絵描きの世界5
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『物の怪なんて低俗なものじゃない』
『だからと言って、名前もないけどね』
暗闇の世界。
2人は目の前の人物にクスクス笑う。
「どうして、ここにいるの?」
鋭い声で、桜の主は問う。
『どうして?なんて愚問だな』
『どうして?なんてワカリキッタこと』
『オレ達は人から生まれた』
『だから、ヒトにカカワルばしょなら、どこへでもイケる』
『人の願いを叶えるのがオレたちの存在意義』
『だからどこへだってイクシ、ねがわれればなんでもカナエル』
『『ひつようとされるためなら、なんだってするよ
あはははははは!!!』』
「しらじらしいこと」
桜の主はつめたい瞳で2人を見る。
「なんのためにここにきた」
2人は顔を見合せ、にんまりと笑った。
『なあ、ここから出してやろうか?』
「なに?」
『カイホウ、してあげようか?』
「なんのつもり?」
2人はクスクス笑うだけで何も答えない。
「あなた達は、仲間を裏切らないのではなかったの?」
『もちろん、そのつもり』
『でも、助け方は一つじゃない』
『『じぶんのリソウのセカイを、ツクルためならどんなフデだってつかうだけ!』』
「私が、素直に言うことをきくと思って?」
『するよ、お前は』
『ダッテわかりきっているもの』
『純粋な蝶々は簡単に引き込まれることを』
「でも、私は…」
『シンジルナンテ、べんりなコトバ』
『だめなら、裏切った』
『なにもしなくても、マツことをユルサレルコトバ』
『『ムリョクなやつの、得意分野!!』』
2人は持ちかける。
願いを叶えてやると。
桜の主は、唇を噛みしめる。
ここに残るか
口車にのるか
どちらをとっても愚策には変わりない。
『踊る阿呆に見る阿呆』
『オナジあほなら、おどりゃなソンソン!』
『『あはははははあははは』』
「忌々しい、物の怪め
お前らのせいで…お前らのせいで…」
桜の主は涙を流す。
はらりと落ちる、薄桃色。
「いいわ、どっちにしても私に失うものはない
どうせ終わりは同じ」
のってやる。
桜の主は不敵に笑った。
ゆっくりゆっくり、歯車はまわりだす。
これは、どこかの裏話。




