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ディリュージョン・ダン・デスティニー  作者: デスティノ
第3章 メシア編【アカシックレコード編】
73/363

第73話 談話

4月30日正午の12時ちょうど。

その時刻に僕がムーティアライトを破壊してから、約5時間が経過した。

現在の時刻は、午後5時すぎ。

オレンジ色に染まった空には夕日が。

僕、イザナミ、A0-2、爽真、そして七海家3人の計7人はその時、APEX社日本支部に居た──


「うわぁ……、ここがAPEX社……!」

「はしゃがないでよ、七海心音。メシアに抱きついた分際で」

「わかってますよ、イザナミさんっ」

「……っ、そんなくっついてこないでよ──」


住宅街の地下に存在する、APEX社日本支部。

広々としたエントランスを、A0-2は突き進んでいる。

それ以外の僕たち6人は、彼女を先頭に、肩を並べて後ろをついて行っていた。


「くっついても別にいいじゃないですか」

「あーもう、こういうタイプ本当に嫌い」


イザナミに嫌われていることは心音もわかっているだろう。

しかし、それでもなおイザナミにぐいぐいと詰め寄る心音。

そんな彼女に僕は声をかけた。


「心音もずいぶん人見知りが解消されたね」

「いやいや、家では心音いつもこんな感じだよ」


七海が横から割り込んでくる。


「え、そうなの? じゃあなんで今まであんなに人見知りに……」


疑問を唱えながら心音のほうに目を向けた。

自身の家でのありのままの姿。

それを七海にバラされたせいか、心音は顔を赤く染めていた。


「多分だけど、今までは気が置けない関係じゃなかったからじゃない? 心音、どうなの?」

「ま、まぁそんな感じかも……。テレビ局の時にメシアさんと色々喋れたのが大きかったっていうか……」


チラチラとこちらを見ながら話す心音。

そんな彼女の整った顔から撃ち出される上目遣い。

それは、いい意味で兵器と言える。


七海は考える素振りを見せながら、再び話し始めた。


「うーん、どうなんだろうね、このメンツ」

「どうって?」

「メシア以外には、人見知り無くなったかもしれないけど──」

「え? なんで僕以外?」


唐突に自分が仲間外れにされたことに驚きを覚える。

僕が投げかけた質問に対し、七海は──


「だって心音はメシアのこと好きじゃん? 好きな人の前だと緊張しちゃうみたいなさ──」


そう言って七海は心音のほうに視線を向けた。

僕も彼女にならって同じように心音を見る。

そこには先程よりもさらに顔を赤くして、黙り込む心音の姿があった。


「……」

「心音、やっぱり図星だった?」

「……っ!」

「あははっ、やっぱりそうだぁー」


七海家の姉妹による、賑やかな会話。

いじられている心音の表情は見ていて面白い。


僕はしばらくそんな心音の表情を伺っていた。

しかし、そんな時。

視界に爽真の顔がふいに入り込む。


「……」


先程から一言も声を発せず、ずっと下の方を向いている。

ムーティアライトはとっくに破壊したというのに、悲しそうというか残念そうというか──

そんな感じの表情を爽真はしていた。


「爽真、どうしたの──」


不思議に思い、反射的に爽真に声をかける。

しかし──


「──着いた、ここだ」


と、A0-2の言葉に遮られてしまう。

仕方なく今爽真と話すのは諦め、A0-2が指さす方向を見た。


僕たち7人の前には、間隔を開けて自動ロックのドアが二つ。

七海、心音、二人の父親、爽真は右のドアへ。

残った僕とイザナミは左のドアに誘導された。


ウィーン──


A0-2がカードキーをスライドさせると、そんな機械音が流れる。

右側のドアに、先に皆が入ったのを確認したあと、僕とイザナミは目の前の部屋に足を踏み入れたのであった──

読んでいただき本当にありがとうございます!


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