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ディリュージョン・ダン・デスティニー  作者: デスティノ
第1章 メシア編【始まり編】
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第6話 登場

自分たちのクラスに戻るとやはりそこには何とも言えないざわつきがあった。

既にこの早さで友達を作った人はその友達と話し合い、一人でつぶやく人もいた。


「俺この学校ミスったかもしんねぇわ……怖すぎだろ」

「それなまじで何だよあのスピーチ……」

「まあでも……一応この学年にはメシアいるしな!」

「おっそうじゃん! 『見つけろ』とか言ってたけど正味俺らの仲間じゃん!」


先程の入学式での不安を僕の存在が一気にかき消した。

この華やかしさとは真逆の学校に光を差し込むのが僕だなんて。

そしてそんな僕は特に目立たないようにしようと自席で黙って座っている。


天沢輝星(あまさわきせい)』なんて名前をつけるから、案の定席は一番前。

騒がしさのすべてが自分の後ろから聞こえ、話に加わるにしても後ろを振り向かなければならない。

ほんとに良くない位置だ──


タッタッタッタッ──


そんな中教室の外、階段の方から勢いよく駆け上がる足音が聞こえた。

皆それに気づいたのか徐々に騒がしさは消えていき──教室のドアが開いた。


「──1年A組の皆さん入学おめでとうございます!」


ドアが開くとともにその言葉がこの教室に響き渡った。

明るく柔らかみのある声──そこに立っていたのは優しい顔をした若い女性の先生。


「1年A組の担任をすることになりました、武見美智子(たけみみちこ)と言います! 皆よろしくねー!」


武見先生の笑顔が皆の目に映った。

入学式でガチガチに固まっていた皆の心をそれは一瞬にしてほぐしたのだ。

皆の安心の二文字がめいっぱいに伝わってきた気がした。


「それともう一人、大事なクラスメイトが来てます──皇爽真(すめらぎそうま)君!」


──ッ!


武見先生の紹介の直後、この教室に入ってきた彼の姿。

それは見間違うはずもない。

今朝のトレインジャックの被害者──皇爽真だった。

武見先生にも劣らない彼のその明るい顔、皆の注目がそっちに向かった。


「トレインジャックで遅れました! 皇爽真(すめらぎそうま)です、よろしくお願いします──!」


その瞬間大きな歓声と拍手喝采がこの教室を包み込んだ。

『トレインジャックで遅れた』というなかなかのパワーワード、それがこの場の雰囲気を一気に盛り上げた。

初対面のぎこちなさを彼の登場が一気に吹き飛ばしたのだ。


「皇メシアに助けられたんだろ! どんなんだったんだよ!」

「マジで死ぬほどかっこよかっ──」

「──でも何よりは皇君の無事だよ!」

「ありがと──」

「──そういえば七海雫も巻き込まれてたみたいな! あっちの方も着いたのかな」

「それは──」


爽真の登場の賑わいと彼自身の反応が上手く噛み合わず、彼の言葉の遮断が繰り返される。

すべて言いかけで止まり、爽真の動揺した顔が僕の目には映っていた。

しかしそんな状況を見かねた武見先生が一言──


「はいはい、そこまでそこまでー! 皆元気いいなー、先生もう早速このクラスのこと好きになっちゃったかも!」

「えー何それ武見先生可愛いー」

「俺も武見先生が担任で最高っす!」


クラスの中の明るい面々がどんどん反応していき、親睦が深まっていく。

色んな要因が重なりこのクラスの雰囲気は一気に明るくなった。

初日にしては相当良いスタートだろう──このまま順調にいって欲しいと思う僕。


武見先生が教卓に立ち、爽真は自分の席に座った。

彼の席は僕とはやや近め、これでクラスメイトが全員揃ったというわけだ。


「じゃあ皆もう一回挨拶からいきましょうか! ──全員起立!」


クラス全員が立ち上がった。

少し後ろの方に顔を向け、皆の様子を伺いながら立ち上がる僕。

僕の視界には爽真が映り、彼と目が合う──彼はニコッと笑いグッドサインを出す。


僕も彼に同じように笑顔とグッドを返した──


「1年A組の皆さん! おはようございます!」

『おはようございます──!』


元気の良い挨拶が教室に響いた──

読んでいただき本当にありがとうございます!


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