王国とギルド
3時間ほど歩いてようやく首都にたどり着く。
ロロックを担いでいるリルフとクローバーが
まっすぐ城へ向かう。城門の前では
見張りの兵士が構えていた
兵士「そこで止まれ、何の用だ?」
リルフはロロックを差し出し、手配書を見せた
リルフ「オレは虹の神楽所属のリルフ、こっちは
クローバー・アルデバランだ」
兵士「アルデバラン…」
兵士2「あの名家の?」
兵士たちがざわめく…
リルフ「こいつを引き渡しにきた。賞金を受け取る
手続きを済ませたい」
兵士「わかった。おい、オレはこの二人を城内へ
案内するからお前は中の兵士とともにこの賞金首を
牢屋に放り込んでおけ」
兵士2「はっ!」
兵士に連れられリルフとクローバーが場内を歩き回る。
クローバー(産まれたときからこのシユア国で育ったけど、
城の中に入るのは初めてだ…)
キョロキョロするクローバーをみて
リルフは注意しようと思ったが、あえて我慢することにした
兵士「ここの待機所で待っていてくれ。書類と
賞金をもってくる」
リルフ「ああ…」
ふたりは椅子に座り、待つことに。
クローバー「緊張しますね…」
リルフ「じきに慣れる。賞金首を捕まえてここに差し出す度に
手続きと賞金の受け渡しがあるんだ。」
クローバー「なるほど…ところで気になっていたのですが、
リルフのその手と大きな尻尾は…」
リルフ「ん?そういえば自己紹介がまだだったな。オレはリルフ。
人間と恐竜人のハーフだ。」
恐竜人…現代では幻の獣人と呼ばれているほど数が少なく
この世に存在するのかさえいわれている種族である。
クローバー「恐竜人!?」
リルフ「オレの身体能力は母親譲りで、能力は父親譲りだ。
もっとも、これだけ強くてもアマテラスや呪気使いの3兄妹には
勝てないがな…」
クローバー「序列…ですか?」
リルフ「いや、単純に強さの違いだ。ウチのギルドに
団員同士の上下関係はない。あるのはマスターと
メンバーという立場くらいか…」
クローバー「結構自由なんですね。それで少数精鋭…」
リルフ「いや、人数が少ないのはアマテラスに問題があってだな…」
クローバー「?」
リルフが眉間に手を当てていると待機室に人が入ってきた。
騎士隊長「よおリルフ!今日はどうした!?おまえんとこの
強豪ギルドがあんな雑魚捕まえて小銭稼ぎなんて似合わないこと
してるなおい!」
リルフ「ご無沙汰です、騎士隊長。今日はこちらの
新人、クローバーの実力テストも兼ねての仕事です。」
クローバー「虹の神楽所属、クローバー・アルデバランと申します!
よろしくお願いします!」
騎士隊長がその名をきき一瞬眉が動く
騎士隊長「アルデバラン…」
騎士隊長「そうか、新人はまさかのアルデバランか!
はっはっは!じつは朝方、おまえのとこの
ギルドマスターがきてな…」
騎士隊長が話すのを聞くとクローバーは驚いた
クローバー「な!?それは本当なんですか!?
そんな勝手許されるんですか?」
リルフ「だからいったろう?アマテラスに問題があるって…」
クローバー「問題どころじゃないですよ!
こんなことやられたら誰でも脱退しますよ…」
頭をかかえるクローバーをよそに
リルフが書面にサラサラとサインをする。
それを確認すると騎士隊長が金を差し出す。
騎士隊長「なあ?おまえらのとこのギルドメンバー全員、
国直属の組織にならないか?」
リルフ「お断りします。自由あってのギルドなんで…」
騎士隊長「そういうと思ったよ!」
リルフは金を受け取り立ち上がる
リルフ「では失礼します。いくぞクローバー」
クローバー「はい…失礼します。」
クローバーは城をでるやいなや
駆け出すように家へ向かおうとする。
そんなクローバーの手を掴む。
クローバー「リルフ!止めないでください!
早く帰らないと…!」
リルフ「まあまて、アマテラスが決めたことなんだ。
いまさら抗議してもどうにもならん。」
クローバー「そんな…」
リルフ「それよりこの金を使って
おまえの装備を整えるぞ。壊れた胸当てや
小手では見栄えが悪いし、次の仕事に支障がでる」
クローバー「…わかりました」
リルフとクローバーは街の防具屋に行き、
クローバーに似合う防具を見繕った。
クローバー「…結構な金額かかりましたけど、
大丈夫なんですか?まだギルドに上納してませんよね?」
リルフ「オレの取り分からだしておいたから問題ない。
それに今回みたいな賞金首を狩った場合、取り分は
懸賞金の半分がギルドマスターに渡す金で、
あとはその賞金首を狩りに行った人数で折半する。
今回の場合はオレとお前で金貨25枚ずつということになる。」
クローバー「へえー…」
リルフ「しばらくしたらまたこの手の仕事を
任せられるだろう。その時は金貨200枚か、300枚の首になる。
相性もあるだろうが今日戦った奴より強いと思っていい。」
クローバー「善処します…」
リルフ「そう畏まることはない。普段は迷子探しや
おつかい、行商人の護衛なんかをやってる。この手の仕事を
進んでやりたがるのはアリアやブラストだ。」
クローバー「リルフさんは賞金首狩りは好んでないんですか?」
リルフ「こんな見てくれで意外かもしれんがオレはアミルの手伝いで
書類の整理や集まった情報整理、来客応対をしてる。」
クローバー「それは…意外です」
ふたりが話しながら歩いているとクローバーの家についた。
クローバーはおそるおそる屋敷のドアをあけると
そこにはギルドメンバーがいた。
クローバー「ああ…やっぱり…」
帰ってきたクローバーとリルフをアマテラスたちが迎えにきた
アマテラス「おかえりー!ふたりともお仕事お疲れさまー!」
リルフ「アマテラス、金を受け取るときにきいたが」
アマテラス「ここが新しいアジトだよー!」
リルフ「やっぱりそうか…」
アマテラス「お部屋もいっぱいあるし、みんなが
ひとり一部屋もっても余るくらいだよー!」
アリア「おかえりクローバー!おまえんちすごいな!
広いしベットふかふかだぞ!」
ストーム「ちょっと埃ぽかったから君の部屋以外は
掃除しておいたよ…」
クローバー「それは…まあ、ありがとう。あの…えっと…」
ストーム「ボクがストーム…こっちがアリア…
あっちの頭よさそうなのがアミル…」
クローバー「ストームさん…」
ストーム「呼び捨てでいいよ…」
クローバー「ストーム、本当に私の家が
虹の神楽の新しい拠点になるんですか?」
ストーム「うん…アマテラスが決めた事だから…
一応反対はしたんだけど、多数決で負けちゃった…ごめんね」
クローバー「いえ、大丈夫です…けど、事前に相談は
してほしかったです…」
書類を抱えたアミルが叫ぶ
アミル「ちょっとみんなー!サボってないで
荷物を仕分けしてください!」
アリア「はいはーい」
アミル「初日早々大変なことになったけどよろしくね、クローバー」
クローバー「はい…」
リルフがアミルに近づく
リルフ「おいアミル、お前の情報に誤りがあったぞ」
それを聞いてアミルが首を傾げる。
アミル「はあ?武器とか拠点の場所が間違ってましたか?」
リルフ「いや、あいつ闇の商人と取引してた。その取引相手の
護衛はギルド、黒蛇のサブマスター、スラッシュだった」
その名を聞いて全員の手が止まり、リルフのほうを見る
ブラスト「スラッシュだって!なんで大手ギルドのサブマスがいたんだよ!?」
ミスティ「…蛇のギルドのとこは裏家業で稼いでるとはきいてたけど
まさかサブマスが直接動くなんて…何かありそうね」
ストーム「…ありえるとしたらロロックが盗んできたものに
よほど他にとられたくないお宝があったか…
莫大な金が動くか…」
アミル「とにかく情報漏れがあったのは謝るわ…私の下調べが甘かった。
ただ、より正確な情報を得たいなら私ひとりに全部を任せるんじゃなく
何人か人員を割いてほしいわね。私も担当してるのはこの仕事だけじゃないから…」
リルフ「ストームひとりじゃ足りないか?」
アミル「ストームと二人だけじゃはっきりいって人手が足りないわよ。
そもそも、集めた情報を整理するのは結局私ひとりだし。」
アミル「それよりスラッシュとは対立しなかったでしょうね?」
リルフ「ああ、お互い今回出会ったことはなかったことにしようと
いうことで話しはついた。」
話しについていけないクローバーが質問する
クローバー「あの蛇のギルドっていったい?あとスラッシュって人は?」
リルフ「おまえの腕に銃弾あてたやつだ。」
クローバー「あのときの…」
リルフ「蛇のギルドってのは通称だ。上から順に白蛇、黒蛇、赤蛇、青蛇と
姉妹ギルドとギルドメンバーが多いのが特徴だ。」
アミル「いいクローバー?相手が自分のギルドより強かろうが弱かろうが
ほかのギルドのメンバーに手をだすのはご法度よ。
ギルド同士の戦争に発展するから。」
クローバー「気を付けます」
アミル「そうだクローバー、初仕事で疲れてないなら
ギルドについて教えてあげるけど、どうする?」
クローバー「はい、よろしくお願いします!」
アミル「じゃあ、あなたの部屋で話そうかしら、ゆっくり
お茶でも飲みながらね。」
こうしてクローバーの初仕事は成功して終わった。




