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ほしいもの

「誰かと飲むお茶が好きよ」


そう言った、あの人のいる暗闇に、ぼくは今日もやってきた。


ーこんにちはー


花びらを送る。

同時に、お土産を別の花びらに乗せて流す。

返事はすぐに返って来た。


「ああ、来てくれたのね


あら、これは・・・お茶の葉っぱ?」


ーすこし ですけど もってきましたー


1つまみより、もっと少ないだろう、その少量。

それがぼくが持てる精一杯だった。


「ありがとう。

いい香りね」


ーほんとうは ちゃんとのめるくらい あれば よかったんですけどー


両手で持っても、この程度。

1つ2つの葉っぱが、どうしたっていうんだ。


「いいえ、うれしいわ」


飲ませてあげることも出来ないのに


ーよかったですー


ぼく1人では、主様みたいに誰かの願いもかなえられないくせに。

ぼくは、なんのためにここにいるんだろう。


願いが叶っているという主の言葉を信じるなら、ぼくはこれから先、なにをするべきなんだろう。


全てを終わらせて、なにが待つんだろうか。



ーほんとうに よかったですー


少しだけ、息を吸い込む。


「ねえ、今日はどんなお話を聞かせてくれるの?」


ーきょうは ですねー


ぼくは話す。

学校での出来事を。


消えてしまったあの子のことを。


―ねがいが かなっても しあわせには なれないんでしょうかー


「それは、その人次第よ

現に、その女の子は悲しそうだったの?」


―いいえ むしろ うれしそうでしたー


「なら、それが答えよ」


―じゃあ むかしの ぼくは しあわせ ですか?-


わずかに、息を飲む気配。


「…なにか、思い出したの?」


―わかりませんー


「そう…」


はらりと、桃色が一枚落ちてきた。


―あなたは むかしの ぼくを しっていますか?-


「知っているわ」


―おもいだしたほうが いいと おもいますか?-


「私は、思い出してほしい」


―でも あるじは それは じゆう だって いっていましたー


「あいつの言うことは信じてはだめ」


あのひとの声色がわずかに険しくなった。


「あいつは恐ろしい、とても恐ろしい物の怪よ

とりこまれては、だめ」


―でも…―


「あなたは、前にすすみなさい」






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