エンディング1
王国支店のオープンから2ヶ月が過ぎた頃王宮からの使いというもの達がお店に来ました。
「大臣様が料理をご所望である。これより王宮に参るように。」
とのことです。何様のつもりでしょう。いや、大臣の使いだけどね。
「申し訳ございませんが、お伺いすることはできかねます。お食事をご希望でしたらご来店くださいとお伝えください。」
使いの騎士達はみるみる顔が赤くなっていきます。
「無礼者、来ぬというなら反逆罪で捕まえてやる。店も潰すことになるから覚悟しておれ」
騎士の言い分にお店のお客からは大ブーイング。
「何様のつもりだ。リンナちゃんに会えなくなるじゃないか。引っ込めー」
「この店を潰すなら俺たちが相手だ」
「けっ、王がなんぼのもんじゃい。彼女達とこの店は俺が守る!」
ぶーぶー
冒険者とか結構荒っぽいのも多いから大騒ぎです。
「おい、お前ら帰れ。ここはわしの憩いの場所じゃ。これ以上邪魔をするなら大臣首にするって言っておけ」
なんか、てっ辺の髪が薄いおっちゃんの顔をみて騎士たちが硬直している。
「お、王様失礼しました。してここへはなに用で?」
片膝をつき騎士の礼をした後、髪の薄いおっちゃんにおずおずと聞いている。
「さっきも言わなかったか?ここへは客として来ておるんじゃ。たくさんいるただのご主人様のひとりじゃ。ねぇアイリちゃん。それよりお前らとっとと帰れ。店の空気が悪くなるわ」
おいおい、王様がそれでいいのかよ。と思わないでもないがいいのでしょう。
「は、それでは失礼します。」
騎士達は大急ぎで店を後にして帰っていきます。
王も居心地悪そうに
「すまんかった。また来てもいいかの?」
王様なのにちょっと可愛い。
「もちろんです。ここでは身分は問いません。王も平民も同じです。ですがひとつだけお願いがございます。私達と仲良くしてくださるように獣人の国とも仲良くしてくれれば嬉しいです。」
ちょうどいい機会ですし、駄目もとでお願いしてみます。
「うむ、楽しいのが一番じゃ。」
しばらく王様はお店に顔を見せませんでしたが、数ヵ月後獣人の国と人間の国は停戦協定を結んだとの発表がありました。
「いらっしゃいませ、ご主人様。もふもふパラダイス、王都支店へようこそ~」
「久しぶりじゃの。いろいろ停戦の準備で忙しかった。これからもよろしく頼むぞ。」
「はい、今回のご配慮ありがとうございます。」
私が思いっきり頭を下げたときに、何かが吹っ飛んでいく感触があった。
頭をあげると、皆が固まっている。
もしやと思い髪に手をやると無い。
え、え、えーー
悲鳴をあげてしまった。
ばれてしまった。どうしよう。今まで隠してたというのに。
「みんな騙していてごめん。実は私は人間だったのよ。」
もの凄い勢いで頭をさげ、そして恐る恐る顔をあげてみると皆きょとんとしている。
「知ってましたよ。最初から。」
えっ
虎子が爆弾発言。
「知ってましたよ。」
微笑みながらもういちどとどめを刺してくる。
「もしかして、他のみんなも?」
「はい、もちろんです。明らかに作り物じゃないですか。」
「もしかして、王様も他のお客様も知ってました?」
「もちろんじゃよ。もしかして皆から獣人としてみられてると思っておったのかの?」
お客も店員もにっこり微笑んで、一同同意する。
「いやーーーーーーーーー」
店内に悲鳴が木霊した。
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