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あの日あの時…

ひとりの衣類販売屋がうとうととしている。

暖かい陽のもと、サンレインことスノーレインの旦那が

静かにうたた寝していた。


――――――

―――


スノーレイン「あなた、一緒に行きましょう。」


サンレイン「ああ、身重の君をひとり、置いていきはしないさ。ただ…」


スノーレイン「?」


サンレイン「ちょっと用事というか、やりのこしたことがあるんだ。

それを済ませてからいくよ。大丈夫、必ず追いつくからさ。」


不安そうに見つめるスノーレインにサンレインは優しく抱き寄せた。


フェイクレイン「…ではサンレイン様、私たちは南の街へ向かいます。

そこに新居を構えるのが良いかもしれません。あそこは都市も

にぎやかでありながら海も山もあります。よい環境かと。」


サンレイン「いいね!里より住み心地がよさそうだ。」


フェイクレイン「最初は里との違いに戸惑うかもしれませんが、

私が補佐するので大丈夫です。」


サンレイン「ん、じゃあフェイクレイン、ぼくがいない間は君にまかせる」


フェイクレイン「了解しました。」


気配を察しているのか、ジュレイドがサンレインの裾をひっぱり、

耳を貸せと言わんばかりに手を口元にあてる。

そのしぐさをみてサンレインがしゃがみこむ。


ジュレイド「せっかく生き返ったんだから、死なないで…」


それに対してサンレインが答える


サンレイン「大丈夫、あの世で修行してたんだ。必ず勝って、生きて戻るよ」


ジュレイド「必要ならボクらの誰かが手伝うよ?」


サンレイン「うれしい申し出だけど、一族の問題は一族で決着をつけたい」


ジュレイド「…わかった」


ジャイル、ジュレイド、ジェミイ、ジョネアの4人が

スノーレインとフェイクレインを連れていく。

後に続いて初代から四代目も一緒についていく。


ひとりきりになったところでサンレインが叫ぶ。


サンレイン「殺気が隠しきれてないぞ!でてこいよ!」


そういうと高い木の上から何者かが降りてきた。


????「…」


サンレイン「おまえは…たしかフェイクレインの付き人だった…」


????「ルナレインだ。ルナレイン・フルフェザー!」


サンレイン「呪気を帯びてる。話し合いする気じゃなさそうだね」


ルナレイン「当然だ!おまえの奥方のスノーレインは私の家族も

友達も殺した。私が長くお仕えしたフェイクレインも

一族を裏切りあろうことかスノーレインの下についた。

制裁をあたえない理由がない。」


サンレイン「オレが死んでる間、オレの嫁に里の人間どもは

揃いも揃ってまともなことをしてなかったようだが?

あんたらが優しくしてればこんなことにはならなかったと思うが、

自業自得だろ。」


ルナレイン「だまれ!里の意向に背く者は排除する。それが里というものだ!

おまえたちも二代目が毒殺されたのも里の掟を破ったからだ!

問題も間違いもない!」


サンレイン「やれやれ、話し合いにならねえな。なら、やるしかねえか。」


ルナレインが全身に呪気をまとい、ライオンの姿をまねる。


ルナレイン「どうだ!これが呪気の究極系だ!進化した呪気だ!」


サンレイン「…それが究極?ははははは!」


笑うサンレインに対し、ルナレインが怒る


ルナレイン「何がおかしい!?」


サンレイン「そんなのはただ、呪気をめいいっぱい大きく

広げただけだ。まあ、通常の呪気より強いのは認めるよ。

さしずめ呪気ファーストってところか。」


ルナレイン「ファースト?まだ先があるような言い方だな?」


サンレイン「そうさ…呪気にはまだまだ可能性がある。オレが

ずっと死んでる間、あの世で磨き上げた呪気の力、それをみせてやるよ」


サンレインが呪気を高め、そして全身を黒く塗りつぶすようにおおわれていく。

そして姿が現れる。体の服はぴったりとしたスーツにZをあしらったものに変化した。


サンレイン「これが呪気セカンド・ヒーローモードだ。いまのお前の

100倍くらいは強いぜ?」


サンレインの姿にルナレインが笑う。


ルナレイン「何がセカンドだ!服装がただ変わっただけだろう。

変身というより着替えのようにみえるが?」


サンレイン「なら、試してみろよ?」


それを言い終わる前にルナレインが大きな口を開けてかみ砕こうとする。

サンレインがふっと腕を振り、ルナレインの首から下を粉砕した。


ルナレイン「ば…か…なぁ!」


サンレイン「だからいったろ?いまのお前の100倍は強いって」


生首だけになったルナレインに呪気を流し、塵に変えた。


サンレイン「さて、これでスノーレインの因果もなくなった。

フェイクレインも後腐れなく生きられるだろうよ…

っと、南の街にいったんだったな。早く追いつかなきゃ!」


せん…


すいません…



――――――


―――


客「すいません!」


サンレイン「はっ!?はい!」


客「この洋服がほしいんですけど!」


サンレイン「ああ、すいません!いまお会計を…」


その様子をみていた店員がクスクス笑っている


店員「店長~、居眠りはよくないですよお」


サンレイン「そういうなら君が接客するか、起こしてよ…」


店員「私は私で仕入れの準備や在庫の確認しなきゃいけないんで~」


サンレイン「はあー…」


15年前にはじめたサンレインの衣類販売店、

順調に売れ続け、南の街ではちょっとした有名なお店になっていた。


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