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戦闘開始です

「お帰りなさいませ、ご主人様」

「もふもふパラダイスへようこそ~」

 もちろんおさわりは禁止です。

 お耳やしっぽに手を出そうとした場合は叩き出しちゃいます。

 

 えっ? 戦争はって?

 ここが私達の戦場です。

 けもみみメイド喫茶、もふもふパラダイス。

 (もちろんおさわりは禁止です)


 オープン初日だというのにお店には人、人、人の大賑わい。

 前日から宣伝のためのチラシ配りをみんなで頑張ったかいがあるというものです。

 元の世界ではサブフロアリーダーだった知識と経験を活かして、けも子ちゃんずを鍛えに鍛え上げてます。


 ちょうど席が空いたので、次のお客様のご案内です。

 犬耳のえーと、誰だっけ。とりあえず犬子ちゃんでいいや。犬子ちゃんがご案内します。

 今回のお客様は冒険者様のようです。


 使い込まれたレザーアーマー、よく手入れされていると見られるロングソード。

 少年から青年へと変わっていく年頃だろうか。少し線が細く優しそう、言い方を変えれば気弱そうな男性です。

 冒険者としても初心者をやっと卒業し、中堅手前クラスにみられます。


 犬子ちゃんが案内したのは2人席のテーブルです。

 お店はほとんどが2人席で4人席は2つあるだけです。

 当店ではお酒は1杯までしか注文することはできません。

 酔っ払い客はお断りなのです。

 大勢でわいわいがやがやご飯を食べたりすることも考えていないので、2人席をメインとしております。


「ご主人様、こちらのお席にどうぞ。武器を失礼いたします。」

「え、いやこれはちょっと」


 冒険者なだけあって武器を手放すのに躊躇しているようです。

 犬子ちゃん、教えたとおりやるのよ。ガンバです。

 心の中で応援しちゃいます。


「ご安心ください。武器はお席の横のここに置いてお食事をしていただくことができます。」


 テーブルの横には収納箱が用意されています。

 これはちょっとした自信作です。

 収納の大きさとしては学校の机の中のスペースくらいでしょうか。

 これをテーブルの横部分に、お客様の方を向けて斜め上に出し入れ部分が来るように設置しています。

 斜めにしてあることにより、剣などはいざという時にスムーズに取り出せるように。

 盗難防止のため、テーブルに収納箱は固定されており箱ごと盗むということもできません。

 また、取り出し口は通路側にはカバーがあり、席の内側からではないと荷物が取り出しにくいように設計されてます。

 

 説明を聞いて安心したようで、犬子ちゃんが剣を受け取り丁寧に収納箱に置いていきます。

 従業員の丁寧な対応に冒険者もまんざらでもないようです。

 

 そりゃそうでしょうとも。

 貴族や金持ちならメイドを雇っていたり、奴隷を持っていたりでご主人様といってあれこれやってもらうことはあっても、普通の冒険者は商人なんかがそういった対応をされることはまずないはずです。

 

 冒険者の青年は手渡されたメニューを見ながら、これはどういった料理なのか犬子ちゃんにいろいろ聞いています。

 どれもこれも聞いたことないものばかりでしょうね。ほとんどはここに来る前の知識を応用して作った料理なんですもの。


「かしこまりました。オムパンとエールでございますね。(ニコッ)」

 よしよし、笑顔を挟めるなら大したものね。犬子ちゃん10点プラス。

 口にはださず、評価システムもとってないけど心の中で褒めちゃいます。


 犬子ちゃんが標準装備のシルバートレイに料理を載せて運んできます。

「お待たせいたしました。お料理失礼いたします。」

 青年の前のお皿には黄色い楕円形の料理が盛り付けてあります。

 そこに犬子ちゃんは、元気を注入させていただきます。萌え萌え、ラブラブの声とともに手に持った皮袋から赤いどろっとしたもので黄色い料理の上にハートマークを書いていきます。

 ほんとはオムライスを作りたかったんだけど、お米がみつからなかったのでパンを使うことにしました。

 カチカチのパンなのでトマトスープに浸し軽く茹で、スプーンで食べられる堅さにしたらパンの中身を少し抜き、細かく刻んだ鳥肉っぽいモンスター肉と玉葱などの野菜を味付けしたものをつめていきます。

 そのパンの上に薄く焼いた卵をのせてオムライス風のパンのできあがり。


「はい、ご主人様あ~ん」

 あ~ん。顔を赤くしながらもでれっでれです。

「ご主人様、おいしい?」

 犬子ちゃんが軽く握った両手を口元にあて上目づかいで聞いてます。

 中々の高等テクニック。初日からこれができるなんて恐ろしい子。

「おいちい」

 おいおいお前、いい歳してそんなしゃべりかた恥ずかしくないのかよ。


「それではわたしはここで失礼させていただきます。」

「え、え、…ちゃん。待ってよ~。」

 なんか名前を呼んでるようだけど知りません。わたしにとってあの子は犬子ちゃんなんです。

「ごめんなさい、ご主人様。あ~んサービスは3口までってお店で決められているんです。これから他のお客様のお相手をしなくてはいけませんが、お料理やお飲み物の注文がございましたらまたお伺いさせていただきます。」


 青年は猛烈な勢いで料理を食べ、エールで流し込んでいる。

 ちょろいですね。追加の注文は確実でしょうし、たぶんリピータにもなってくれるんじゃないでしょうか。

 犬子ちゃんに対する評価は急上昇。


 おっとりやの白猫ちゃんは「そんな、困りますぅ」とか「ありがとうございましたぁ」とか間延びした語尾を伸ばしながらお客様と接しています。

 どじっこの熊猫パンダちゃんはつまずいて料理を落としたり、お客様の前で飲み物をこぼしてしまったりとハプニングもありましたが、涙目になって謝るとみな頬を緩めながら許してくれてたようです。

 今度メガネでも作ってかけさせようかと迷っています。

 私に対しては最初勇者ということで普通というか丁寧に接していた虎子ちゃんは実はツンデレ属性を持っていたらしく、慣れてくると皆の前ではツンツン、二人の時はデレデレと甘えてくるようになりましたがお店ではうまくいっていないようです。

 そりゃまぁ、かしこまった状態で態度は固く、ツンツン状態だと最初敬遠されがちです。

 慣れてくればデレてくる可能性があるとはいえ難易度高いですよね。


 他の子たちも皆がんばってます。



その夜の出来事

ひのふのみぃ、げへへ

この調子ならいける、王都へ進出、果ては全国展開じゃー

世界とっちゃるぞー

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