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ディリュージョン・ダン・デスティニー  作者: デスティノ
第2章 メシア編【ムーティアライト編】
33/363

第33話 正体(残り10日)

「え……?」


彼女の言葉に僕はその場で口を開けながら立ち尽くした。

脈拍と呼吸がどんどんと荒くなっていく。


「その反応、やっぱり図星だったんだ」

「いやいや僕がメシアだなんて……本気で言ってるの?」

「もうちょっと慎重に動くようにしたほうがいいと思うよ? バレバレ」


鼻で笑い見下すような形で僕にその言葉を叩きつけた。


「違う違う、僕はメシアなんかじゃないって……! 僕は天沢輝星、正真正銘の大賢高校生だよ!」

「私は仕事上そういうのわかっちゃうんだ。何か緊張した新人さんに似てるねー、()()()

「い、いや……だから………」


七海の詰めに僕は何も言い返せなくなる。

口を閉じながらただそこに突っ立ってるだけの僕を見て、彼女はにやけながらさらに続けた。


「でもそんなに心配しなくても大丈夫。弱みを握ってどうしようだとか考えてないし、広めもしないから」

「いやだから……」

「──もういいって! 分かってるから正直な理由! 言わないと更に好感度下がるからねー」


彼女が僕の正体にいつ気づいたのかは分からない。

ただいつにせよ気づいた時には驚いただろう。

浅い関わりではあったけどそれが全て真っ赤な嘘だったのだから。


「……理由は言えない」


まだ口調は優しいままに留めていた七海だったが、この言葉に彼女の眉間がピクリと動いたのが分かった。

『はぁ……』と一回ため息をついて七海は言う。


「中学生の時、私も皆の理想でいたくてずっと自分に嘘をつき続けてきたよ。嘘で自分を固める辛さは分かるから──」

「──無理だよ七海、それでも理由を言う訳にはいかないんだ」

「どうしてそこまで……」


僕は七海の同情をきっぱりと断わった。

僕の決意の硬さに驚く七海。


理由も言わずに家へ入ろうなど図々しいに決まってる。

僕がメシアだと分かっているなら、隠し通そうとしているこの理由もあらかた想像がつくだろう。


でも七海、君が思ってるよりも事態は深刻なんだ──

もう勢いで押し切るしかない──


僕は大きく息を吸い込み、目と目を合わせて真剣に言葉を伝えた。


「これは僕の責任なんだ……メシアとして君に頼んでるんだ──」

「……わかった」


七海は僕の言葉を受け取り、そう答えてくれた。

何度も何度も「ありがとう」と頭を下げながら呟く僕。

しかし彼女の表情はどこか悲しげに見えた。

その原因は僕にはとうに分かっていたこと。


「さ、遅れちゃうよ。早く学校行こ?」


七海はすぐさまその表情を切り替えると僕にそう言う。

僕達はそのまま学校へ向かった──

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