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ある場所で起きた、王道ど真ん中を行くようなラブコメ  作者: 野本 美羽
本編「二人、出会ったり惹かれたり。」
5/40

私、名前を聞いたり傘が無かったり。




助けてくれた彼は、ドリンクバーに飲み物を取りに行ってくれた。なぜかわからないけれど、彼と話していると緊張する。


まず、何を話せばいいのかわからない。というか、私の対男子スキルが極低なのをすっかり忘れていた。

友達相手ならドラマの話やら夏服が云々やらを話しているんだけど……


なんて私が一人悩んでいると、彼が帰ってきた。持っているのはウーロン茶とコーラ。

なんかありきたりなチョイスだな、と笑いが漏れて、少し緊張がほぐれた。


「まずは、助けていただいてありがとうございました。」

「いや、偶然見つけたので助けただけで……その、お礼を言われるほどではありませんし。」

「それでも助けていただいたのに変わりありませんから。」

「はあ……どうも……」


照れたのか顔を背ける彼。

そうだ、いつまでも『彼』呼びでは不便だな。


「お名前をお聞きしても?」

「佐藤 祐樹。別に敬語とか使わなくていいんですよ?」

「いえ、恩人にタメ口をきくわけにはいきませんから。」


ついでに言うと男子とタメ口で話してたのは小三か小四までだ。


少し間が空いてから、今度は佐藤さんが話しかけてきた。


「……えーと、そちらのお名前は?」

「鈴木 桜です、佐藤さんこそ敬語使わなくていいんですけど。」

「いや、鈴木さんが敬語なのにこっちだけタメ口っていうのも……」


といいつつ、口調が崩れてきているのは気のせい?


……また間が空いた。もしかしたら向こうも異性に慣れてないのかもしれない。もしくは人見知りなのかも。


今度も口を先に開いたのは佐藤さんだった。


「訊いていいか分かんないんけど、何年生なんですか?」

「私は高1です。佐藤さんは?」

「俺は高2、鈴木さん、年下だったのか……」

「やっぱり先輩だったんですね。」

「俺は同級生か一個上かと思ってた……」


それは私が老けて見えるということか。もっと肌のお手入れとか念入りにした方が良いのだろうか。


「俺より落ち着いて見えるのが後輩……ちょっとショック……」


ん、ならばよし。落ち着いて見えるだって……嬉しい。


「でも、そうですね、俺が年上なら敬語はやめとく。」

「ぜひそうしてください、先輩。」


なんか、先輩って呼び方、良いな。

そして、また訪れる沈黙。今度は私が破った。


「雨だ……」


破ったといっても呟きだけど。

それにしても雨か……傘なんて持ってないし、濡れたら制服を乾かさなければいけないし、とても面倒だ。雨の独特の臭いがつく気がするし。

なんで今日に限って「重いから」とか言って家に置いてくるかなあ……


心の中で自分を叱責している私に、先輩は言った。


「もしかして、傘持ってない?俺でよければ送っていくよ?傘持ってるから。」




名前付けたのはバイトちゃん。

「ありふれた名前にしようと思った」そうです。

………なんで?

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