私、史上最大の作戦を開始する。
「二名様ですね。こちらの席へどうぞ~」
私がこのカフェを選んだ理由は、ただカップルが多いからという理由だけではない。ここはドリンクとかパフェとか、カフェとして大事なものがしっかりとおいしいのだ。甘々な雰囲気を味わえるというだけではないのがこのお店の魅力。
さらにもう一つ、最大の理由があるけれど、後で威力を発揮するときにとっておこう。
「先輩、もしかしてこういうところ来るの、初めてですか?」
先輩はお店に入るとわかったあたりからワタワタと終始顔を赤くしていた。
「うっ……初めてだよ、なんか悪いか……」
恥ずかしいのか顔を背けながらやけっぱちに言う先輩。良い、すごく良いと思います!
……じゃなくて。
「先輩、何か食べたい、飲みたいものとかあります?ここ、結構おいしいって話ですよ。」
「正直何が何だかさっぱりだし、任せる。」
よし、計画通り。というか、私も事前に調べてなかったら何が何だかさっぱりだったと思う。だって、メニュー名が食べ物の名前より修飾語の方が多いから。
それはさておき、私は店員さんを呼んで注文をする。
「これとこれ、あとこれを一つずつください。」
「はい、かしこまりました。……メニュー名は読み上げないほうがよろしかったでしょうか?」
「できれば……」
「では、これとこれ、これをお一つずつでよろしかったでしょうか?」
「はい、大丈夫です。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
会話でわかったかもしれないが、私は先輩にメニューを全く見せていない。店員さんもいたずらっぽく笑って私の作戦にノってくれたから、先輩は私が何を頼んだのか把握していない。そうした方が作戦最大のキモの威力が上がる。
「なあ、何頼んだんだ?」
不安そうに聞いてくる先輩に、
「ナイショです♪」
私にできる最高の笑顔で応えた。




