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12 作戦会議

「それでは、異世界シンドロームの被害者を救う会を発足したいと思います!」


 翌日、俺の家に神崎、奈央、そして奈央の弟の大地、涼太の妹の彩夏が集結していた。

 理由はもちろん、涼太たちを救うためだ。


「あのー、異世界シンドロームって何ですか?」

「ああ、涼太たちのように異世界に憧れて学校の地下に引きこもってる連中のことをそう呼ぶことにしたんだ。もう居場所が分かったんだから行方不明者ってわけじゃないし」

「なるほどー」

「別に呼び方はどうでもいいんだ。とにかく涼太たちをなんとか救い出す、それがこの会の目的だ」


 俺は大真面目だというのに、神崎が笑いをこらえきれずにいる。


「なんだよ、神崎」

「ぷくく、だってカイちゃん。急に真面目な顔して何を言い出すかと思えば……異世界シンドロームて……」


 笑われるとなんだか恥ずかしくなってくる。

 が、今はそんなことはどうでもいい。


「とにかくだ。なぜ涼太たちがあの地下に行くことになったのか、その理由をきちんと知る必要があると思うんだ」

「うん、そうだね。相手の立場になって考えないと、この問題は解決できないと思う」

「そのためにも、まずはこれだ――」


 カタカタっとパソコンをいじり画面を表示させた。


「カイちゃん、この動画が今回の事件と何の関係があるの?」

「え、動画? あ、違った、これじゃない! ええっと……、こっちだ。この小説サイトだ!」


 履歴から格好つけてぱぱっと表示したつもりが、1個ずれてたらしい。

 俺は、慌てて涼太の家でも見た小説サイトを表示させる。


「これって、お兄ちゃんが良く見てたサイト……」

「そう。このサイトは、自由に小説が投稿できるサイトなんだけど、この中に例の小説があるんだ」

「おー、これ、山田が書いたっていう小説やん。でもこれが今回の事件とどう関わってくるん? 別にどこにでもある異世界小説に見えるで?」


 小説の中身は、特に変哲もないごくごく普通の小説だ。

 異世界に召喚された少年が、悪戦苦闘しながら成長する物語。


「そうだな。問題はココだ」

「こ、これは……ッ!」


 俺が注目したのは、小説の中身ではなく感想欄。

 毎日のように何人もの人からの激励のメッセージが送られてきている。


「ここに今回の失踪事件のヒントが隠されていたんだ」

「あ、このコメントのID、お兄ちゃんだ」

「うん、涼太も山田の小説の大ファンだったんだろうな。毎日のように、山田の作品に感想を書いている」

「でもこれ、半年くらい前から返信がないね」


 感想は今でも毎日、書かれ続けている。

 主に、作品の続きを楽しみに待っているという温かい応援メッセージだ。

 しかし、山田は一切コメントの返信をしていないのだ。


「そうだ。山田がいなくなったのも今から半年前。つまり……」

「犯人は山田や!」

「違うわボケ!」


 そもそも何の犯人だよ。


「山田が書いていたこの小説は、半年前から更新されていない。物語は終盤に差し掛かり続きが一番気になるところなのにね。なぜだと思う?」

「まさか、山田はほんまに異世界に召喚されてもうたんか! それで、続きが書けなくなってしもうたんや!」


 拳を握りしめ、ドヤ顔で言い放つ神崎。


「違うってば。なんでそんな自信満々で答えられるのか理解に苦しむよ」

「なんやねん、分かってるならもったいぶらずに教えてーな。カイちゃん性格悪いなー」

「う……すまん。ちょっと調子に乗った。とにかく、山田は異世界に召喚されたわけでも、学校の地下にいるわけでもないんだ。山田がいる場所、それは山田の自宅だ!」

「な、なんだってー!?」


 大地がオーバーリアクションで反応してくれたが、他の3人はぽかんとしている。

 もったい付けた割に大したことないとでも言いたげだ。

 

「ま、まあこれはあくまでも俺の推測なんだけどね……って神崎、どこ行くんだ?」

「決まっとるやないか。カイちゃんの推理が正しいか確かめに行くんや!」


 この前の涼太の家に訪問したときもそうだが、こいつは言い出したら絶対聞かないんだよな。

 このままここで話していても仕方がないし真相を確かめに行こうじゃないか。


 俺たちは山田の家へと向かうことにしたのだった。

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