バンダナ隠しの英雄、齢三十にして歌手を目指す〜剣を捨てペンをにぎる世界最強のB-BOY(おっさん?)〜
孤児として道端に転がり育ち、『欲を捨てるのです。 愛とは施すことではじめて手に入れられる物なのです』という言葉に希望を抱いて世界中に愛をばら撒いてきたゼンジ。
齢三十を迎えた夜、ゼンジには孤独しか残ってなかった。
いくら魔王を倒せど、孤独に陥る人々に寄り添い支え続けても、ゼンジに愛は残らない、幸せになった人々の背中に手をふるのみだ。
誰も彼も彼女もゼンジの人生に寄り添ってくれることはなかった。
一文なしのミュージシャン――ピリリカの曲を聞いたのは絶望から死を考えたゼンジが地元に戻ったときだ。
“死ね死ね死ね死ね死に晒せよ、この世はロクナモンジャナイネ”
――死ねって、思ってもよかったんだよ――。 俺だって生きてたんだ――。
聖剣を川に投げ捨てたゼンジは今日、幸せになるためペンをにぎる。