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61 潜入

「どうしたんカイちゃん? 顔色悪いで?」

「いや、何でもないよ」

「そんならええけどな。ほいでどこ行くん?」

「心配するな。飲み物を買ってくるだけだから」


 俺はそう言って病室を出る。


 確かめなければ――。

 あの鉄の扉の先に何があるのかを。


 この目で確かめなければ。


 そうでなければ、スッキリしない。

 俺の思い過ごしかもしれない。


 けれど――。

 もし、万が一、この病院が事件と関わっていたならば――。




---




「よし、鍵はかかっていないな」


 辺りに誰もいないのを確認して扉を開ける。

 ギギギと不気味な金属音が鳴り響き、重たい鉄の扉がゆっくりと開く。


 部屋の中は薄暗く、窓一つない。

 幸いなことに部屋に人影はなく、時計のカチカチという音だけが聞こえてくる。

 

 俺はこの怪しげな部屋を調べることにした。


 横文字の難しそうな本が並べられている本棚。

 論文と思しき紙の束が積み上げられた机。

 そして 何に使うかも分からないような機械が所狭しと並べられている。

 

 しかし、特に事件にかかわるような不審な点は見つからなかった。


「やはり気のせいだったのか……?」


 少しほっとするも、若干腑に落ちない。

 なぜこの部屋には立入禁止の張り紙が貼ってあったのだろうか。

 それにあの時の赤坂先生はどこか動揺を隠せないような素振りを見せていた。


 部屋のソファーに腰を掛けながら天井を見上げふーと溜息をつく。

 考えても答えは出そうにない。


「は、は、はっくしょん!」


 部屋が寒いせいか思わずくしゃみをしてしまう。

 危ない危ない、この部屋に勝手に忍び込んでるのがバレたら大変だ。

 特に何もないみたいだし、見つかる前に部屋から出るか。


 そう思って立ち上がる。

 そこで俺はあることに気が付いた。


「風……?」


 窓がないはずの部屋。

 それにもかかわらずどこからか冷たい風の流れを感じる。


「こっちか」


 不思議に思い風がくる方を探る。


「あれ? 本棚……だよな?」


 なぜかその先にあったのは難しそうな本が並んでいる本棚。

 手をかざしてみると、そこから冷たい風がスースーと流れてきているのがわかる。


 もしかして――。


「やっぱり、思った通りだ」


 本棚に触れてみると、横にスライドし中から扉が現れた。

 その扉の隙間から、冷たい風が吹き付けているのだ。


 見るからに怪しい扉。

 涼太や大森さんを連れてきたほうが良いだろうか――?


 いや、やめておこう。


 まだ中を確かめたわけじゃない。

 それに涼太をこれ以上危険な目に合せるわけにはいかない。




---



 

「地下室……?」


 隠し扉の向こう側は地下へとのびる階段。

 一歩、また一歩と慎重にその階段を下りてゆく。


「ううぅ……」


 地下室からうめき声が聞こえてくる。

 苦しそうな声。

 それも一つではなく複数だ。


「こ、これは――!?」


 目の前には病院のベッドが並べられていた。

 そして、そのベッドには鎖で縛られた人々。

 口を布で塞がれ苦しそうに悶えている。


 入院患者というわけではないだろう。

 おそらく、これは――。


「安心してください、今助けますから」


 俺が鎖を取ろうと近付いたその時だった。

 地下室に電気が灯る。


「おっと、そこまでだ」


 振り返ると白衣の男が薄気味悪い笑みを浮かべて立っていた。

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