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51 合流

「相手は俺たちが縄を解いてることに気付いていないはず。部屋に入ってくる瞬間を狙うぞ」

「おう、任せろ。一斉に飛び掛かるぞ」


 近付いてくる足音。

 高鳴る鼓動。

 失敗は許されない。


 ガチャリ。

 部屋の扉が開く――。


「今だッ!」


 涼太の合図で、入ってきたやつ目掛けて飛び掛かる。


「きゃあっ!?」


 予想以上にあっさりと倒れる相手。

 そのまま勢いよく三人とも地面に倒れ込んだ


 いくら不意を突いたとはいえ何かおかしい。

 それに今、女みたいな声が聞こえたような?


「あ、あれ……?」

「いたたた。何すんねん。このアホ!」

「な、なんでお前がこんなところに……!?」

「そんなことよりはよどいてや、重いやんけ」

「うわ、ご、ごめん!」


 俺は慌てて立ち上がる。

 そこに倒れていたのは――。




---




「おい、美穂! 無事なら無事と連絡くらい寄こせよ! 俺がどんだけ心配したと思ってんだッ!」

「はぁ!? 心配させたんはそっちやろ? ちゃんと実家に帰るって置き手紙残しておいたやん!」

「なんだと……!? 大体、お前はいつもそうだ。少しは俺を頼ってくれても……」

「こんなところに捕まってたやつがよう言うわ!」


 言い争う涼太と神崎。

 まさか、神崎が捕まった俺たちを助けに来てくれたなんて夢にも思わなかったわけで。


「あ、あのさ。二人とも落ち着いて。今はケンカしてる場合じゃ……」

「カイちゃんは黙っといてや!」


 俺の言葉を遮るように神崎が怒鳴る。

 珍しく相当怒ってるなこりゃ。


「オー、女の子がそんなに怒っちゃダメねー。お茶でも飲んで落ち着きまショー?」

「そうだよ、神崎。お茶でも飲んで……って、あんた誰!?」


 こんな状況の中、何事もなかったかのように散らかる雑誌の上に正座してお茶を飲む金髪の女性。

 部屋に入ってきたことさえ気付かなかった。


 一体、何者なんだ――!?


「ハーイ、ワタシ、特殊訓練兵関西支部のシェリーね。西崎に言われ助けキマシタ」

「シェリーは、うちのことをサポートしてくれたんやで。音もなく敵の動向を探る調査のスペシャリストなんや」


 その正体はすぐにわかった。

 西崎先生と同じ特殊訓練兵。

 今までずっと、神崎と一緒に関西を中心に起きている行方不明事件の調査をしていたらしい。


「夏野と長谷川デスネー。無事で何よりデース。はい、お茶ドウゾー?」

「あ、どうも」


 シェリーにお茶を手渡される。


「うん、美味い! って何をまったりしとるんじゃあああ! さっさとここから……ッ!」


 俺がそう言いかけたその瞬間。

 閉まっていたはずの扉が勢いよく開く。


「なんだ、やけに騒がしいな。あぁ? こりゃどういう状況だ?」


 黒服の男たちが部屋に入ってくる。


「ヤバイ、あいつらが帰ってきやがった!」

「ちっ、前のときよりも人数が多いな……」


 俺たちは、すっかり取り囲まれてしまう。


 この散らかった狭い部屋じゃ思うように身動きは取れない。

 それに何より、扉はやつらによって塞がれている。


「へぇ? どうやらお仲間が助けに来たってところか。だが、残念だったな。俺様は元格闘技の世界チャンピオンで……」


 強面の男が指をポキポキとならしながら近づいてくる。

 万事休すか――。


 そう思った次の瞬間。 

 目の前で男が泡を吹いて倒れていた。


「え、ええ? 何が起きたの!?」


 俺が困惑しているとシェリーが笑顔で一言。


「隙だらけネー」

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