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ディリュージョン・ダン・デスティニー  作者: デスティノ
第1章 メシア編【始まり編】
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第16話 話せばわかる

人気の一切ない薄暗い廊下、その奥にはピエロの仮面を着けた陽気な青年──ジョーカーがいた。

その反対側には僕と、僕の肩から怯えて顔を覗かせる七海。


「ジョーカー、君は何でここにいるんだ」

「いや、お前の方こそ心当たりあるだろッ! オレ今朝から訳わかんねぇ奴らに狙われてんだよォッ!」

「……?」


訳わかんねぇ奴ら……APEX社のことか──?

昨日僕はジョーカーに関する報告書をA0-2に提出した──

それを受けてすぐさまAPEX社が活動を開始したのなら、今朝からというのも辻褄が合う──


とりあえず首を傾げてしらばっくれておいたが、ここでジョーカーが勢い余って僕の正体を言ってしまわないかが心配だ。

初日のあの時だって、僕が『メシア』から『天沢輝星(あまさわきせい)』に姿を変えていたというのに彼は正体に気づいていた。

恐らく今この時も僕がメシアだということには気づいている。


「天沢君、あの人ジョーカーって言うの? 海外の人?」

「詳しくは後で話すよ、七海はもう教室戻ってて」

「どうして──」

「──後で話すから」

「わ、分かった……」


僕の言葉の圧に何かを察したのか、戸惑いながらも七海は反対方向に走っていった。

僕は彼女に危害が加わらないようにと、ジョーカーを警戒してじっと見つめる。


『もう居なくなったか』とチラチラと走っていった七海の様子も見つつ──

しかし七海はまだ廊下を走っているまま。

廊下の突き当たりにある階段まで行ってしまえば、ジョーカーからは死角。


「おいおいメシアッ! 女も守れるほどの余裕あんのかよッ!」

「──ッ!」

「自分も女もってやってっとどっちも損ねるぞッ──」


ジョーカーのその声に僕が慌てて正面を見ると、目と鼻の先に彼のピエロの仮面が。

僕の後方の七海はまだ逃げきれていない。

彼女が逃げることさえ出来れば僕は──


削除(デリート)

「──ッ!」


パチンッ──

指パッチンの音がしたと思えば目の前の彼の姿が消えた。

目をカッと開いて驚く僕──しかしすぐさま我に返って後ろを振り向く。


するとそこには七海を追うジョーカーの姿が。

彼がひとたび地面を蹴ると彼の体は宙に浮き、凄まじい勢いで加速。

廊下の直線をその一蹴りだけで一気に駆け抜ける。


ジョーカーの手が七海に向かって伸びているのが見えた。

七海が廊下の突き当たりに着き階段の方へ曲がる。

彼の手が七海に触れるのが先か、七海が曲がり切り死角に入るのが先か、その刹那──


「ナイスだよ七海──」



『──ライトニングストライク──』


その瞬間僕の髪色は黒から白へと変わり、急加速によって激しく靡かれる。

そして眩い光がカッと走った。


ジョーカーの指先が七海に触れるその直前、彼の眼前には"光る拳"があった。

七海は必死になって走っているが故に、自身の後ろで何が起こっているのかなど知る由もない──


七海を襲おうと急加速したジョーカー、そして彼は七海に触れる直前まで来ていた。

しかし七海が死角に入ったことで僕が動き出した。

僕は一瞬にしてジョーカーを追い越し、彼の目の前に立ちはだかると彼の顔に殴りを一撃。


ズドォンッ──!


ジョーカーの体は反対方向へと吹き飛ばされ、向こう側の壁に勢いよく激突する。

彼が衝突した壁はめり込み、ボロボロと瓦礫が落ちて砂埃が待った。


「待ってたぜッ! やっと来たかよメシアァッ──!」


僕が見られてはいけないのは『メシア』と『天沢輝星』が入れ替わる瞬間。

メシア単体で見られたところで、皆は学校にメシアが居るというのは既に知っている。


「もう話はどうでもいいッ! とりあえずオレと戦えメシアァッ!」


肝心なのは『天沢輝星=メシア』という情報がバレてはいけないということ。

この人気のない廊下、七海も逃げて消えた今が好機。


そう、僕の容姿は既に変わっていた──

黒髪は白色に、顔も普通の日本高校生から、世界中に知られたあの明るい顔立ちに。

天沢輝星という正体を隠すための偽の姿から、本当の姿──メシアへ。


そして能力を発動した僕の体の周りには、ビリビリビリッと流光が流れる。

僕は反対側の廊下の奥に吹き飛ばされたジョーカーに向かって足を進めながら言う。


「窮屈なのが終わったよ、今なら思う存分メシアでいられる」

「じゃあオレと思う存分やり合えるってことだろッ!」


彼も体勢を立て直し、犬のように頭をブンブンと振って体についた砂埃を払った。


「君の素性はよく分からないから話し合おうと思っていたけど、他の人に手を出すなら──」

「やるしかねぇだろッ──!」

「君の言う通りにするしかないね」

読んでいただき本当にありがとうございます!


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