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5 連続失踪事件

「神崎! どこだ神崎!」


 急にいなくなった神崎の名を呼ぶ。

 しかし、返事はない。


「どうしよう、まさか美穂も異世界に召喚されちゃったのかな?」

「そんな簡単にホイホイ召喚されてたまるかよ! とにかく、急いで神崎を探さないと……」


 慌てて二階から駆け下りていく俺たち。

 すると、一階にあるリビングのほうから何やら複数の人が言い争うような声がする。


「誰かいるのかな?」

「しー、静かに」


 俺たち以外に、この家に誰かいたというのか?

 もしや、そいつに神崎が捕まって――。


 ギィィィ――。


 俺は、ゆっくりとリビングの扉を開けた。




 そこに居たのは――。



「か、神崎……、こんなところで何やってんだよ」

「おー、カイちゃん。ちょっと小腹空いてもうたんよ。いやー、このお菓子めっちゃうまいで?」

「……」


 のんきにお菓子を頬張る神崎。

 複数の人が言い争うような声の正体はテレビだった。


「全く、紛らわしい真似しやがって」

「なんや、うちのこと心配してくれたん?」


 ニヤニヤと笑いながら俺の肩にすがり寄ってくる神崎。

 近寄るな鬱陶しい。


「つーか、そのお菓子もしかして……」

「おー、これな。その戸棚にあってん」

「お前なあ……」


 人の家に勝手に上り込んで、さらにお菓子まで盗み食いとか完全にアウトじゃねえか。


「まあまあ、あたしが食べたことにしておきますんで」

「彩夏ちゃんも少しはガツンと言ってやったほうがいいぜ。こいつ、全然反省してないみたいだし」


 親の顔が見てみたいとはこのことか。


「なーなー、そんなことよりな、ちょいとこれ見てや」

「話を逸らそうとしても無駄だぞ。今度という今度は……、え? なんだこれ」


 神崎に促されて、テレビ画面に目をやる。

 するとそこに映し出されていたのは――。





「えー、また新たな被害者の情報が寄せられました。新たに、男子高校生3名が突然行方不明となり、現在行方を捜査中とのことです。これで本日だけで合わせて27名の中高生が忽然と姿を消したことになり……」


 番組が変更され、臨時ニュースとなっている。


「なんだよ、これ……」

「もしかして、涼ちゃんもこれに関係してるんとちゃう?」

「そんな……涼太が……」


 突然起きた連続失踪事件。

 被害者のほとんどは中学生または高校生だった。


 恐ろしいことに、被害者の数は時間を追うごとに倍増していってる。


「ねえ、これって誘拐事件ってこと?」

「いや、こんな全国各地で当時に誘拐なんてできるはずがない」


 まさか、本当に――。

 本当に異世界に召喚されたとでも言うのか!?


 だとしたら涼太は――。




「ねえ、私たちは大丈夫なのかな……」

「え?」

「だって、被害者のほとんどは中高生なんだよ? 私たちも、異世界に召喚されちゃうのかな?」

「……」


 分からない――。

 一体、何が起きてるというんだ。


 そもそも、『中高生が姿を消した』という事実しか分かっていない。

 異世界に召喚されたと決まったわけでもないのだ。


 だが、しかし――。

 魔法でもない限り、こんなに大勢の中高生が同時期に行方不明になることなどあり得るのだろうか?




「なあ、うちらもそろそろ家に帰ったほうがええんとちゃう?」

「そ、そうだな……」


 こんな事件が多発しているんだ。

 明るいうちに家に帰ったほうが良いだろう。


 でも――。


「俺はここに残るよ。せめて彩夏ちゃんの両親が家に帰ってくるまでは……」


 ただでさえ、兄がいなくなり不安で一杯のはず。

 追い打ちをかけるかのような、失踪事件のニュース。

 その状況で、彩夏ちゃんを一人にするわけにはいかない。


「うーん、しゃーないなあ。うちも残ったるわ」

「わ、私も!」

「いや、二人は危ないから家に帰ったほうが……」

「はー、そないなこといって彩夏ちゃんと二人きりになろ思うてんのとちゃう? やらしいわー、カイちゃんったら、見かけによらずやらしいわー」

「アホ、んなわけあるか! こんな時にそういうことを言うなよな。ほら、変なこと言うから彩夏ちゃんも困ってるじゃないか」


 神崎のせいだぞ。


「ううん、違うんです。あたし、お兄ちゃん以外の人に優しくされたことなかったので……」

「……? え、ちょ……」

「だから、とっても嬉しいんです」


 突然、彩夏ちゃんが俺に抱き着いてくる。


「な、な!?」

「おー、良かったやん。カイちゃん。可愛い彼女さんが出来たみたいやねえ」

「おい、だからそういうことを……あ、あれ? 奈央、急にどうしたんだ?」

「別に、何でもないもん」


 奈央が凄い怖い顔して睨んでくる。

 俺、何か悪いことしたっけ?






 ――その夜。


「海斗! 何時だと思ってるの! 遅くなるなら連絡くらいしなさいといつも言ってるでしょう」

「わ、悪かったよ。ちょっと色々あってさ」


 俺が家に帰宅したのは22時を回っていた。

 怒鳴り散らす母を後目に、二階にある自分の部屋へと逃げ込んだ。


 いつもいつも口うるさいんだよな。

 耳にタコができるっつーの。


「はぁー、疲れた」


 ベッドでごろんと横になる。


「ねー、こんな時間まで何やってたの?」

「うわ、びっくりしたぁ! なんだよ、姉ちゃんか。驚かすなよな」


 俺の部屋に入る時はノックしろって言ってるのに。


「なんだとは何よ。海斗知らないの?」

「知らないって、何が?」

「連続失踪事件よ、今、全国各地で中高生が……」

「あー、知ってるよ。それが何か?」


 俺が、冷たくあしらうと頭をゴツンと小突かれる。


「いってーな。何すんだよ」

「母さんも、私も心配してたんだからね! 遅くなるなら連絡くらい寄こしなさい」


 そう言って、姉は部屋から出て行った。


 心配か……。

 涼太、無事なのかなあ。


 その日は、なかなか寝付くことができなかった。

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