロー・フェアに行くのなら』



  『パセリ セイジ ローズマリー&タイム』



『 どうかある人を訪ねて欲しい』


  『わたしがかつて愛した人を…』


そこはどこかの世界の草原。


空には月一つ。


黒い空に、はめ込まれた幾億の星たち。


その下でよりそい、楽しそうに歌う二つの影。


「見つけた」


2人の目の前に、夜の闇から溶け出すように一つの影が溶けだした。


『お、クロじゃん』


『あら、どうしたの?』


歌うのをやめて、双子の少年少女は無邪気に首を傾げる。

まるで、示し合わせたように同じ動作。

人形のように愛らしい2人に、クロと呼ばれた陰は


「どうしたのじゃ…」


両手を素早く突き出し、2人の首を絞め上げた。


「ないだろう!」







◆◆◆


水が、水が口に入ってくる。

ここはどこ?

主はどこへ行ったの?

無意識に手を前に出す。


苦しい

苦しい


助けて


そうして誰かが手を掴んだ。


◆◆◆





「じゃまをするなと言ったはずじゃないか」


首をしめられたまま、双子はクスクスと同じトーンで笑いをこぼす。


『だって、クロってばやり方がぬるすぎるんだ』


『だって、クロちゃんまだためらってるんだもの』


「なっ…」


動揺で手から力が抜けた隙をついて、2人はするりとクロから離れる。


『『2度目はないって、言ったよね』』


◆◆◆






ざぱあっと、水をかき分ける感触。


「げほっ…」


引き寄せられるまま、体をそちらに動かせば陸地のような場所に上がった。


「ここは…」


顔をあげると、はらりと落ちる桃の花びら。


「どうして…」


声のする方に顔を向ければ


「どうして、ここにいるの?」


あの少女がぼくを立って見おろしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ