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ディリュージョン・ダン・デスティニー  作者: デスティノ
第2章 メシア編【ムーティアライト編】
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第39話 足音(残り8日)

一方その頃僕たちは──


「メシアさん……一体何が……」

「僕にもわからない」

「……」

僕の素直な返答に心音は不安そうに黙り込む。

彼女のそんな様子を見た僕は

不安にさせちゃいけない──

そう思い、先程の言葉に付け加えた。


「でも一つだけ断言できる。君のことは僕が絶対に守り通す……! だから安心して」

「は、はいっ……!」


心音はそう言うと僕の後ろへそろりそろりと下がり、背中の服をギュッと掴みながら顔を出した。

はぁはぁという心音の荒い息遣いが僕の緊張をさらに引き立たせる。

僕たち二人は警戒しながら、人影がまったくなく、薄気味悪さを感じる不気味な廊下の奥をじっと見つめていた。


なにが起こったんだ……? それに何だこのなんとも言えない違和感は……。

能力を使って周囲環境をスキャンすることもできないし、それに加えて今の僕にはイザナミの機械、サイバネティクスしかない。

もし何者かと対面したときはこれで一発で仕留めるしか──


そんなことを考えながら、心音の顔を見る。

そこには冷や汗をかきながら、廊下の奥を見つめて怯える彼女の顔があった。

僕はそんな心音の肩を掴み、目を合わせながら言う。


「とりあえず今から非常階段へ向かう」

僕の言葉に彼女は黙って必死にうんうんと首を縦に振った。


「で、その時なんだけど……心音は後ろを見ておいてくれる?」

「わ、わかりました……」

「二人で協力してここから脱出しよう」

「はい……!」


そう言って僕と心音はゆっくりと、そして着実に非常口の進んでいった。

道中、たまに心音が僕の背中を強く握るときがあったが、僕はそのたびに彼女の頭を撫でて安心させた──



□□□


僕たちが今いるこのテレビ局は日本でもっとも大きく、50階建てである。

それぞれの階も結構広く、初めて訪れた人はよく道に迷い、約束時間に遅れるのが定番だそう。

似たような見た目の廊下が続くから、他の建物と比べてもわかりにくいという──


□□□



なのだが……不運なことにも、ここにいる僕たち二人はこのテレビ局に来たのは初めてである。

案の定道に迷い、非常口がなかなか見つからない。

というか非常口以前に、さっきからずっと同じところをぐるぐる歩き続けている気がする。


非常口はどこだ? さっきから五分以上うろうろしているが緑色の光すら見えないぞ……?

外も何か異様なほど真っ暗だし、移動してるかどうかすらわからない──


そう思い僕があたりをちらちらと見回していると、心音が心配そうに僕に声をかけた。

「メシアさん……まだつかないんですか……?」

それに対して

「あとちょっとだから、安心して」

と僕。


道に迷ったなんて心音に言えるはずがない……でもこのままだったらずっと迷い続ける気が──

僕は本心を隠しつつ、歩き続けた。


★★★


それからしばらく経つと、壁に貼られている地図が目に入る。

この階の全体図の中に赤く塗りつぶされた丸が。

その横には『現在地』という文字が書かれていた。


先程からずっと歩き回っていたが、地図によるとどうやらここからまっすぐ行って、突き当りを左に曲がればそこに非常階段があるらしい。


でもそこも何回も通った気が──


なんとなくそんな違和感を覚えつつ、僕は地図を指でなぞりながら道を確かめていた。

その瞬間──

「きゃあぁぁぁーー!!」

心音の甲高い叫び声が背中で鳴り響く。


「メシアさんっ!! あそこ! あそこにぃっ!!」

慌てて振り返った僕の目には、廊下を指さす心音の姿が。

彼女の指を目で辿りながら指差す方向に目をやるが……そこには何もなかった。

僕は心音に聞く。


「いきなりどうしたの? 何があったの?」

それに対し、心音は廊下の奥を指さしながら怯えつつ


「あそこにさっき……黒い人影が……!」

と一言。

目を凝らしてもう一度よく見てみるが、やはりそこには人影どころかなんの形跡もない。


やっぱり何もないぞ……?

そう思いつつ僕が心音の方を振り返る。

その時──


スタ…………スタ…………

とゆっくりと、そして優しくカーペットをふみ歩く足音が聞こえた。

その音はとても微弱で、どうやら心音には聞こえていないようだが、僕は段々と足音が大きくなってきているのを感じる。


いつにも増して警戒心を高め、眉間にシワを寄せて辺りを見回す僕。

そんな僕の姿を見て不安になったのか、心音はとうとう泣き出してしまう。


心音のすすり泣く声が廊下に響く。

しかし、それと同時に変わらず足音は僕の耳に届いている。

僕の心拍音はしだいに早くなっていった──

読んでいただき本当にありがとうございます!


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