第100話 洗脳
見てわかるとおり、100話いきました。
でも、書いてる側としては『まだまだこの作品の終わりが見えないな』って感じしてます。
ここまで読んでくださってる人たちには、まじで感謝しかないです!
本当にありがとうございます!
そして今後もぜひ読んでください!
「──これが私が過去に経験してきたことだ。この現代で目を覚ました頃には既に、現実改変能力を持っていたんだよ」
「凄い人生をお送りになってこられたのですね……」
オリジンの前世の話がようやく終わりを迎えた。
A0-2はオリジンの機嫌を損ねないように感想を述べる。
一区切りついたと思う彼女だが、話にはまだ続きがあるよう。
オリジンはA0-2の感想に一切の反応を示さず、再び口を開いた──
「私は子供ながらに、この不完全な世界を必死に生き延びてきた。孤児院に入り、義務教育を受け、そこから超難関大学に入学──この力を使って下克上を果たしたのだよ。
地位と名誉を手に入れた私は、一度愚民どもの手によって落とされたものの、最終的にはこの世界の最高峰──APEX社の社長となった……!」
独裁者の演説のように、話が進むにつれて声がどんどん大きくなる。
オリジン自身も舌を回していくうちに、気持ちが昂っていく。
一方A0-2の方は相も変わらず黙り続けた。
「──そして、そうやって生きていくうちに、私はこのどうしようもない世界を"正しくする方法"を思いついた。
人間は言わばこの世界の癌──諸悪の根源なんだ。なら……その人間自体を排除してしまえばいいんだよ……!」
遂にオリジンはダッと勢いよく立ち上がる。
A0-2も少しばかりの驚きを見せ、引き気味になった。
彼は大きく息を吸い込み、言う。
「──この世界に住まう"私以外の一切"を一度滅ぼし、人間の代わりに究極生命体を住まわせる。そうすれば一挙に世界は安定、そして"宇宙"という新たなステップに踏み出せる……! これこそ……私の辿り着いた答えなんだよ──!」
バッと大きく両腕を開き、天井を見て天を仰ぐ。
席に着くA0-2からは、オリジンの不気味な笑みが少しばかり拝めた。
自身の築き上げた計画を披露し、今にも舞い上がりそうなオリジン。
一方で、冷や汗を流して戸惑うA0-2。
二人のテンションにはひと目でわかる、明らかな差があった。
★★★
やがてオリジンは、しばらくの間上を見上げていたその顔をA0-2のほうに降ろしてくる。
A0-2と目を合わせた彼は、ニヤつきながら彼女に言った。
「どうだ? A0-2」
言葉を詰まらせながら彼女は戸惑う。
「ど、どうと言われましても……」
「──なんだ?」
ぐいっと一気に距離を詰め、威圧感でA0-2を圧倒するオリジン。
A0-2は慌てて答えた。
「いえ! なんでもございません!」
「……いや、何かあるんだろう?」
「いえ、何も!」
「私の力を使えば、君程度の生命体の本心を見抜くことなど朝飯前……。つまり隠そうとしても無駄ということだ、わかるか?」
完全に追い詰められ、窮地に立たされるA0-2。
心を見抜かれるとなれば、もう逃げるところなどどこにも無い。
彼女は渋々口を開いた。
「……わ、わかりました。そ、その……先程オリジン様がおっしゃった『私以外の一切を一度滅ぼす』というのが……」
「それがどうした?」
「……その……、なんというか……」
『オリジンは神にも等しいもの』と、記憶を改変されているA0-2は、最後まで言い切ることが出来ない。
もじもじと中途半端に言葉を切り上げる彼女だったが、オリジンはその続きを察した。
「──まさかそれが不服だというのか?」
「そ、そういうわけでは……」
「A0-2、つまり君は死にたくないのだな?」
「……」
まさに図星。
遂にA0-2は黙り込んでしまう。
しかし、逆にそれがあだとなった。
「なるほど、君はAPEX社社長である私の計画よりも自身の命を選ぶということか」
まるで揚げ足を取るかのようにしてそう煽るオリジン。
A0-2はすぐさま反射的に否定しようとするが、彼は彼女の顔の前に手のひらを置く。
まるでそれは飼い主が犬に『まて』をしているかのよう。
A0-2は戸惑いつつも口を閉じる。
オリジンはその様子を見て、ゆっくりと椅子に腰掛けた。
静寂の中、再び机を挟んで見合うオリジンとA0-2。
A0-2は『やってしまった……』と言わんばかりの、焦った表情を。
それに対してオリジンは大きく、そして『呆れ』という感情が混ざったため息をつく。
そして、それからしばらくの間を置いた後、オリジンは
「A0-2、君はやはりいくら洗脳したとしても……そちら側なんだな──」
とだけ言い放ったのであった──
読んでいただき本当にありがとうございます!
少しでも「続きが気になる」とか「面白い」とか思っていただけたら、
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