私、ささやかな意地悪。
……一生に一度かもしれない告白の一歩目でつまずくとは思わなかった。けど、先輩が何を言い出すかわからないから、先に聞けて良かったと思うことにする。
「桜ちゃんから、良いよ?」
「いえ、先輩の方が先輩なので、先に。」
「そう?じゃあ俺から言わせてもらおうかな。」
さて、先輩は果たしてどんなことを言うのかな。
「えーと……まず、今日は色々とありがとね。」
「いえいえ、こちらこそ楽しかったですから。」
「それなら良いんだけど……えっと、その……」
なぜかとても言いにくそうにする先輩。そういう仕草をされると、なぜか少し不安になってくる。
「今日一日一緒にいろんなところに行って、色んな話をして、桜ちゃんの表情もいろいろ見て、可愛いなって……思って。」
私の顔が赤くなるのが自分でもわかるけど、黙っておく。頭が沸騰しそうだし、恥ずかしさで脳も機能を停止しているかも。
「まだ、桜ちゃんのことを何も知らないから結局見た目かと思うかもしれないけど、これから知っていけたらなって思います。だから、お、お……俺と付き合ってください!」
先輩は頭を下げて右手を出してきた。これはおそらく告白の返事待ちの姿勢なのだろう。ドラマでよく見るやつだ。へぇ、先輩が私に告白……先輩が私に……告白……えぇ!?告白!?先輩が私に!?いや、作戦練って狙ったのはそうなんだけどほんとに先輩が私に告白!?
「まぁ、いや、えっと……その……」
意味のない言葉が口をつく。落ち着こう、一旦深呼吸だ。吸って~……吐いて~……
「先輩、頭を上げてください。」
ゆっくりと頭を上げる先輩。断られると思ったのか、少し泣きそうになっているように見える。そして、嬉しさで笑みを抑えられない私。たぶん、先輩は今恐ろしい結末を想像しているのだろう。
そんな先輩に私は優しく声をかける。
「先輩の告白のお返事をする前に、私がしようとしてた話、話させてください。」
せっかく私が頑張って考えて作った告白文、聞いてもらわないと損だ。先輩を一時的に悲しませるのは本意ではないけど、私の告白プランを台無しにしかけた先輩へのささやかな罰ということで。




