表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/47

ほしいもの2

例えば、もっと大きな体があればよかったのかな。

主の隠れ家の1つ。

小さな家の窓辺に止まって、考える。


例えば、主と並んで歩けるくらいの足があればよかったのかな。


ぼくは何に知らない。

何かを知ろうとするには、この体はあまりにも小さすぎる。



あの人は主を恐ろしい物の怪だと言った。

主は、自分のことをただ願いを叶える存在だという。


どちらを、信じればいいんだろう。


選ぶには、ぼくはなにも知らなさすぎる。


せめて、もっと動きやすい体があればいいのになあ。

そうすれば、走って、どんなとこへも行けるのに。

なんだって守れるくらいの、力が持てたらよかった。

そうすれば、何かが変わるだろうか?


主は初めてであった時から、ずっと優しい。

とてもじゃないけど、悪い人には思えない。


あの人は、どこか懐かしい。

それはきっと、昔のぼくが思っていることだろう。


なら、今のぼくは?

今のぼくはなにを知るべきなんだろうか。




「ただ、そばにいてくれればいいよ」




主の声がよみがえる。


そうだ、今のぼくはシモベだ。

今の所なにもできてないけど。


「………」



ぼくは大きく羽を広げた。


「あれ?どこかへ行くのかい?」


開いていた窓から飛び立とうとした時、主から声をかけられた。


「はい。

少し、散歩してきます」


さっきまでいなかったのに、いつのまに来たんだろう。


「ふうん、そっか。

いってらっしゃい」


主はニコニコと手を振って見送ってくれた。


「帰ってきたら、一緒にお茶のもう。

待ってるから」


「・・・はい」


いつも通りの主のやさしさが、ぼくの中身を重くする。


「やっぱり、だめだなあ」


そんなことを、つぶやきながらやって来たのは、お花畑。

美しい虹の湖のようなこの場所は、昨日、主が連れてきてくれた場所だ。


「キミ、花が好きだよね?

きっと気にいると思って、つれてきたんだ」


はしゃぐ主に、ぼくはたぶん当たり障りないことを答えた気がする。

情けないなあ。

主にはもらってばかりだ。

シモベらしいことを、ぼくは何一つできていない。


「いや、いつまでもウジウジしてても仕方ない!」


ぶんぶんと首を振って、ぼくはもやもやを振り払う。


「できることを、すればいいんだ。

そうだ、例えば、ここの花を持っていくとか」


主はお茶の用意をして待っていると言っていた。

お茶会には、飾りがあったほうがいいだろう。

残念ながら、花一本を持っていくことはできないけれど、花びらくらいなら大丈夫だ。

お茶に、キレイな花びらを浮かべたら、きっとキレイだ。

主も、気にいってくれる。


「ようし!!」


気合をいれて一番近くの花に止まる。


「少しだけ、わけてください」


青い花に謝って、ぷちんと花びらを1つちぎる。

それから、なくさないように草の影にそれを隠す。


「できる、できるぞ!!」


いっぱい持って帰ったら、その分主様も喜んでくれるはずだ!!

















それから数分後





「あ、甘かった・・・」


速攻でぼくはへたっていた。

みっともなく地面に手をつき、荒く息を繰り返す。


「うう・・・」


考えればわかることだっただろう。

花一本も持てないやつが、そんなに何枚も花びらを運べるわけがない。


「ぜえ・・・ぜえ・・・」


それにしたって、ちぎってここまで集めるだけで、ここまで体力を削られるとは。

自分の体力のなさに嫌になる。


「けど、なんとか、3枚は運べたぞ」


1枚もないよりは、マシじゃないか。


「はは、はあ・・・」


あと少し休んだら、帰ろう。

せめて2枚は持ち帰れるはずだ。


すうっと、草の間を縫って風が吹き抜けた。

火照った顔に、心地いい。

なんとなく目を閉じたときだった。



『くすくす』


『クスクス』



ふいに何かが現れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ