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ディリュージョン・ダン・デスティニー  作者: デスティノ
第2章 メシア編【ムーティアライト編】
37/363

第37話 七海心音(8日前)

スタジオの左側に宇喜多一、真ん中には司会者である上田大輔。

スタジオの右側には、左から七海、心音、僕の順番で席に座っているという配置。


これ心音ちょっとまずくないか……?


思っていたよりも心音の様子がひどいということに、隣に座って改めて気づく。

僕は心音のことを心配しつつ、七海の方をチラッと伺う。

やはり七海も心音の異常に気づいているようで、少し焦ったような表情をしていた。


しかし、それに気づいていない上田大輔は僕の紹介を進めていく。


「四年前のグランドキャニオンでの出来事──通称"平和の始まり"をきっかけに存在が明らかになり、今では知らない人はいないほどの人気っぷり。

光を操る能力やその素晴らしいルックスで世界中から注目を浴びていましたが、最近になってヒーローを一時休止して大賢高校に入学したことでさらに注目を集めるようになったまさにNo.1ヒーロー、ということで。

まぁもうこんな紹介しなくてもわかりますよねー」

「僕みたいな年寄りも知ってるんだから。本当にメシア君は凄いと思うよ。僕も心から尊敬しているし」


どうやら宇喜多一も心音の異変に気づいていないようで、平然と話を続けていく。


脳の神経細胞同士の電気信号を、僕の光の操作能力を使って読み取り、干渉して五感を介さずに情報を伝える技──テレパシー。


普段ならそのテレパシーを使えば、他の人たちにバレずにやり取りできるのだが……能力が使えない今、そういう訳にはいかない。

更にテレパシーは他の技と比べてだいぶ神経を尖らせないと使えない代物だから、多分サイバネティクスには登録されていない技だろう。


仕方ない……周りの人に迷惑をかけることになるがここは言おう──


「では企画に移りましょう──」

「──ちょっと待ってください」

「ん? どうした?」

「えっと、七海心音さんが体調悪そうなんで、少しだけ時間を頂いてもいいですかね……」

「え? あ、ごめんごめん気づかなくて。大丈夫? 全然いいよ、休みな」


驚きつつも、心音のことを心配してくれる上田大輔。

心音は彼に対して「……すいません」と小声で言ったあとうつむいた。


僕と七海は、二人して心配そうに心音の顔をうかがう。

うつむいている心音はこちらをちらっと見て、彼女と目が合ったその瞬間だった。

心音は僕の手をぎゅっと握り──


「め、メシアさんっ……! ちょっとついてきてくださいっ……!」


そう言って立ち上がり、スタジオの外へ連れていこうとする。


「え、え? ど、どうしたの?」

「早く来てくださいっ……!」


僕はいきなりのことに戸惑いつつも、スタッフに断ってから心音とともにスタジオを後にした。

心音とともにスタジオの外へ出ていく時、僕たちの後ろ姿を七海が憂わしげな表情で見つめていたのを覚えている。



★★★



「ちゃんとああいう時はスタッフさんに言わないとダメだよ」

「すみません……」


道中、僕はさきほどのことを注意した。

しかし、心音は謝りつつも僕の手を引っ張り、早歩きでどこかへ向かっていく。


そして、たどり着いたのはスタジオからだいぶ離れたトイレの前。

辺りを見渡しても誰もいない。

僕は不思議そうに彼女に尋ねた。


「いきなりどうしたの? さっき体調悪そうにしてたし……」

「いきなり連れ出してすいません……! 実はその私、事件とか事故とかそういうのが身近で起こる時、すごい体調が悪くなる体質っていうか、能力っていうか……。他の人に言っても信じてもらえなさそうで、今まで言ってなかったんですけど──」

「──待って」

「は、はいっ!」


僕は心音の言葉を勢いよく遮る。

もしも彼女が言っていることが本当なのであれば、先程の体調不良は事件の前兆。

つまり──


「それってつまり、さっき体調が悪かったのって……」

「そうです……。もう少しで事件が──」


ジリリリリリリ────

その瞬間、耳障りな警報音がテレビ局全体に鳴り響いた。

読んでいただき本当にありがとうございます!


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