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ディリュージョン・ダン・デスティニー  作者: デスティノ
第2章 メシア編【ムーティアライト編】
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第41話 テレビ局(残り8日)

脱出してから外では30分が経過、先に脱出したスタジオ組の様子は──


「まだメシア君たちは出てこないのかね! 他の全員は脱出して、あれから30分も経っているというのに」

「警察と消防隊は来ているようですが、まったく動いていませんね……」

「ちょっと君たち! 何をしているんだね! 中にいる人を助けるのが警察と消防の役目だろ!」

「危ないので近づかないでください!」


宇喜多一とそのマネージャー、そして警察と消防隊のやり取りが辺りに響く。

場の雰囲気はギクシャクし始め、ピリピリしていた。


夜もすっかり更け、街灯がなければ空に浮かぶ星々が肉眼で見えるほどの暗さ。

その暗闇に立ち誇るテレビ局は、どこか異様な雰囲気をかもし出していた──



そんな中、外からテレビ局の23階を心配そうに眺める七海雫。

彼女の頭にはメシアと七海心音の二人のことだけが浮かんでいた。

30分経っても出てこない二人。

七海雫の脳裏に"最悪の事態"がよぎる。


「だい……じょうぶかな……」

心の声が外に漏れたその時だった。

後ろから足音とともに、少しの威圧感を帯びた低めの女性の声が返ってきた。


「大丈夫だ、心配することはない」

「え……? だ、誰ですか……?」

「私はA0-2、APEX社の幹部の一人だ。君がメシアの正体を見破った七海雫だな。メシアから聞いているよ、よろしく」

「よ、よろしくお願いします」


いきなりのA0-2の登場に七海雫は驚く。

言葉を詰まらせつつも、七海雫は聞いた。


「な、なんでそのAPEX社の幹部なんかがここにいるんですか?」

「詳しくは話せないが、このテレビ局が超自然的な力をまとっているんだ。そういうことに関しての専門は我々だからな」

「超自然的な力……?」

「あぁそうだ。先ほどからレスキュー隊が突入を試みていたが、テレビ局全体が透明な壁のようなもので覆われていて入れない状態にある」


それを聞き、七海雫の中にあった不安がさらに増大した。

妹の安否が知りたくて気が気ではない。

平常心を必死に保ちつつ、七海雫は続けて聞く。


「それってまさか……出られないんじゃ……。心音は……まだ中にいるのに……」

「さっきも言っただろ、心配することはない。今のメシアが能力が使えないとはいえ、彼は救世主だ。そんな簡単には倒れないさ」

「でももう30分も経ってるんですよ……」

「いや、中での経過時間は約10分だ。原因は不明だが、テレビ局内での時間の流れがこちらと比べて遅くなっている」


話し終えた後、腰に手を当てひたすらテレビ局を眺めるA0-2。

彼女はメシアに事を任せることしかできない、無力さを自分自身に感じていた。

A0-2は「はぁ……」と自分に呆れてため息をつく。


七海雫はそんなA0-2の様子を横目に、ひたすらメシアと自身の妹の帰りを待っていた。

頭に何度も不安が横切っていたそんな矢先、今まで不気味に光を放っていたテレビ局が一気に暗くなる。

果てしなく広がる夜空の背景にその建物は同化し、それはまるで突然姿を消したかのようだった。


「な、何が起こった!?」

「何故いきなりテレビ局内の電気が消えたんだ!」

「どういうことだこれは!」

「中にいるメシアは一体何をやってるんだ!」


あちらこちらから声が上がる。

警察と消防隊はその人々を必死に抑えた。


何もすることができず、仲間割れのようになっているこの現状。

辺りが騒がしくなった今がチャンス──


そう思った報道陣たちは、少し離れたところで先程からずっと様子を伺っていたのにも関わらず、人が変わったかのように一斉に走り出した。

餌に群がるアリのように一気に広がり、何枚もテレビ局の写真をとって中継を開始する報道陣。


おまけには、七海雫が心配そうに真っ暗なテレビ局を目に映す姿も全国に生で流れる。

しかし、七海雫はカメラで撮られていることを気づいていながらも、まったく反応しない。


ひたすら心の中で願っていたからだ──

メシア……お願いだから、心音を救って──!

読んでいただき本当にありがとうございます!


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