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ディリュージョン・ダン・デスティニー  作者: デスティノ
第1章 メシア編【始まり編】
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第14話 立て続け

『遅れる──!』


声を合わせてそう叫ぶと僕たちはたちまち走り出した。

屋上のドアへ一気に向かって勢いよく重い金属のドアを開ける。

『ガゴン──』と大きな開閉音が鳴り響くと同時に、階段を『タタタタタ──』と駆け降りていった。


七海の金色の綺麗な髪が走る風で靡いて、その華奢な走り方が目に映った。

一方の僕も急ぐあまり慌てて究極生命体の能力を使いそうになるが、すぐさま止める。


「ねえ天沢君っ──!」

「何──!?」

「私さっきから勝手に『天沢君』って読んじゃってたけど大丈夫──!?」

「いやそれこのタイミングで話す──!?」


階段を駆け下りて廊下を走り抜けながら、僕たちは並んで声を交わしていた。

『はあはあ』と息を切らして言葉がぶつ切りになりながらもだ。


「全然大丈夫! 好きな呼び方でいいよ──!」

「じゃあ私のことも好きに呼んで──!」


僕と七海の荒い息遣い、勢いよく揺れる視界、激しい足音。

この校舎の構造にまだ慣れておらず、教室までの道のりがどれ程のものなのかよく分からない。

とりあえず進み続けるが、正直教室に向かえているのかははっきりしなかった。


「ねえ七海、これ僕たちやばくない?」

「うん、はぁ……私たち早速問題児みたいに、はぁ……なっちゃう──!」

「あんま目立ちたくないんだけどな……」

「そうなの、はぁ……天沢君全然息切れしないね……」


途中で息切れするのをすっかり忘れてた──

怪しまれては……ない──


少しの違和感があったのかもしれないが、七海の方は急いでいてそれどころではないようだ。

僕は並走しながら彼女の表情を伺っていた──


──その時だった。


『──削除(デリート)


次の瞬間、気がつけば僕は自席に座っていた。

今の今まで七海と全力で走っていたというのに。

周りを見てみてもちゃんとクラスの皆はいるし、先生も僕が急に現れたことに驚くこともなしに授業を続けていた。


何だ、一体今何が起こった──?

皆何事もなかったかのような様子だし、今までのは夢──?

いや違う、僕は確かに七海と屋上にいた──

七海の方はどうなった──?

それにあの『削除(デリート)』っていう謎の声も──


不可解なことだらけ、僕の頭にはクエスチョンマークばかりが浮かんだ。

頬杖をついて先生の話を聞く振りをしながら頭を働かせた。

先生の話し声、チョークが黒板と擦れる音も次第に遠のいていき、僕は完全に上の空となる。


何かあの声どこかで聞いたことあるような──

半年前にAPEX社が発見した『新たな究極生命体 レナトゥス』、『謎の神 命神(めいしん)コアトリクエ』──

あれからずっと立て続けに変なことが起こり続ける──


僕は今までのことを思い返していた。

それらが何故か繋がる気がしたからだ。


学校の前に現れた神と名乗る、ピエロの仮面のジョーカーという人物──

大賢高校のあまりにも冷淡、冷酷な校風──

削除(デリート)』という声とともに起こった不可解な瞬間移動現象──


どうにかそれらの共通点を見つけ出そうと試みるが、全く見つかる気配がない。

何の関連性もない、ただ独立した事柄にしか思えなかった。


この授業が終わったらすぐ七海のところに行って、どうなったか聞くべきか──?

いやそれだとまた目立つ、今度にした方が──


「──い」


うーん──

あっちから来るのを待つっていうスタンスでいるか──

でもそれなら自分でタイミング決めて、自分から話しかけた方が──

あ、それに爽真にも七海から言われたこと伝えないと──


「──せい」


そういえば昨日の夜はイザナミが来たっていうのに驚いて、ジョーカーのこと報告するの忘れてたな──

APEX社に帰ったら報告書にまとめて提出しないと──


「──輝星!」

「はっ──!」


気がつくと目の前には僕を呼ぶ爽真の姿があった。

一瞬にして上の空でぼやけていた視界が鮮やかになり、皆机を動かしているのが分かった。

しかしそんな状況を掴み取れずキョトンとする僕に、彼は呆れながら言う。


「何ボーッとしてんだよ輝星、俺らペアだぞ!」

「ペア……?」

「もういいから! 早く机くっつけるぞ──!」


その日は結局、七海のところに行って先程の話を聞くことはしなかった。

向こうから来るのかと思っていたが何故かそんなことはなく、何事もなかったかのように一日が終わった。

帰りは今日こそ爽真と一緒で、夕日に照らされワイワイ話しながら電車に揺られ、最後は二人腕を組み爆睡。


一方で僕は家に──と言ってもAPEX社だが、帰ってから一連の出来事を報告書にまとめてA0-2に提出した。

彼女からは『状況は理解出来た、進展があればまた報告してくれ』と淡白な返信。


──そうしてようやく僕は眠りについた。




翌日、再び更なる驚きに襲われることなど知らずに──

読んでいただき本当にありがとうございます!


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