005 推しがモチベ
家に帰り、すぐさまベッドに顔面からダイブした。
「夢じゃ……ないよね?」
昨日あんなに感極まった握手ができた次の日に、まさか未来ちゃんが転校してくるなんて。夢だとしてもできすぎている。そんなイベントが発生するなど、誰が予想できるだろうか。
頬をつねってみたら普通に痛い。良かった……夢じゃなかった。
未来ちゃんとお話しできたこと、未来ちゃんが私の書く小説を褒めてくれたこと、その両方が私の心に癒しとなって浸透していく。
「……よしっ!」
なんだかやる気が出てきた。
今日も更新するぞと意気込んで、さっそくパソコンを立ち上げ、執筆を始めた。
私も現金なもので、推しに褒められたから執筆する速度が上がったのなんの。
その日のうちに完成した1話を投稿して、パソコンをシャットダウンさせた。
いつもは1時間近くかかる執筆も、気がつけば40分ほどで終えていた。
……未来ちゃんに褒められたことが1番のモチベーションになるんだよね。
私はスマホでサブスク契約しているアニメ専用アプリを開く。未来ちゃんが出演している今期のアニメの最新話を見るためだ。
『みんなの力を一つに集めて!』
未来ちゃんの声が、スマホから流れ出てくる。
この声を、今日から隣で聞けているんだなと思うと胸がいっぱいになる。
でも、胸に溢れた想いはそれだけじゃない。
せっかく未来ちゃんに褒めてもらえた小説を、ブックマーク30人くらいで終わらせてはファン失格だ。
夢と目標を大きく持ってこそ、未来ちゃん推しに顔向けできるというもの。
私はもう一度パソコンを立ち上げ、アップした話を改稿した。
あのライトノベルではこんな話術を取り入れていた。あのライトノベルは情景をこう描写していた。それらを私の能力と直感に落とし込む。
そうだ……私の目標、できた気がする。
いつか私の作品がアニメ化されて、未来ちゃんに主人公の声を当ててもらう。
大きすぎる目標だけど、それくらい言えなきゃダメだ。なぜなら私の作品は、あの未来ちゃんに褒められたのだから。
メラメラと闘争心を燃やし、私は改稿を進めた。
その日、ブックマークは7件増え、1日の最高PV数を記録。
私の未来ちゃんへの気持ちが、数字として現れたことに感動を覚えました。
皆さまの応援のおかげで週間ランキングに初めて乗れそうです!
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明日の更新は20時ごろになります。よろしくお願いします。




