邪悪
久しぶりの更新です。
次の日、早朝…クローバーは身支度を整えていた。
もう一度シャンシャンのいる妖怪の世界へ行き、鍛錬を積み
さらなる高みを目指すためである。
クローバー「…ふう、食事や寝床の準備は向こうでしてくれるし
持っていくとしたら剣と服くらいですかね…」
クローバーが準備をしていると誰かが部屋のドアをコンコンコンッと叩いた。
クローバー「はい?」
アミル「入ってもいいかしら?」
アミルだった。
アミル「おはようクローバー、どこかへ出かけるのかしら?」
クローバー「ええ、今回のスラッシュとの戦いでわかりました…私はまだまだ
強くなれる…その余地がある、と」
アミル「それで、また妖怪の世界へ行くのね…どれくらい滞在するのかしら?」
クローバー「そうですねえ…少し長くなるかもしれません。3カ月くらいを予定しています。」
アミル「游月に連絡してるの?」
それを聞いてクローバーは思わずハッっとした。そういえば連絡をしていない。
予め今日そちらへ行きますと言う事を伝えていなかったのだ。
クローバー「いえ…」
アミル「あっちの世界に行く時はね…ちゃんと游月にいつ、何日滞在するかを
事前に伝えておかなくちゃいけないのよ。ほら、向こうにも都合ってものが
あるのだから。クローバーだっていきなり自分の部屋に誰かがきたら困るでしょ?」
クローバー「た、確かに…」
アミル「私が今日、游月にクローバーが修行するためにそっちの世界で
シャンシャン達に稽古つけてもらうように伝えておくわ。
あっちはあっちで準備があるだろうから、明日か明後日には妖怪の世界へ
行けるように手配しておくわ。」
クローバー「ありがとうございます。」
アミルが改まる。
アミル「それより…あなたに任務を任せてもいいかしら?」
クローバー「任務…ですか?」
アミル「そう!こいつをあなたに任せたいの!」
そういうとアミルが手配書を差し出した。
そこにはこう書いてあった。
クローバー「ギアー・G・ヘルヒルズ…懸賞金は金貨10000枚…生死は問わず…ですか。」
クローバーにとっては初めての万枚クラスの賞金首である。
いままで相手にしてきた敵とはあきらかにレベルが違うことは容易に想像できた。
アミル「能力は不明…でも居場所は突き止めてる。ここから西へ20キロの場所に
寂びれた教会がある、そいつはどういうわけかよくその教会にいることが多い。
調べでは40人以上殺してるみたいだけど…懺悔をしてるとは思えないわね…」
クローバーはヘルヒルズの手配書の顔を見る。とても穏やかで笑っている。
とても殺人をするような顔つきには見えなかった。
クローバー「任せてください!油断はしませんが今の自分の強さを計るにはちょうどいい相手です。」
クローバーはヤル気のようだ…
アミル「それじゃあ、今日はアマテラスと一緒に行動してちょうだい。
戦闘はあなたに任せるわ。自身の実力を試したいならアマテラスには
手をださないように言っておくわよ?」
クローバー「よろしくお願いします!ですが…やばくなったら助けてはほしいかな…」
アミル「ふふふ♪期待してるわよ、クローバー。」
クローバー「はい!」
そして10時…
アマテラス「やっほー!準備はいいかいクローバー?」
クローバー「ええ…問題ありません!」
リルフ「ヘルヒルズはかけられた懸賞金もさることながら
強さも今までの奴等とは段違いだと思う、気をつけろよ…」
クローバー「もちろんです」
ブラスト「ちぇっ…そういう仕事はオレがやりたかったんだけどなー。
ま、今回はしょうがねえか。ヘマすんなよ、クローバー!」
クローバー「ブラストは…たしか庭の手入れでしたね…がんばってください」
アリア「なーアミルー!あたしも一緒にいっちゃダメなのかー?」
アミル「ギルドの拠点には最低でも2、3人は待機というか、残っててほしいですから…
アマテラス、アリア、ブラスト、ストーム、ミスティ、リルフ、ショウ、クローバー、そして
私の9人しかいませんからね。何かあっても困るので賞金首を狙うのは必ず
二人一組で行動してほしいです。」
二人一組で動くには理由がある。一つ、敵が必ずしも単独行動とは限らないこと。
賞金首同士で情報を共有していたり手を組んでいたり、闇の売人や富豪との
繋がりがある可能性がある。二つ、相方のどちらかがやられてしまった場合、
即座に撤退して見聞きした情報を伝達すること。三つ、戦いに勝っても負傷して
自力で動けない、あるいは早急に手当てが必要な場合、相方が治療、保護できる。
それらを踏まえての二人一組なのだ。
ショウ「オレは能力はともかく、単純な戦闘力はみんなより劣るからなー…
しばらくはアリアと組手で鍛えてもらう予定だぜ…」
クローバー「ショウならきっと強くなれますよ!応援してます!」
ミスティ「あたしは書類整理で…ストームは来客の対応かぁ…
もっとこう、刺激がほしいよねぇ」
クローバー「まあまあ…それも大事な仕事ですから…」
ストーム「気をつけてね、クローバー…いってらっしゃい…」
クローバー「ええ、いってきます!では、出発しましょう、アマテラス!」
アマテラス「うん、いこーいこー♪」
こうして二人は教会を目指して走り出した。
そして11時30分、目的地である教会の前へ到着する。
教会は既に廃墟になっており、ボロボロだった。ガラスも割れ、正面の
入口も開いていた。約200メートル離れたところから中の様子を伺うと
膝をつき、両手を合わせ祈る男の姿があった。
クローバー「っ!?あ、あいつだ…ここからじゃ背中しか見えないけど…
こんなところに一人でいるのはおかしいし怪しい。奴がヘルヒルズで間違いないです!」
アマテラス「どうする?ボクがもう少し近づいて様子を見ようか?」
クローバー「いえ…大丈夫です。アマテラスは手を出さないでください。
ここから奴へ攻撃を仕掛けます!」
クローバーは剣をとり、思い切り振り下ろした。
クローバー「ハーフムーン!」
斬撃が真っ直ぐとんでいき、ヘルヒルズへ向かって飛んでいく。だが、
斬撃の1メートル手前でヘルヒルズは振り向き、斬撃を避けた。
そのときヘルヒルズはニヤリと笑った。
クローバー「避けられた…殺気を悟られていたのかもしれません…」
アマテラス「そっか…」
クローバー「アマテラスは教会入口の手前付近で待機していてください。
奴に姿を見られたのは私だけなので…私はこのまま教会の中へ突入し戦います!」
アマテラス「了解♪」
クローバーは周囲を警戒しつつ、恐る恐る内部へ侵入する。
そんな様子を見て、ヘルヒルズが声をかける。
ヘルヒルズ「そんなに怯えないでもっと近づいてきなよ…お嬢さん。」
クローバー「…」
ヘルヒルズ「安心しなよ、ここにはオレ以外誰もいないからさ。ところでさっきの斬撃…
もしかして君がやったのかい?」
クローバー「そうですが…」
ヘルヒルズ「へぇ~…その若さですごいねぇ…まともにくらったらオレでも
無事ではすまないね」
クローバー「そうですか…私からもひとつ質問があるのですが…」
ヘルヒルズ「なんだい?」
クローバー「あなたはさきほどまで神に何を祈っていたのですか?」
それを聞いてヘルヒルズはクスクスと笑ってからこう答えた。
ヘルヒルズ「ちがうちがう、祈っていたんじゃないのさ。あれはね…
一昨日ぶっころした人間の死に様を神へ報告していたのさ。
内臓をぶちまけて、絶叫をあげながら死にましたってね!」
クローバーは思わずぞっとした。不敵な笑みを浮かべて話すその異質さに。
ヘルヒルズ「それからもうひとつ、神へお願いをしたんだ…今度の得物は
殺しがいのあるヤツをお願いしますってさ!そしたらキミがきた!
神はオレの願いを聞き入れてくれたんだ!最高さ!ふふふふふふふ…!」
クローバーの心からヘルヒルズへの情けや慈悲という気持ちが消えた瞬間だった。
クローバー「それは誤算ですよ…神はあなたの願いを叶えてはいません…」
ヘルヒルズ「どういう意味かな?」
クローバー「あなたのそのドス黒い願望はたったいま、私が打ち破るからです!」
そういってクローバーが斬撃を飛ばす!
クローバー「クレセントムーン!」
ヘルヒルズがナイフを取り出し、斬撃を弾き飛ばす。
ヘルヒルズ「ああ…最高だぁ!活きがいい!実にいい!楽しみだなぁ…
キミが手足を切断されたり、このナイフで腹を裂かれ、内臓をぶちまけるとき、
どんな声でどんな命乞いをするのか、是が非でも見てみたいよ!」
いま、クローバーとヘルヒルズが激突する!




