第76話 威圧感
「メシア、あなたの疲労の原因……それは──"オリジン"です」
「オリジン……、奴が──?」
「メシア、あなたはテレビ局で初めてオリジンと出会った時のこと、覚えていますか?」
「初めて会ったときのこと……」
僕は呟きながら回想を膨らませた──
〇〇〇
「サイバネティクスアーマー、装着完了──」
その音声と同時に僕の視界は暗視ゴーグルのように、軽く緑がかったものになり、僕の目の前の人物の全体像をはっきりと捉える。
背丈は180cmくらいだろうか、少し高めで体型は普通くらい。
その大きな体を黒い高級そうなスーツが覆っており、年齢は多分中年より少し下くらいだろう。
外見だけではそこまで異常性はないが、問題は彼のもつ雰囲気だ。
彼を目に映した瞬間に"圧倒的な威圧感を感じた"のだ。
僕の心臓は、はち切れそうなほど速く鼓動し始め、空気が薄くなっているのではないかと思うほど呼吸がしにくい。
さらには手が震え、体が熱くなり、汗もだらだらと出てきている──
〇〇〇
──真っ暗なテレビ局内でオリジンと出会った時のこと。
僕は過去を振り返って、その時の情景を繊細に思い出す。
そうだ、何故か僕はオリジンの姿を目に映した瞬間に、"圧倒的な威圧感"を感じた。
そして、それと同時にどんどんと僕の体調は悪くなっていったのだ──
オリジンとの出会いを頭に浮かべ、僕はゼロを見る。
すると彼はお得意の読心術を使い、瞬時に僕の心を読み取って話を始めた。
「そうです、あなたはオリジンを初めて目にした時、彼のもつ威圧感に押し潰されそうになりました」
「でも、あの威圧感と僕の疲労に何の関係が──」
「順を追って説明します。まず、この世界には大きく分けて四つの階級が存在しています。低い順にノマド、究極生命体、神、主──」
「ノマド……? 何だそれ……」
「えっとですね、この四つの階級の順番は単純に強さによるものなんです。そのうち、最下層の”ノマド”というのは”、究極生命体未満”の強さの存在を示します。つまりは、微生物から人間まで、究極生命体よりも格下であれば、すべてがノマドに該当するのです」
「なるほど……」
ふむふむと頷きながら話を理解していく。
「そして通常、この階級に差がある者どうしが対面するとあなたが以前感じたような、威圧感を感じるのです」
階級に差があるものどうしが対面すると、威圧感を感じる──
そのことを聞き、一瞬そのまま何の疑問を持たずに過ぎ去ろうとした。
しかし、僕はふと立ち止まり、ゼロに問う。
「いやでもちょっと待って──」
「どうしましたか?」
「僕はヒーローって役柄上、人間と対面する機会が大量にある。でも、相手はいつも僕になんの威圧感も感じていないんだよ……。人間はノマド、僕は究極生命体。階級に差があるのにどうして──」
そう、僕がいつも人間と面と向かってコミュニケーションを取る時、相手は僕に一切の威圧感を感じていないのだ。
それどころか、逆に皆僕に対してとても友好的に接してくれている。
この事実とゼロの話の矛盾──
ゼロは僕の質問に答えた。
「それは相性の問題です」
「相性?」
「はい、そうです。先程あなたに遮られ、話の途中になってしまいましたが、実は”階級の差が大きければ大きいほど、威圧感は大きく感じる”のです」
「てことは、ノマドが究極生命体に感じる威圧感。ノマドが神に感じる威圧感。この二つを比べた時、後者の威圧感のほうが大きいってこと?」
「おっしゃる通りです。しかしメシア、不思議に思いませんか? 私は創造主、階級が最も上の存在。主です。それに対してあなたは究極生命体。これについて、何か思いませんか?」
確かに言われてみればそうだ。
僕とゼロには階級に二つも差がある。
それなのに、威圧感どころか何の違和感も感じない──
僕は疑問の眼差しをゼロに向けた。
「そうです、あなたは私に一切の威圧感を感じていません」
「それはどうして──?」
「人間があなたに威圧感を感じない理由と同じです。私とあなたの気迫の相性が、とてつもなくいいからですよ──」
読んでいただき本当にありがとうございます!
少しでも「続きが気になる」とか「面白い」とか思っていただけたら、ブクマと★(星)お願いします!
★(星)は広告下から付けられます!
作者のモチベやテンションが爆上がりするのでお願いします!




