表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ディリュージョン・ダン・デスティニー  作者: デスティノ
第3章 メシア編【アカシックレコード編】
96/363

第96話 死後の世界

私の七歳の誕生日──

私たち三人は、国王が以前演説を開いた広場に連れていかれた。

そこには十字架が──そう、磔だ。


私たちの死にゆく姿を、多くの国民が見ていた。

彼らの恐怖に侵された目、それ見た私は──


ああ、彼らはなんて可哀想なんだ。ここは地獄、やっと私は解放される──

と、幸福の二文字を感じる。

にこやかな笑顔を浮かべ、私の心情は穏やかになっていく。


そして、私は自分の体から飛び散る、真っ赤な血を最期に目にし──亡くなった。



★★★



メシアがすやすやと眠る部屋の中。

A0-2は、驚きのオリジンの過去の話に夢中になって、耳を傾けていた。

そんな彼女にオリジンは問う。


「A0-2、人は死ぬとどこへ行くと思う?」

「……天国か地獄でしょうか?」


A0-2の返答に、考える様子を見せるオリジン。

彼は少しの間をあけた後、彼女に言った。


「──違う、ボイドだ。ボイドという無の空間に、精神だけが逝くんだよ」


そして再び話に戻る。


私は死んだ後、姫に出会った。

その時にこの力──現実改変能力を手に入れたんだ。



★★★



死んだ直後、私の視界は真っ暗になり、そこから自分が死んだことを実感した。

体の感覚はとうに無くなっており、残っていたのは精神だけ。

五感などはたらくはずもないため、自分が今、どこでどうなっているのか見当もつかない。


──しかし、そんな時だった。


「──すのじゃ! ……返すのじゃ──!」

どこか遠くの方で、少女の声が聞こえる。


あれ……僕は死んだはずじゃ──

『自分が死ねていないかもしれない』という不確定要素に、私は不安になった。


『声が聞こえる』

また、そんな不思議な状況に戸惑っているうちに、今度は瞼の感覚が現れる。


反射的に目を開けた私は、寝ぼけたように辺りを見回した。

そこにはどこまでも続く真っ暗な空間が。

そして、私の他に誰もそこには居なかった。



この私が目覚めたこの場所こそ──『ボイド』、別名"無の空間"と呼ばれる場所。



何が起きているんだ──?

バッバッ、と鳥のように勢いよく頭を振って、状況を確認する。


ここはどこ──?

続けてそのような単純な疑問が頭に浮かんだ。

こんがらがりかけている私の頭。

最後のとどめにまたもや聞こえた──


「──それは妾のものじゃ! 返せ麒麟(きりん)!」


遠くからの少女の声が。


私は声のする方向わ、目を細めながらじーっと見つめる。


ん──?

ずっと遠くの方に──何者かが居た。

そして、点にも等しい何者かの姿を目に映した当時の私は


国王が見たという主──破壊主インフィニティ、

もしかして……向こうに居るあいつか──?

勝手な憶測を立てて、勝手に解釈した。


優しい国王が変わった原因。

国が荒れ果てた原因。

自分を拾った二人が死んだ原因。

自分の人生が壊れた原因。


すべて……あいつのせいだ……!

あいつが全部悪いんだッ───!

遠くに居る、得体のしれない少女。

当時の私は、彼女に底知れない恨みを感じていた。

そして、たまらずダッと走り出す。


「──あっ! お主も妾の菓子を! 返すのじゃケルベロス!」

遠くから聞こえる賑やかな会話。


人の人生を壊しておいて……呑気に喋るな──!

無限に心に湧く怒りを機動力に、私は走り続けた。

声と少女の姿がだんだんと近くなっていく──


「──そういえばお主ら二人、精神体の管理は大丈夫なんじゃろうな?」

「くぅー?」

「『くぅー?』じゃないわ──!」

僕の様子などお構い無しに続く、少女と誰かの会話。


あの様子だとおそらくまだ気づいていないのだろう──

私はひたすらに足を動かし続けた。


「──良い者の精神体は天国に、悪い者の精神体は地獄に。散々言ったじゃろう!」


先程までは点に等しかった少女の姿。

しかし、だんだんとその実体が明らかになっていく。


「──二人して妾をそんな目で見つめおって……自分たちのの仕事に何か不満か?」

私はようやく暗闇の中に佇む、少女の姿を捉える。


十三歳くらいだろう。

そんな背丈の少女が、私に背中を向け、立っていた。

そして彼女の背中には、魔王が付けるような長く大きいマントが。


「──ふざけるでない、麒麟、ケルベロス! それ以外の精神体はこのボイドに送られてくるのじゃ! つまり妾が管理するのじゃよ!」


私はラストスパートだと思い、走る速度を更に上げた。

自分が出せる最高速度。

それに乗りながら右腕をぐっと引く。

駆ける勢いに拳に乗せて、私は叫びながら全力で彼女に殴りかかった。


「僕の国をは破壊しておいて、タダで済むと思うなよ! 破壊主インフィニティ!」

『──ッ!?』

「うわぁぁぁぁ───!」




───ペち

全身全霊、重い拳を振るったつもりだったが、暗闇に響いたのは弱々しく可愛らしい音だけ。

私の全力のパンチは、あっさりと少女の左手で受け止められた。


「えっ……?」

私は驚きの声を漏らす。

掴まれた拳を振りほどこうとブンブン腕を振るが、びくともしない。

というか逆に、少女の握る力が強くなっていく気がする。


「──主神(しゅしん)である妾にいきなり殴り掛かるとは……」

突如、口を開いた目の前の少女。

彼女の声が耳に届いた瞬間、私の顔からは冷や汗が垂れ、心臓は激しく脈を打ち始めた。



そうだ──

七歳の僕なんかが……まともに太刀打ちできるはずがなかった──

ようやく我に返り、状況を把握する。


少女の左手に包み込まれた、自分の拳。

そこに固定されていた視点を、私は少女の顔へと移動させ始める。


自身の荒い呼吸、私はそれをひしひしと感じていた。

ゆっくりゆっくり動かしていき……最終的に彼女と目が合う。



そこには──背景の暗闇と同じく、思わず飲み込まれそうな暗黒の眼。

そしてその中心に、全てを焼き尽くす煉獄のように紅い瞳孔が存在した。

それが私をギロリと睨んでいる。


それだけでも、当時の私は気絶しそうなほど恐怖していた。

なのにも関わらず、少女は私に言った──



「無礼者が……、地獄送りにしてしまうぞ──?」

読んでいただき本当にありがとうございます!


少しでも「続きが気になる」とか「面白い」とか思っていただけたら、

ブクマと★(星)、『小説家になろう 勝手にランキング』のクリック、お願いします!


★(星)は広告下から付けられます!

『小説家になろう 勝手にランキング』も広告下にあります!


作者のモチベやテンションが爆上がりするのでお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ