第85話 回避
「お前、それ以上この仮面のこと言ったら…………消すぞ──?」
ジョーカーに明かりを消され、暗闇に包まれたこの部屋。
そんな中で聞こえた、ジョーカーの言葉は圧倒的な威圧感を纏っている。
そんな彼の言葉を聞き、A0-2の頭の中に浮かんでいた"制止"の二文字はは強まる。
彼女は二人に言い放った。
「──やめろ、ここで言い争っていても仕方がない。二人とも一旦落ち着け」
「……」
「チッ……」
ジョーカーの舌打ちとともに、一瞬にして部屋全体が静まり返る。
その様子はまさに鶴の一声。
続けて──
「ジョーカー、一つ質問だ。収容室からわざわざ逃げ出し、君はここへ来た。その目的は一体何だ?」
「……んなことどうでもいいだろ。俺は今、あのイザナミってクソ野郎にムカついてんだ」
「──ジョーカー、質問に答えろ」
話を逸らそうとするジョーカーをすぐさま正す。
「てか、そもそもなんで俺がお前の質問に答えないといえねぇんだ?」
「君は我々APEX社の管轄下にあるからだ」
「んなこと知ったこっちゃねえよ」
「──知っている、知っていないは今はどうでもいい。私の質問に答えるんだ」
ジョーカーが論点から脱線し、それをA0-2が引き戻す──その繰り返し。
黙って聞いているこちら側からしても、進展の全くないその会話はうっとおしく感じた。
──しかし、そんな時。
会話している方もとうとう痺れを切らしたのか、遂にジョーカーが踏み込む──
「なぁA0-2、お前そんなに聞きたいのか……? 俺の目的」
「ああ、そうだ。この質問は、君と我々の関係の行く先を動かすものだ」
「そうか、何言ってんのかわかんねぇけど……やっぱ直接見た方が早いよな?」
「直接? それはどういう事だ──!」
「こういう事だよ──」
ジョーカーの予想外の言葉に、A0-2に戸惑いが見られた。
何かが起こる──
そう思いつつも警戒心を強める僕だったが、部屋は暗く何も見えない。
「削除」
ドンッ──!
途端、空気の壁を突破したような衝撃音を感じる。
ビクッと僕の体が動いたような感覚がしたが、暗闇で何が起こったのか一切わからない。
でも何故か、僕はどことなく自身の体全体が熱く感じた──
「何が起きた……?」
僕の口から思わずこぼれた呟き。
しかし、それに対して暗黒から返ってきたのは、彼の"驚愕"であった。
「は──!?」
ジョーカーの声が部屋に響く。
それに続いて、パチン──と部屋の明かりは復旧する。
激しい明暗の差に、チカチカする僕の目。
目を細めつつも、一体この部屋で何が起きたのか確認した。
ドアの方を見つめる僕とA0-2。
しかし、そこにはジョーカーの姿はない。
横を見てみると、そこには目を大きく見開いて僕のことを見つめるイザナミが。
そして、肝心のジョーカーはというと──
「おいメシア! お前やっぱすっげぇなッ──!」
僕の三メートルほど後ろに立っていたのだった。
「え、僕何かした……?」
ジョーカーがいきなり褒めてきたため、戸惑いつつ僕も質問する。
この部屋の明かりが消え、暗くなってから僕は何もしていないはず──
僕はそう思っていた。
しかし、ジョーカーから返ってきた言葉は予想だにしないものであった──
「『何かした……?』ってお前、俺の全力攻撃簡単に避けたじゃねえかよ──!」
「え──?」
体を動かしたつもりは全くなかったが、自分の足元を見てみると──
「ちょっと待って、これって……」
確かにそこには僕の両足から伸びた軌跡。
つまり、僕がその先からここまで動いた証拠、それが床には刻まれていたのだった──
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