第46話 誰か(残り8日)
「君があのまま暴走してくれれば、すべてが上手くいったというのに……」
後ろからかかるオリジンの声。
心音の方を向いていた体を、オリジンの方に向ける。
僕がゆっくりと振り向くとオリジンは言った。
「誰がメシアの暴走を邪魔した……? 七海心音、君か……?」
彼の悔しさと悪意にまみれた顔。
しかし、心音は全力で首を振って否定した。
「ち、違いますっ……!」
「そうか……まぁいい。七海心音、どちらにしろ君は殺す。目障りだ」
「ひっ……!」
オリジンの狂気じみた言葉に心音は悲鳴をあげる。
そして、すっと僕の後ろに隠れた。
僕の暴走が止まってしまったことで計画が滞り、オリジンは相当腹が立っているようだ。
そして今度は僕に標的を変え、オリジンは語りかける。
「そしてメシア、どうやってここを出る?」
「それは……」
何も案がない僕はつい黙ってしまう。
「改変され続ける迷宮を駆け回るか? それとも迷宮自体を壊すか? でも、壊したあとはどうする? 待っているのは23階からの転落死だぞ?」
「……」
「そうだ、今の君のその状態では脱出など到底不可能なんだよ」
オリジンは僕にそう言うが、僕はめげずにひたすら考え続ける。
さっきのテレパシーでA0-2は『君の50m前方にある壁を吹き飛ばせば外に出れる』と言っていた。
でも僕の前にはまずオリジンがいる。
そう簡単には通させてくれないだろう。
仮にスピードで押し切って50m先の壁までたどり着いたとしても、それを破壊し、さらには23階の高さから心音を安全に着地させなければならない。
そしてそんな状況下で僕が使えるのは技一回のみ──
しかし、いくら考えてもやはり厳しい条件下なのは変わりなく、突破口は見つからない。
オリジンに何も言い返せず、黙り込む僕。
心音には僕の姿はとても情けなく映っていることだろう。
「メシア、君は救世主やらヒーローやら謳われているが、能力がなければ何もできない。いつも一緒にいたイザナミも今はボロボロ。力も仲間も失った君に残されたものは……何もない」
「……っ」
「何も言い返せないのか? メシア」
僕の情けない姿を見て、オリジンはにやけた。
いやまだだ。考えろ、考えるんだ。何か方法があるはずだ。
僕一人で解決しようとしなくてもいい。
誰か頼れる人物はいないか?
この際ヒーローのプライドなんてものは捨てろ。
ヒーローだって誰かを頼っていいんだ。
誰か、誰かいないか──
僕はひたすらに思考を巡らすのであった──
読んでいただき本当にありがとうございます!
少しでも「続きが気になる」とか「面白い」とか思っていただけたら、ブクマと★(星)お願いします!
★(星)は広告下から付けられます!
作者のモチベやテンションが爆上がりするのでお願いします!




