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25 誘導

「これより生物兵器撲滅作戦を開始する!」

「うおーっ!」


 何やら超ハイテンションの男たち。

 西崎先生の特殊訓練兵の仲間らしい。


「あの、西崎先生。俺たちはどうすれば……」

「あん? そうだな、とりあえず避難者の誘導でもしててくれ」

「ゆ、誘導、ですか」

「ああ、そうだ。さすがに素人に生物兵器と全面対決させるわけにはいかんだろう?」


 なんでもこれから地上を奪還すべく大規模な作戦が開始されるらしい。

 俺たちは、その作戦に巻き込まれないように地下にいる避難者を地下の奥へと誘導することとなった。


 それでも安全かと言われたらそうではない。

 避難者に紛れた生物兵器が紛れ込んでいるかもしれないのだ。

 確実にそいつを見つけ出さなければならない。


「生物兵器をどうやって見分けたらいいんでしょうか」

「そうだな。一見すると、違いはほとんどねえ。声もそっくりに真似できてしまうしな。だが、決定的な違いがある」

「決定的な……違い……?」

「ああ、それは目だ。やつらの目は血のように赤く染まっている。それで判断するんだ」


 なるほど。

 確かに大谷さんに化けた生物兵器の目は赤みを帯びた悪魔のような目だった。


 しかし――。


「この暗闇の中、いちいち目を確認するのは難しくないですかね」

「それには、これを使う。お前も持っておけ」


 ひょいと何かを投げられた。


「うわっとっと」

「おいおい、高いんだから落として壊したりするなよ?」

「だったら投げないでくださいよ……こ、これは懐中電灯?」

「ああ、そうだ。それで相手の目を照らして確認するんだ」

「な、なるほど……これで相手の目を確認するんですね」

「それから、下にあるレバーを強く引っ張ると銃弾が発射される。生物兵器も倒せるくらいの威力はあるが、弾は一発だけだ。いざというときに使ってくれ」


 西崎先生や避難者が皆持っていた懐中電灯にそんな機能があったのか。


「まあ、基本的に奴らが現れたら俺が対処する。お前らは手出ししなくていい。もし見つけたら、速やかに俺に知らせろ。分かったな?」

「は、はい」


 なんだか凄いことになってきたな。

 神崎や涼太は無事なのだろうか。

 それに地上は今どうなっているのだろう。



---



「……奈央? 大丈夫か、足が痛むのか?」

「ううん、違うの。ちょっと怖くなっただけ……」

「奈央は無理しなくていいよ。俺が奈央の分もやっておくからさ」

「……大丈夫。私一人だけ休んでなんかいられないわ」


 奈央と二人で避難者を誘導していく。

 それと同時に、生物兵器が紛れ込んでいないかをチェックする。


 赤い目をしている人は見当たらない。

 そのまま、何事もなかったかのように誘導は終わりを迎えようとしていた。


「どうした、奈央」

「大地がいないの。もしかしたら避難できてなかったのかな……」

「……だ、大丈夫だって。俺たち以外にも別の場所で誘導している人はいるんだし……」


 奈央を安心させようとするが、俺も不安で一杯だった。

 みんな、無事でいくてれると良いのだが……。


「ね、ねぇ、海斗……あれを見て……」

「うん、どうした?」


 奈央が遠くのほうを指さす。

 懐中電灯にほんのりと照らされたその場所には、無数の人の影。

 

「あれ、まだあんなに避難者が残っていたのか……ん、奈央どうしたんだ?」

「め、目が……」

「目……?」


 ガタガタと震えだす奈央。

 その理由はすぐに分かった。


「目が赤い……?! まさか……」


 生物兵器――?


「くそ、数が多すぎる……ッ! 奈央、急いで西崎先生を呼んでくるんだ」

「えっ!? で、でも海斗はどうするの!?」

「俺は、ここで奴らを食い止める。ここを通してしまったら、中にいる避難者が……」

「そんな……無茶だよ。あんなにたくさん相手にできるわけがないッ! 緊急時の弾は一発しか打てないのに!」

「だから早く、西崎先生を呼んできてくれ。大丈夫、奈央ならできるさ」

「う、うん、分かった」


 奈央が西崎先生を呼びに走り出す。


「ぐひひ、一匹たりとも逃がさないぜぇ!?」


 奈央を目掛けて、複数の生物兵器が走り出した。


「チィッ! 仕方ねえ!」


 ズドン。

 奈央を追いかける集団に懐中電灯の銃弾をぶちこんだ。

 4、5匹同時に倒すことに成功する。


 しかし――。


「うわぁ、くそ、は、放せ……」

「アハハハ、バカな男。自分の身よりあの子を助けることを優先するなんて」


 俺のほうに複数の生物兵器が群がってきたのだった。

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