第17話 室内戦
ドンッ──!
ジョーカーは壁を思い切り蹴り飛ばして僕にすぐさま接近する。
『ステップI発動──』
彼の手のひらが僕の顔に触れるその瞬間に僕はそこから姿を消し、彼の頭上に飛び上がった。
そして僕は思い切り脚を振り上げ、一気に彼の脳天めがけて凄まじいスピードで振り落とす。
『ライトニングドロップ──!』
ライトニングドロップ──相手の頭上に瞬時に移動してかかと落としをくらわす僕の技。
そんな僕の攻撃はジョーカーに見事に命中し、彼は下向きに吹き飛ばされる──
『削除ッ!』
「──ッ!?」
彼がそう言った途端、彼が叩き落とされ激突するはずだった廊下の地面が消える。
ここは二階の廊下、消えた地面の先に見えたのは一階の廊下。
彼は一階の廊下の地面に見事に着地し、すぐさま飛び上がり──
「隙ありィッ──!」
ドゴッ──!
彼は下を覗き込む僕の顔面に重い殴りを一撃放った。
その攻撃により僕の体は宙を舞い──
『またまた削除ッ──!』
二階の廊下の地面に叩きつけられるはずだったがジョーカーによってそれが消され、僕は一階の廊下に落下する──
二倍の落下ダメージ。
「オレの能力『削除』はその名前の通り、消す力ァッ! んでもって物質も概念も消せるってのが驚きだよなァッ!」
「でも君が即座に僕自体を消さないあたり、その能力の適応範囲には限界があるんでしょ」
立ち上がりながらそう言う僕。
目の前にはニタニタと笑みを浮かべるジョーカー──いや実際にはピエロの仮面で見えないが、きっとそうなのだろう。
「メシアお前結構賢いんだなッ! 言う通りだぜェッ──!」
またもや僕に向かって飛び込んでくるジョーカー。
僕は瞬時に構えに入り拳をギュッと握りそれをそのまま前に勢いよく押し出すっ──
『ライトニングストライクッ!』
至ってシンプルな殴りの技の『ライトニングストライク』だが、当たって無傷という訳にはいかないだろう。
しかし僕の拳を難なく避けるジョーカーは、『ヒッハハハハッ』と笑いながらぴょんっと僕を飛び越えその流れで頭を持って──地面に叩き落とそうとした。
『──ライトニングストライク』
丁度僕の頭上に来たジョーカーを、僕はまたもや同じ技でアッパーの形で殴る。
打ち上げられた彼の体が天井に激突するその瞬間に、僕はひょいっと飛び上がり彼に蹴りを一発。
すると彼は窓を破って外に放り出された。
ダンッ──!
しかし彼は何故かたちまち飛び上がり、その上昇した高さは校舎を超えた。
その予想だにしなかった動きを見かねた僕は、すぐさまその破られた窓から外に出る。
パリィンッ──!
『キャーッ──!』
再びガラスの割れる音と誰かの悲鳴。
視界にそれは映っていた──一年の教室が並ぶ五階の廊下にジョーカーが飛び込んだのだ。
他の人に危害が及ぶのはまずい──
今ならメシアとして気を張ることなく動ける──
でも場所が学校なのは変わらない、好きに動けば周囲に被害が──
僕の光による高速移動、先に動き始めたジョーカーに僕はもう追いついていた。
昼休みの賑やかな廊下──そこに飛び込むジョーカーと、その直後になだれ込んできたメシア。
「戦うのは僕だけだろジョーカー!」
「メシアが全力出さねぇからこうなるんだよバカがァッ──!」
僕は彼の首を後ろから思い切り掴み、そのまま外に出そうと窓ガラスに向かって叩きつけた。
『削除ォッ──!』
僕が掴んでいたジョーカーの体はそこから消え、彼は教室の中に移動していた。
彼は教卓の上にあぐらをかいて座り、教卓から一番近い席で昼食を食べていた生徒を指さす。
『削──』
『──ライトニングウィップ』
しかし彼の指は突如光るムチのようなものに巻き付かれ、身動きが取れなくなる。
それどころか彼はその光るムチに引っ張られ、教室の壁に向かって放り投げられた。
ライトニングウィップ──ムチのように伸びた、しなる光を指から伸ばし操る技。
彼はすぐさま『ライトニングウィップ』に適応し、ムチを掴んで逆に僕のことを操ろうと試みる。
しかし僕は思いっきりムチを引っ張り、自身の体をジョーカーに向かって突進させた。
その勢いのまま彼に一撃、二撃目はかわされ三、四と見事に命中。
彼の反撃が来る前に僕は後退して再び攻撃。
今度は適応されることを考慮して一度飛び上がり、天井を蹴り飛ばしてジョーカーに攻撃──壁に着地して、そのまま壁を蹴り飛ばし攻撃する。
壁、床、天井を何度も何度も蹴って不規則な動きをとり、更にはその度に加速し攻撃の威力も増していく。
室内戦で辿り着いた、この縦横無尽に駆け巡る技──
『──ライトニングファランクス──』
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