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ディリュージョン・ダン・デスティニー  作者: デスティノ
第3章 メシア編【アカシックレコード編】
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第89話 整理

「──あのーすいません、まだですか?」


僕の喉でその言葉が出かかっていた時、ドアの方から声がした。

驚いてそちらを見ると、彼はジョーカーの手によって消された、ドアの枠組み。

そこから申し訳無さそうに顔を覗かせている──


「──爽真」

「輝星……」


爽真と目が合うが、彼は気まずそうに目をそらす。

僕達はお互いに名前を呼びあった後、黙り込んでしまった。

その時の彼は言葉のまま、まるで人が変わったかのようであった。


急な爽真の登場に、A0-2は声のトーンを少し落としながら注意する。


「皇爽真、隣の部屋で待っていろと言ったはずだが?」

「……」


黙り込む爽真。

いつもの元気はどこにいったのだろうか──


しかし、彼の様子などA0-2は気にせずに続けた。


「時間をかけてしまっているのは申し訳ないが、これも不可抗力だ。皇爽真、こちらの部屋に軽々と入ってきてもらっては困る。いいか?」

「……わかりました」


不服とも言えないような、言葉にしずらい表情をしている彼。

そんな彼は黙って隣の部屋へと戻っていく。

ぽつぽつとした、悲しい足音が響いた──



★★★



「A0-2、今の、大丈夫なんですか?」

「記憶処理のことか? ふっ、皇爽真に記憶処理を施すと言ったところで、メシアが許すはずないだろ?」


イザナミとA0-2は二人して僕のことを見つめる。


「──だろ? メシア」


続けてA0-2から声をかけられた。

しかし、僕は一言も彼女に返さずに黙った。


「…………」

「……メシア?」


イザナミに声をかけられるがそれも無視。


「…………」

「──メシア?」


二回目の呼び掛けで僕の思考がぷつんと切れる。

戸惑いの声を僕は上げた。


「……え?」

「え? じゃないよ、急に黙り込んで」

「ごめん、考えごとしてた──」


──先程の爽真の様子に、少し思うところがあったのだ。

元気が無いのも、僕に対して気まずそうにするのも、すべて僕のせい。

自身がメシアであることを黙り、僕が爽真を騙していたからではないか、と──


そんなことを考えていた。

僕のそんな様子をA0-2はじっと見つめる。

イザナミとは違い、僕の心情を察しているようであった。

それでも、何も言葉はかけてこない。


A0-2-としばらく目があった後、彼女は──


「まぁいい」


と一言だけ言うと、ふいっと目をそらし、話を元に戻した。


「まず今起こったことを整理しよう。ジョーカー、君は自身の力でメシアの能力を消した。そしてその後、大量の打撃をメシアに撃ち込んだ」

「──大量の打撃じゃねぇ! "ロッツ・オブ・パンチング"だ!」

「そのまんまじゃん、ダサすぎでしょ」

「なんだとイザナミ! かっこいいだろ!」


イザナミの言葉にジョーカーはすぐさま反応する。

なぜ二人はこうもギクシャクしてしまうのだろうか──


「ジョーカー、イザナミ、生産性のない無意味な言い争いはやめろ。君たちは子どもか?」

「ちげえよ! 俺を子ども扱いすんな!」

「じゃあ黙っていろ」

「……」


素直にA0-2に従うジョーカー。

イザナミも、不服そうな顔を見せつつも黙って話を聞き始めた。


「そのジョーカーのロッツ・オブ・パンチングとやらを、能力を消されているメシアが避けれるはずがない。しかし、事実としてメシアはすべての攻撃を完璧に回避してみせた……」

「さらにA0-2、先程のあいつの攻撃、音速はゆうに超えてましたよ」

「……そうか」


イザナミの横からの補足の言葉に、考えるA0-2。

彼女はポケットからメモ帳のようなものを取り出すと、そこに何か書き込む。

そして視線を上げ、この部屋の全員に対して言った。


「今ここで起こった出来事は、究極生命体の研究の大きな飛躍に繋がるだろう。そして、ここで結論を出すのは危険かつ早すぎる」


A0-2は僕の方に足を進め、僕の肩に手をぽん、と置く。

そして真剣な表情で彼女は僕に言った。


「メシア、先程私は、『我々はジョーカーの力を見誤っていたのかもしれない』と君に言った。だが訂正しよう。我々が本当に見誤っていたのは──君のほうだ」

「……」

「先程君が体験したこと、後で報告書にまとめておいてくれ。私はゼロが君に話した、この世の真理とやらをAPEX社に提出する──」


そう言うと、A0-2はコツコツと足音を立ててドアの方に向かう。

するとイザナミは、そんな彼女の背後に声をかけた。


「A0-2、話はこれで終わりですか──?」


A0-2はそれを聞いて足を止めた。

そしてこちらに背を向けたまま──


「いや、まだだ。しかし、つづきは明日にしよう」

「明日?」

「ああ、今日は予想だにしないことがありすぎた。今夜のうちに整理する──」


そう言って彼女はその場から立ち去った。

A0-2の足音がAPEX社日本支部のエントランスに響いた──

読んでいただき本当にありがとうございます!


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