表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

事例① 最初はただの水溜まり

 「自分は浮気・不倫なんて馬鹿な事はする訳ない。家族が大切だから」


 なんて、思っている人はたくさんいると存じます。

 でも、あなたが女性だとして、好みのタイプどストライク――もしくは、旦那さんと真逆な……ちょっと魅力的だなと思った方と知り合いになり、ましてや好意を向けられたらどうでしょうか? しかも、グイグイ押されたら? 押されたら引くと言う方なら、紳士的な方ならどうでしょうか?


 とにかく、自分だから絶対……は人間である限りあり得ないのです。


 これから紹介する事例――当探偵事務所が対応した方も、そうでした。


 千葉県に住むマリさんは、旧姓田中マリ――旦那さんの水田健一さんと結婚して、水溜まり……いや、水田マリさんになりました。

 彼女と旦那さんの間には4歳になる子供がいます。

 マリさんは子供が4歳になり幼稚園に通うのをきっかけに、午前中10時から13時までパートを始めました。

 そこの職場で、一緒になった男性が浮気相手です。

 もちろん最初は、男性から好意を向けられる事などはなく、ただの同僚でしたが、週3日帰り道のわずかな時間での会話で、お互いの事を知る親密な仲になっていきました。

 最初はちょっと30分だけ、ファーストフード店でお茶をする――そんな感じでしたが、子供の退園が1時間延びた時には、買い物など30分が50分になり、90分になり……週3日が4日になり、5日になり……段々と二人きりの時間が増えていきました。

 その段階でも、特に男性として意識する事はありませんでしたが、彼女にとって楽しい時間であり、生活のパターン化がされていきました。

 しかし、ある日男性から告白を受けたマリさん。

 流石にまずいと思った彼女はキッパリとお断りし、帰りも一緒に帰る事をやめましたが、自分にとって恋愛の胸キュンなどもう終わったと思っていた彼女の心は揺れていました。ふと気付くと、楽しかった会話ばかり思い出してしまっていたのです。

 旦那さんとは良好な関係を築いていましたが、またそれとは別の楽しみが一つなくなってしまった寂しさがあった事は否めませんでした。

 しかし、彼女はこれ以上は家庭生活に支障が出ると考え、職場も退職しキッパリと忘れよう――ああ、こんな事もあったな……と後の自分だけの思い出にしようと、専業主婦に戻り暮らしていました。

 そんなある日の朝、旦那さんと出勤前に些細な事で喧嘩をしてしまいました。その後、買い物で偶然その男性と出会い、会話を交わしました。

 その時、マリさんはタイミング的に一時的にでも運命的ななにかを感じてしまったそうです。

 その際に、相手の男性から再度好意の言葉を向けられ、再び心が揺れてしまいました。

 その結果――

 「一回だけなら……」

 と思ってしまうと言う隙を見せてしまい、誘われるがままにホテルに行ってしまいました。

 マリさんにとっては全くの出来心だったのです。


 そして、深い後悔と罪悪感の念に襲われました。

 「なんでしちゃったんだろ……」

 「絶対に言えない……」

 「旦那さんにどんな顔しておかえりなさいを言えば……」

 「今の生活を壊したくない……」


 彼女は墓場まで持っていく事を決めました。併せて、彼にはしっかりと話をして関係を切る事を決心しました。


 別れ話をする為に会う――これこそが私に言わせれば、相手の男性の思うつぼだったと思います。


 「わかった。最後に――」


 そんな話になり、再びホテルに行ってしまったそうです。


 当探偵事務所では、この二回目の不貞行為の際にホテルに入店する現場の写真を収めました。

 そうです。

 すでに旦那さんからの依頼で調査をしていたのです。

 マリさんはたった一回、出来心とは言え、自分が浮気していた事は微塵も表に出しているつもりはなかったそうです。

 しかし、壁に耳あり障子に目ありで旦那さんからしたら、マリさんの様子がおかしかった事、知人から楽しそうに話をして歩いていたと聞き、調査を依頼していたのです。

 もちろん、夫婦には隠し事もあるかも知れませんが、マリさんは深い自責の念にかられていた事もあり、異変を隠しきれていなかったのでしょう。


 無論、調査結果は報告、あまりないケースではありますが、私はマリさんとお会いして、上記の話を聞かせて頂きました。


 その後はと言うと、色々あった様ですが、もう一度ご夫婦として再出発された様です。無論、相手の男性からは不貞行為に対する慰謝料を請求しましたが、男性の謝罪と引っ越しなど、物理的に奥様と関わらない事を約束された為に、その金額は僅かなものだった様です。


 繰り返しの言葉になりますが、この様に、もしあなたが自分は浮気・不倫などしないと思っていたら、こんなケースもあると言う事を覚えておいて下さい。私から言わせれば『浮気? 不倫? ないない。絶対ありえないよ。ハハハ!』と言ってる人程、一番危険なのです。


 好事魔多――

 良い事がある時、物事が順調の時こそ、悪い事が起きる可能性があると言う意味の通り、自分自身の戒めにして下さい。


 コンコン――


 さあ、今日も依頼人が来た様です。

 私は色々な事を想定して、面談を行っています。だから、何を聞かされようと冷静沈着に対応すると自負しております。こんなピカチュウみたいな、アニメ声ですけど。


 「私共夫婦は結婚して4年、3人の子供がいますが、妻の浮気を調査して欲しいのです」


 4年で3人?

 頑張りましたね。

 そんな事はどうでもいいのです。


 詳しくお話しを聞くとしましょう。

 


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  読ませて頂きました。続きを楽しみにしています。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ