表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

1章 1話 〜ようこそ御都合主義の天界へ〜

初投稿なので大目に見てもらえればなあと思います。

「……さん」


 、、、?


「…マ…キさん」


 、、誰だ、、?


「ヤマネ カズキさん」

「ハイッ!!」

 自分の名前を呼ばれたからなのか、反射的に返事をしてしまった。

 …で、ここはどこだ?、、眩しいな‥

「目を覚ましましたか?」

 きれいな声のする方を細目で見ると、そこにはぼんやりと人影があった。

 目が慣れてきた…。何度か目を瞬くと、そのおぼろげな人影もあらわになってきた。

「あなたは…?」

「私は女神アグネスです」

 そこには少し気恥ずかしそうな顔をした美人が立っていた。


「えっと…女神?」

「はい、そうです!」

「女神って、あの?」

「たぶんそうです!」

 勢いがすごいな…。

 そのアグネスと名乗る女神は、茶髪のショートヘアに洗礼されたような白い服を来ていて、目の色が緑色だった。

 …アグネスなんて女神聞いたことないな。

「で、ここはどこなんだ?」

 俺が何となく聞いてみると、やや気まずそうな顔で言った。

「ここは、、、天界です。あなた、山根カズキさんは…その、、」

 焦らすな………。

「…残念ながら亡くなりました」


 …死んだ?

 俺が?

 うそだろ女神。


「…おい、どういうことだ?」

「あなたは地球にてお亡くなりになりました」

 ……そんな予感はしていたがやはりそうなのか…。


 俺は死んだ。なんらかが原因で死んで、天界に呼ばれた…か。


「…死因はなんなんだ?」

「えっと、、、ですね、、、。刺殺です…」

 し、え?刺殺?さ、刺されたってことか…?

 俺は寒気を覚えて腹あたりを無意識に探る。

「誰かまではわかんないよな…」

「申し訳ございません……」

 まあ、知ったところで死んでるしな……。

「で?俺が天界に来たのは閻魔様の天秤に量られるからじゃないのか?」

「いえ、違います!今からあなたには『転生手続き』をしてもらいます!」

「てんせい?」

 転生ってあの?

「転生です」

「…いや、わかるんだけどさ」

 転生ってマジであるのかよ。

「で、女神様はどこに俺を飛ばしてくれるんだ?」

「………」

「女神?」

「あっいや、そのですね。なんか割り切ってるなぁって」

「…まあ、未練なんてないしな」

 友人も多かったわけじゃない。一応高校生ではあるが、クラスで目立ってたわけでもなく、彼女がいたわけでもなく。よく言って平凡、悪く言って飾り気のない人生だったわけだ。

「…転生先ですが、リクエストができます。その場合は転生まで三日ほどかかりますが」

「リクエスト?」

「ハイ!こんな星がいいとか、こんなものになりたいとか、人によって全く違うんですよね〜」

 なるほどな。転生ってのはポンポンやるものかと思えば、しっかりとした手続きがあるらしい。まあ、引っ越しだと思えばそうか。

「まあ、とりあえず、カウンターの方に行きましょうか」

 そう言われて気付いた。周りを見渡せば、何もない、地平線まで白い空間が広がっていた。

「精神となんちゃらの部屋みたいですよね」

 言っていいのか、それ。

「では、着いてきてください」

 そう言ってすくっと立ち上がると、少し奥側にドアが現れた。

 俺も置いていかれないように、慌ててその後ろを追いかける。

 女神がそのドアを開くと、そこには信じられない光景があった。優しい光の差し込むドーム型の天窓に、円形になった廊下は、一番下まで光が届くようにと吹き抜けになっている。やはり他にも人がいるようだが、みんな実質死んでるのか…。

「改めまして、ようこそ天界へ!」

「…すげえな」

 目の前の光景に圧巻された俺にはこんな言葉しか出なかった。

「じゃあ、行きましょうか」

 方向に迷いがないというのか。やっぱ慣れてんだな。

「なあ、女神」

「アグネスとお呼びください!」

「なあ、アグネス」

「なんでしょう?」

 俺はくるりと見回して

「ここには地球人以外にもいるのか?」

「もちろんですよ。天界の仕事は主に二つに別れています。一つは転生、もう一つは裁量です」

 やっぱ裁量はあるんだな。

「基本的に転生のチャンスは一度だけです。その後は生前の行いを量って冥界に送られます」

「閻魔様か」

「星によって違いますね。言語も違うし、文化も違うので」

 確かに、人間じゃなさそうなやつもいるし、どっちかといえば人間のようなやるもいる。

「ではでは自己紹介します!私は女神アグネス。登録番号102607番です!」

 女神ってそんないたのか…。

「俺が生前何してたのか知ってるのか?」

「もちろんです!公立高校に入学後、自己紹介で大滑りして、友達がうまくできず…。その後体育祭で足が速いと認知されるも、対して話題になったわけでもなく、むしろ学年一の美女が綱引きで脅威のパワーを見せるという方が話題になって。彼女なし、友達なし。趣味はアニメを見ること…。なんか…ッ…悲しいですねw」

「笑うなよ!」

 …悲しいことに事実だが、、、、。

「えー、ケフンッ!着きましたよ」

「…ここが…カウンターか」

 着いたのは横に伸びる白い机がある大きな部屋、というかもう広間だろうか。天界ってどんだけ広いんだ?

 やはり様々な人種(?)の転生待ちがいるな。

「ささ、おかけください!」

「いや、おかけくださいって言われてもな…」

 奥の奥まで見てもどの席も誰かしら座っていて、自分が座れそうな場所など到底なさそうだが。 

「パチンッ!」と音がした。

「どうぞ!」

 振り返ると、そこにはなぜか席があった。

「すごいな女神って…」

「いえいえ、これぐらいできて当然です!」

 冷静さを装ってるつもりだろうが、照れてんのバレバレだぞ。

作者は承認欲求モンスターなので感想いただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ