私、落ち込む。
結局先輩には無難なものを買わせてしまった。もっとこう、先輩の精悍さみたいなものを引き出して、「私の彼氏カッコいいでしょ!」って言いたかった。まだ彼氏ですらないけど……
私が内心で落ち込みながら会計を済ませると、先輩が私に声をかけてきた。
「本当に服、ありがとう。」
「いえいえ、何か形に残るお礼がしたかったので!」
「それで、次はどこに行くの?」
「本当は良いカフェがあるらしいのでそこに行こうかと思ってたんですけど、思ったより時間が余っちゃったので、どうしようかと……」
私が悩んでいると、先輩が提案をしてきた。
「じゃあ、今度は桜ちゃんの服見に行く?」
「え?良いんですか?先輩とのデ……お礼なのに。」
危うくデートって言いかけた。
「良いよ良いよ。嫌なら他の事でも付き合うよ?」
「い、嫌だなんてことはないです!じゃあ行きましょう!」
◇◇◇◇◇
先輩を引きつれてやってきたのは、私がいつも服を買う店。シンプルな服が多いので、私のお気に入りの店だ。
「自分から言っておいてあれだけど、女の子のファッションとかさっぱりだぞ?」
「良いんですよ、それで。」
私はにっこりと微笑んで見せ、先輩と一緒にお店の中に入っていった。