あなたの名前はアルデバラン
朝の9時、ギルド「虹神楽」のアジトにて
アマテラスはじめギルドメンバーが集まり、
くるであろうアルデバランの面接がはじまろうとしていた。
長いテーブルにそれぞれが腰かけている。
アリア「あいつ今日くるかなー?」
アミル「アルデバラン家は昔、戦果を挙げてなり上がった者。
20年前に血筋が絶えたという噂はありますが
本物なら必ずくるでしょう。」
ごつごつした手に恐竜のような鋭い目つきの男が語る
リルフ「それとこれとは別だろう?人間性までは
会ってみないとわからん」
見た目とはうらはらに冷静な男の様だ。
アマテラス「ボクたちに気圧されて脱会しなきゃいいけどねー」
ブラスト「雑用でもいいんだけどな。掃除とか書類整理とか。」
アマテラス「ブラストったらそれ、自分でやるのがめんどうなだけでしょ」
ブラスト「はははは!ばれたか!」
アミル「ブラストはそういう仕事が不得手なだけです。
戦闘特化タイプのブラストやリルフなら賞金首の狩りや
行商人の護衛向きでしょう。」
アリア「アミルは頭いいなー」
アミル「…みんながあんまり考えないだけです。己の力を過信して
行き当たりばったりが多いですよ。」
リルフ「一理あるな…」
そんなやりとりをみてミスティとストームが思った
ミスティ「力だけが取り柄のようなタイプじゃなかったらいいなー」
そのとき、ドアがガチャリとあいて誰かが入ってきた。
????「失礼します。」
その風体はカチューシャに胸当て、両腕に小手、腰布をまき、背中と腰に剣を携えていた。
アマテラス(背中と腰に剣を一本ずつ?)
ストーム(二刀流…?それともどちらかが予備?)
ブラスト(鍛えてるな…それに声と見た目じゃ男か女かわらかん)
リルフ(…なるほどな)
アマテラス「5分前だねー!遅刻しないのはうれしいよ!」
????「ありがとうございます」
アミル「まあ、そこの正面の席に座りなよ…」
????「はい…」
剣士はそっと座った
アリア「まず名前と、どうしてウチのギルド選んだのか
教えてもらおうか?」
剣士は静かに名乗った
クローバー「クローバー。クローバー・アルデバランと申します。
このギルドに応募したのは少数ながら国一番、最強のギルドだと
きいたからです。」
それをきいてブラストがかみつく
ブラスト「おいおいまてまて、ウチのギルドが強いからってことは
お前も強くないと入れないぞ?どれくらい強いかくらいはわかってるんだろうな?」
クローバー「アルデバラン家は先祖代々剣の道を往く家系。
私も剣は心得ております!」
ストームが質問をぶつける
ストーム「君は剣を2本もってて、盾はもってないようだけど…」
アルデバラン「背中の剣は剛剣です。これは弓や鉄砲を弾いたり
叩き切ることに使います。腰の剣は曲刀。斬ることに特化した剣です。
盾は必要ありません、剣で防ぐか、避けることを想定しています。
それから一刀流と二刀流にもなれます!」
ストームが腕を組み頷く。
そんななかアマテラスが右手を差し出し、霊気をこめる。
アマテラス「ねえ、これが見える?」
ここにいるギルドメンバーはそれが見えていた。
クローバーを除いて。
クローバー「…右手、ですか?」
アマテラスはそっと微笑み、差し出した右手を戻した
アマテラス「ボクからはもう何もないよ。ほかにだれか
質問したい人いる?」
アマテラスがギルドメンバーを見渡す。
リルフがクローバーに質問を投げかける
リルフ「おまえの剣術がどれほどのものなのか知りたい。鉄は切れるか?」
クローバーは不思議そうに答えた
クローバー「鉄…ですか?普通に考えると切れないと思うのですが?」
リルフ「つまり、おまえは鉄は切れないんだな。わかった…」
クローバー(…鉄は切れないだろう。斬れるはずがない)
アリア「しつもーん!斬撃は飛ばせますかー?」
クローバーはあっけにとられた
クローバー「あの…斬撃は飛ぶ飛ばないではなく、刃が
ふれれば斬撃なのでは?」
これは普通の考えなら当然だろう。しかしアリアはしょんぼりした
アリア「斬撃とばせないんだ…ちょっとがっかり」
クローバー(斬撃が飛ばせないって…風で切れるわけでもあるまいし…)
アマテラス「ほかに質問あるひといるー?」
アマテラスがみんなをみるが、誰も何も言わなかった。
アマテラス「何もないみたいだね、クローバーは何か質問ある?」
クローバー「あの、返事はいついただけますか?」
それに対してアミルが答える
アミル「遅くても3日以内に我々ギルドメンバーの誰かが
あなたの家を訪ねるか、手紙を入れておきます。他に質問は?」
クローバー「ないです」
アマテラス「じゃー今日の面接はお終い!きてくれてありがとね!」
そういってアマテラスが手を振る。
クローバー「今日はありがとうございました。
良いお返事を期待しています。では、失礼します」
クローバーは会釈して部屋をでる瞬間。
リルフ「最後に一言、伝えておく」
クローバー「はい、なんでしょう?」
リルフ「ここにいる全員、マスター含め全員が
素手で鉄をきれる実力をもっている。それを忘れるな。」
クローバー「!?…胆にめいじておきます」
クローバー(…ふう、どんな強面の人達がでてくるかと
思ってたが、同い年くらいの子ばっかりだったな。
…思えば同年代の友達はひとりもいなかったな。
仲良くなれたらいいなぁ…)
一方、ギルド内では
アマテラス「さーて、みんなの意見を聞こうか」
ブラスト「オレは反対だ!霊気も見えない雑魚なんて
ちょっと強い手合いに出会えばすぐ殺されるぞ?」
リルフ「オレもいまのクローバーの強さでは反対だ。
鉄は切れない、斬撃は飛ばせない、あれでは
剣速もそれふくめた実力もおおよその察しがつく。」
ミスティ「あたしもちょっとねえ、剣一筋で
魔法ひとつ使えないようじゃウチで活動するのは
きびしいと思うよー?」
アマテラス「ここまで反対意見が3人だね。ほかの3人はどう思う?」
ストーム「ボクはいいと思うよ…頭はいいと思うし、
まだまだ強くなれる余地は十分にあるし、能力に目覚めることがあれば
ウチのギルド全体の強さがあがる…」
アミル「べつに戦闘に特化する必要性はないと思います。
アルデバランの出の者なら字の読み書きはもちろんのこと、
横のつながりも大きいかと。」
アミル(接客、交渉ができるならそれだけ私の負担も減らせるし)
アリア「伸びしろあるならアタシは賛成!一緒に
強くなれるじゃん!」
アマテラス「なるほどー、賛成意見3人だね。てことは
反対意見と同じ人数なわけだね。」
リルフ「メンバーの意見が分かれたんだ。
最終的な判断はマスターが決めることになったな」
ミスティ「マスターはどっちなの?」
アマテラス「んーとねー…」
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