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ディリュージョン・ダン・デスティニー  作者: デスティノ
第3章 メシア編【アカシックレコード編】
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第85話 回避

「お前、それ以上この仮面のこと言ったら…………消すぞ──?」


ジョーカーに明かりを消され、暗闇に包まれたこの部屋。

そんな中で聞こえた、ジョーカーの言葉は圧倒的な威圧感を纏っている。


そんな彼の言葉を聞き、A0-2の頭の中に浮かんでいた"制止"の二文字はは強まる。

彼女は二人に言い放った。


「──やめろ、ここで言い争っていても仕方がない。二人とも一旦落ち着け」

「……」

「チッ……」


ジョーカーの舌打ちとともに、一瞬にして部屋全体が静まり返る。

その様子はまさに鶴の一声。

続けて──


「ジョーカー、一つ質問だ。収容室からわざわざ逃げ出し、君はここへ来た。その目的は一体何だ?」

「……んなことどうでもいいだろ。俺は今、あのイザナミってクソ野郎にムカついてんだ」

「──ジョーカー、質問に答えろ」


話を逸らそうとするジョーカーをすぐさま正す。


「てか、そもそもなんで俺がお前の質問に答えないといえねぇんだ?」

「君は我々APEX社の管轄下にあるからだ」

「んなこと知ったこっちゃねえよ」

「──知っている、知っていないは今はどうでもいい。私の質問に答えるんだ」


ジョーカーが論点から脱線し、それをA0-2が引き戻す──その繰り返し。

黙って聞いているこちら側からしても、進展の全くないその会話はうっとおしく感じた。


──しかし、そんな時。

会話している方もとうとう痺れを切らしたのか、遂にジョーカーが踏み込む──


「なぁA0-2、お前そんなに聞きたいのか……? 俺の目的」

「ああ、そうだ。この質問は、君と我々の関係の行く先を動かすものだ」

「そうか、何言ってんのかわかんねぇけど……やっぱ直接見た方が早いよな?」

「直接? それはどういう事だ──!」

「こういう事だよ──」


ジョーカーの予想外の言葉に、A0-2に戸惑いが見られた。


何かが起こる──

そう思いつつも警戒心を強める僕だったが、部屋は暗く何も見えない。


削除(デリート)


ドンッ──!

途端、空気の壁を突破したような衝撃音を感じる。

ビクッと僕の体が動いたような感覚がしたが、暗闇で何が起こったのか一切わからない。

でも何故か、僕はどことなく自身の体全体が熱く感じた──


「何が起きた……?」


僕の口から思わずこぼれた呟き。

しかし、それに対して暗黒から返ってきたのは、彼の"驚愕"であった。


「は──!?」


ジョーカーの声が部屋に響く。

それに続いて、パチン──と部屋の明かりは復旧する。


激しい明暗の差に、チカチカする僕の目。

目を細めつつも、一体この部屋で何が起きたのか確認した。


ドアの方を見つめる僕とA0-2。

しかし、そこにはジョーカーの姿はない。

横を見てみると、そこには目を大きく見開いて僕のことを見つめるイザナミが。

そして、肝心のジョーカーはというと──


「おいメシア! お前やっぱすっげぇなッ──!」


僕の三メートルほど後ろに立っていたのだった。


「え、僕何かした……?」


ジョーカーがいきなり褒めてきたため、戸惑いつつ僕も質問する。


この部屋の明かりが消え、暗くなってから僕は何もしていないはず──

僕はそう思っていた。

しかし、ジョーカーから返ってきた言葉は予想だにしないものであった──


「『何かした……?』ってお前、俺の全力攻撃簡単に避けたじゃねえかよ──!」

「え──?」


体を動かしたつもりは全くなかったが、自分の足元を見てみると──


「ちょっと待って、これって……」


確かにそこには僕の両足から伸びた軌跡。

つまり、僕がその先からここまで動いた証拠、それが床には刻まれていたのだった──

読んでいただき本当にありがとうございます!


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