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11:オートマタ解放戦線

 次の日。俺と京香は朝から地下室に居た。


「はい。最終調整終わり」


 京香からヘルメットを受け取る。受け取った手が少し震えている。

 こんな体でも震えるんだな……。


「本当に大丈夫かな」

「大丈夫だよ。私の健太君はちゃんと帰ってくる」


 俺の手に京香が手を添えてくれる。

 時刻は十時。あと二時間。


「うん。今日も京香さんのご飯食べないとね」

「ふふっ。ちゃんと準備してるから」

「ありがとう。これも、俺の体も」


 昨日あの後俺はすぐに寝たが京香は寝なかったらしい。


「もー。それは帰って来てから言ってよっ」


 眉を寄せる京香。なかなか見ることが無い顔だな。この顔も可愛い。


「ごめん、ごめん」


 つい上がってしまう口角を何とか抑えて添えられた手を握り返す。


「元気出たよ。ありがとう」

「うん。じゃあ、いこっか」


 こんな日でも京香は優しい笑みを俺に投げかけてくれる。

 それだけでなんかいけそうな気がしてきた。

 二人並んで玄関を出る。

 ポケットの中にはシード。小脇に新型のヘルメットを抱えて街へと繰り出す。

 家から出て京香と並んで歩道を歩く。


「今日フタバ銀行、閉鎖だって」

「そりゃ、あんな予告あったらそうなるよね……」


 スマホを眺めながら京香が呟く。


「それでも来るのかな?」


 首を傾げた京香は俺の方を見る。


「来ると思う。奴らの目的はテロ行為じゃなくて、俺を試す為って言ってたから」

「なんか上から目線で嫌な感じね」

「それより京香さんは銀行まで来るの?」

「うん。近くで見てるつもり」

「……危なくない?」

「危ないかもしれないけど、健太君からは離れたくないから」


 顔色一つ変えることなく京香はそう言った。言われているこっちが恥ずかしくなってしまいそうだ。


「……っ!」


 よく恥ずかしくもなくそんな事言えるな……。

 そう言おうとして京香の方を見ると、頬が少し赤く染まっていた。

 それから何となく気まずい空気に言葉を失った俺は黙って銀行まで向かった。


※    ※    ※


「まだ来てないみたいね」


 俺達が銀行の近くに着いたのは十一時頃。銀行の入り口には『本日閉鎖』の張り紙がされ、十数人の警官の姿も見える。

 向かいのカフェで窓ガラス越しにその様子を眺める。周りの客は今日の事を知らないのか、それとも野次馬なのか。かなりの人がカフェに居る。


「そういえば警官が来るのか。てっきりオートマタ解放戦線との一騎打ちになるのかと」

「ふふふっ」


 京香が噴き出すように笑う。


「え?」

「健太君、ヒーローになることばっかり考えてたんだなって」

「俺が現実見てないってこと?」


 俺がジト目を向けた京香は楽しそうに微笑んで首を横に振る。


「ううん。頼もしいって事」

「う、うん……」

「そういう所も可愛くて好きよ」

「周りに人いるからっ……」

「いいじゃない。本当の事言ってるだけなんだし」


 この後テロリストと戦うのが嘘みたいな会話が続く。もうこのまま今日はデートにしてしまって買い物にでも出かけたい気分だ。

 京香を見ながらそんなことを思う。一緒に服を買ったり、良い店でランチなんかも良い。俺は吐いちゃうけど。


「健太君? 私の顔なんか変?」


 ストローを咥えてフラペチーノを飲んでいた京香が不思議そうに俺を見る。


「あぁ! ごめん少し考え事」

「何考えてたの?」


 京香の目に見つめられると何を隠しても無駄な気がしてくる。すべてを見透かされている様な、俺の事をなんでも分かっている様な。そんな気になる。


「いや……。このままデートにでも行けたら最高なのになーって」

「うふふっ。私とデート行きたかったの?」

「うん……。だってずっと家の中に居たし、京香さんと外に出る事なんて滅多にないし」


 不思議と本音をさらけ出すことへの抵抗が薄れる。

 京香には俺のすべてを知って欲しい。そう思うようになってきた。


「そっかぁ。その夢が叶うかどうかは今日の健太君次第だね」


 そう言って京香が窓の向こうを指差す。

 その先を見ると銀行の前に立っていた警官を取り囲む様に人だかりが出来ていた。十人は居るだろうか。


「何だあれ……」


 まだ十一時半。予告よりもう少し時間がある筈。

 警官は周りの人をなだめるような身振りをしている。


「周りの人間は全部オートマタね」


 そう言った京香は人だかりにスマホのカメラを向けている。


「分かるの?」


 この状態、いろいろと情報量が多いな。疑問が山ほど浮かんでくる。


「ほらこれ」

「これって……」


 スマホの画面を見せてくれる。彼らを撮影した写真だが、サーモグラフィで撮影されている様だ。

 全員体温を持った赤色に染まっているが、一目で違和感を覚える。


「何か変だとは思わない?」


 京香はニヤリと口角を上げる。


「青い……」


 群れている人々の体の一部のシルエットが青い。ある者は左手だけ。またある者は両足。

 それぞれ部位は違えど、体のところどころが体温をまるで感じさせない青で表示されている。


「あいつら全員“オートマタ解放戦線”か?」


 こんな町の端にある銀行の前にオートマタが十人。それに顔もニュースとかで見覚えの無い者ばかり。という事は俺と同じ無認可。

 普段ではあり得ない光景だが、今日に限っては心当たりしかない。


「だったら何話してるのかしらね」


 さすがに声までは聞こえてこない。何を言い争ってるんだろ。


「まだ三十分位あるのにもう始めてんのか」

「もう少し様子を見よっか」

「うん」


 人だかりは警官をぐるりと取り囲み、それを援護するように他の警官が割って入る。

 あっと言う間に銀行の入り口の警備が無くなってしまう。


「誘導してる……?」

「みたいね。健太君以外の人間は巻き込まないって魂胆かしら」


 京香の言う通り今なら車が突っ込んでも死人は出ないだろう。だが。


「なんかイラつくな」


 俺はその光景を苛立ちながら見ていた。


「健太君、落ち着いて」

「うん。大丈夫。ちゃんと見てるから」


 依然人だかりに目立った動きはない。警官もまんまと誘導されたままだ。


「ん? あいつ何してる……?」


 人だかりの中、一人のオートマタがスマホで誰かに話をし始めた。


「あー。電話をジャックする機能も付けておけば良かったなぁ」


 頬杖をついて頬を膨らませる京香。

 何か買い物で後悔したみたいなノリで言ってるけど普通にプライバシーの侵害だからね?


「あったら便利かもね」


 なんて適当な相槌を打ちながら電話をしている奴を観察する。


「健太君がそこまで言うならつけようかな……。そんなに難しくなさそうだし……」


 神妙な面持ちで顎に手を当てて独り言を呟く京香。

 付けちゃうんだね。電話ジャック。それに難しくないんだ。電話ジャック。

 適当に返事するもんじゃないな……。まぁ、使わなければいいだけか……。


「京香さん、電話終わったっぽい」

「あぁ、もう終わったのね」


 俺の声で我に返った京香は外を覗き込む。

 チラリと時計を見ると十二時まで後十分。そろそろ彼らが動き出してもおかしくない頃。


「電話の奴。移動し始めた」


 京香が指をさす。電話をしていた奴が奥の方に向かって歩き始めた。


「もうちょっとで始まりそうだね」


 ポケットの中に手を入れてシードがあるのを確かめる。

 隣の席に置いたヘルメットも問題ない。

 そのままで様子を見続け五分くらいが経った。予告の時間まで後五分。

 奥に歩いて行った奴が手招きをするのが見えた。


「なんか呼んでるっ」

「健太君準備!」

「もう出来てる!」


 京香に言われる前にヘルメットを被り、シードを握り締める。

 ヘルメットのバイザーを少しだけ開ける様に降ろし、口元だけ出しておく。何があるか分からないからギリギリまでシードを飲むのは控えておきたい。


「来たよ!」


 京香がスマホ画面越しに窓の外の景色を見ながら俺の背中を押す。

 外では黒のワゴン車が一台猛スピードで銀行に向かっているのが見える。


「行ってきます!」

「行ってらっしゃい」


 映画よろしく窓ガラスをぶち破って飛び出そうとも思ったけど、さすがに後が怖いので出入り口から飛び出す。


「サーモグラフィ起動!」

『視界をサーモグラフィに変更』


 扉から飛び出し車の方を見る。運転席と助手席に男が乗っている。両方とも腕の部分が青い。

 あいつ等だ。

 車に向かって走る。

 銀行に向かってブレーキをすることなく向きを変えるワゴン車。甲高いタイヤの悲鳴があたりに鳴り響く。

 警察もやっと状況を理解して動き始めるが遅すぎる。

 この速度に追いつけるのは、俺だけだ。


「おるるるらぁぁ‼」

『熱暴走を確認。人口皮膚、融解確認。嘔吐までの時間を表示します』


 シードを飲み込み赤く光る素体を露にした俺の全力疾走は、剥がれ落ちる人工皮膚を置き去りにした。

 直進してくる俺を見た取り巻きのオートマタは俺の方を指差したり、目を見開いたりしているがこれも遅すぎる。

 銀行に向かう為に俺に側面を見せたワゴン車に迫る。

 赤い光を残しながら走る俺は勢いそのままに車の横っ腹に飛び蹴りをかます。

 これで車の向きを強制的に変える!


―――ドゴッ! バギッ!


 俺が放った飛び蹴り。初めて走っている車に向かって蹴りを叩き込むからか無意識に俺は目を瞑っていた。

 真っ暗な視界の中、確かに車を破壊する音が二回聞こえた。

 ん? 二回?

 このまま目を開けるとへしゃげた車の側面と、破れたドアから覗かせる後部座席が見えると思っていた。


「うぅおあぁぁぁぁ!」


 だが今俺が見ている景色は広い駐車場。よろけるオートマタや警官も見える。


 これはまさか……。車を貫通した⁉


 未だに勢いが残った俺の体は左足の踵、右膝と右手を突いて何とか着地。ちょっとアスファルトが削れてしまった。


「な、なんだ!」

「こいつっ、赤いオートマタですよぉ!」

「おい車が!」


 背後から聞こえる複数の悲鳴。俺はそちらに向かって振り向く。


「あーあ……」


 後部座席にぽっかりと穴が開き、向こうの景色が見えてしまっているワゴン車。多分スリップしたみたいに何回か回ったっぽい。運転席が駐車場の出口に向いている。

 こっちまで心配になって近づこうとした時、助手席が開いた。


「山口さん! 大丈夫ですか?」


 山口と呼ばれた男は駆け寄った部下と思わしきオートマタを片手で制する。


「ったく、派手にやっちゃってよぉ……まぁいいか。赤いオートマタ。会いたかったぜぇ?」


 ゆっくりと降りてきた山口は肩まで伸ばしたぼさぼさの金髪を揺らしながら俺の方を向く。

 ダルそうなたれ目の瞼にはピアスが突き刺さり、唇にもソング型のピアスが刺さっている。

 サーモグラフィ越しに山口を見と、両手足が青い。


「何で銀行に突撃なんて考えた?」

「それは知らねえなぁ? 白江(しらえ)さんが凸れって言ったんだからよぉ……」


 ヘラヘラと頭を掻きむしる山口。


「人が死んだかも知れないだろ……」

「関係ねぇよ」

「は? 関係ない?」

「そーだよ。俺も、お前も、世間からどう思われてんのか知らねぇとは言わせねぇぞ?」

「無認可。まともに体晒して歩くことも出来ないってか?」

「んだよ。知ってんじゃねぇか。あははっは」


 腹を抱えて笑い出す山口。金髪が大きく揺れる。


「どういうことだ?」

「あのよぉ、お前もそんな事考えた事ねぇか? テレビで政治家が俺たちを排除するとかよぉ、それに流された馬鹿な人間は自分がオートマタじゃないからって俺たちを差別したりよぉ?」


 ゆっくりと山口が右手を挙げる。


「俺らオートマタ解放戦線はァ‼ そいつらをぶっ殺す! その為のオートマタ解放戦線だ! 俺たちの自由は殺して勝ち取る! そんだけだァ!」


 叫びながら振り下ろされた右手。さっきまで指になってた手は一本の刃に変わっていた。


「お前も! お前も! お前も! お前もぉ!」


 刃先を周りにいる警察に順番に向け、最後にゆっくり俺に向ける。


「お前は誰の味方だぁ? 返事によっちゃあ、お前もオートマタ解放戦線になれると思うんだけどなぁ?」


 なるほどオートマタ解放戦線がどんな奴らなのか大体分かった。俺とは全く相容れないらしい。

 初めて刃を向けられた。生身なら間違いなく腰を抜かして逃げ出しただろう。

 でも今は違う。京香が作ってくれたこの体。不自由な事も多いが、得たことも多い。


「俺は、京香さんのオートマタだ」


 視界に表示された残り時間は三分二十九秒。


「京香ぁ? 誰だそれ。まぁいっか。どうせそいつもお前も全員バラして白江さんに突きだすし」


 コイツ。京香にすら手を出すつもりらしい。それなら生かしておけない。俺と京香の敵だ。

 右足を一歩後ろに下げ、地面を踏みぬく。

 一気に距離を詰めた俺は握りしめた右ストレートを山口の顔面に向けて放つ。


「うひょーお」


 呑気な声を上げながら状態を反らして躱した山口は、ニヤリと笑いながら無理やり体制を戻して右手の刃を俺に振り下ろす。


―――ガキンッ!


 俺の肩口と刃がぶつかり、火花が散るほどの衝撃が俺の頭を揺さぶる。


「うぁっ……」

「はぁ⁉」


 俺のうめき声と目を見開いた山口の声が同時に上がる。


「何で切れねぇんだよ⁉ あぁ⁉ てめぇの肩かっ捌いただろうがよ!」

「はぁ……。お前と違って頑丈なんだよ。ポンコツオートマタ」

「んだとてめぇ!」


 山口は膝に手を突いた俺の首に向け再び右腕を持ち上げ、振り下ろした。

 が、遅い。

その刃を回り込む様に避けた俺は山口の背後から足に渾身の蹴りを入れる。


「なっ⁉」


 短い悲鳴を上げ、倒れ込む山口の足が飴細工の様に歪んでいる。生身なら足が吹き飛んでいただろう。


「ほら、蹴りで歪んだじゃん」


 何とか立ち上がった山口にゆっくりと近づく。


「山口さんだっけ? あんた、昼ご飯食べた?」

「は、はぁ⁉ 何言ってんだてめぇ!」


 乱暴に振るわれた刃を避けて更に近づく。


「飯を食ったかって聞いてるんだよ」

「あぁ! 食った! 今そんなの関係ねぇだろうがよ!」


 さっきサーモグラフィで見た山口の体。両手足以外は生身だった。という事は。


「おっらァ!」


 山口に向け、左足を踏みしめ、鳩尾に拳を叩き込む。


「ふぐぅぁ⁉」


 確実に胃袋を下から突き上げるように入った。これなら……。


「うぅぅ……」


 俺の足元で悶絶する山口を見下ろす。さっきまで騒いでいた男が芋虫の様に地面に這いつくばっている。


「どうだ? 中々悪くないだろ?」

「うおぇ……はぁ、はぁ」


 顔を真っ青にして口から唾液を垂れ流す山口。手で口を抑えているがもう止められない。


「おろぉぉぉぉぁぁぁ」


 顔を醜く歪め、山口は盛大に嘔吐する。


「結構気持ちいいでしょ? 刑務所でハマらないようにね?」


 手を突いたまま動かない山口を見下ろす。

 京香から見た俺もこんな感じなのかな? いや、さすがに無いか。


「そんな……山口さんが」

「あいつの動き見えたか?」

「おい、警察! なんで突っ立ってんだ! あいつを止めろよ!」


 山口の仲間が後ろでザワザワし始めた。怒鳴られてやっと動き始めた警官がこちらに向かってくる。


「そこの二人! そこから動くな!」


 駆け寄って来た警察を一瞥し、残り時間を見る。

 残り一分。警察に構っている暇はない。


「あの、すいません」

「動くな!」


 一言発しただけでシャットアウトされる。


「分かりましたから……」

「あなたは報道にあったオートマタですね?」

「はい」

「彼との面識は?」

「無いです。俺はオートマタ解放戦線の人じゃないです」

「で、あなたは?」


 まずい。後三十秒。


「じゃぁ、俺はこれで……」


 立ち去ろうとするが、止められる。


「まだ話は終わっていませんよ」

「俺の用事は終わったので」


 足に力を籠める。


「さよならっ! その人よろしくね!」


 そう言い残して俺は走り出す。踏み込んだアスファルトが窪むのを足で感じながら俺は全力でその場を後にする。

さっきまで居たカフェを超え、なるべく銀行から距離を取る。残り十秒。どこか、誰にも見られない裏路地を探さないと……。


『健太君。次の曲がり角を左に曲がって。そこなら誰もいないわ』


 頭の中に京香の合成音声が響く。いや違う。ヘルメットから京香の声が聞こえている。たった五分ぶりなのに随分と久しぶりに聞いた気がする。

 安心する京香の声。

 ほんの少しの時間離れていただけなのにもう会いたい。

 そんなことを思いながら京香の声を疑うことなく見えてきた角を曲がる。

 薄暗い建物と建物の間の路地に人の気配はなく、少し奥まで進めば吐けそうだ。

 壁に手を当てながらよろよろ歩き、残り時間が切れる。


「ううっ!」


 腹の奥からやってくる嘔吐の気配に俺は口を地面に向ける。咄嗟にヘルメットのバイザーを跳ね上げ、口を露にさせた。

 体から出ていた赤い光は消え、冷たく仄暗い路地裏の闇が俺を覆う。


「うぅえ……うろぉぉぉぉぉ……。うぉぇ……ごほっ」


 雑草が生えた地面に赤い吐瀉物を撒き散らす。緑の葉が赤く染まり、血だまりの様に地面に広がる。


「はぁ……。はぁ……。上手く、いったのかな」


 熱暴走が終わった途端、頭が冷えて、自分の心が小さくなったような感覚に襲われる。

 今は誰にも見つかるわけにはいかない。

 誰かがいるかもしれないという不安が俺の目線をキョロキョロと動かす。


「おかえり健太君」


 背後から声を掛けられる。聞き慣れた俺が一番落ち着く声。


「あぁ……ただいま」


 振り返ると京香が立っている。優しく微笑み、俺にゆっくりと近づき、


「かっこよかったよ」


 背中を擦ってくれる。


「そっか……なら、良かった……」


 そう言って貰えるだけで俺はもう満足だ。何も要らない。


「さ、家に帰ろ? ちゃんとこれも持ってきたから」


 京香から替えの人工皮膚と服をを受け取り家路に就いた。

第11話お疲れさまでした!


面白かったらいいねと評価、ぽちっとお願いします!


感想なんかを頂けるとモチベーション爆上がりでございます。ので何卒。

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