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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
反乱のエルフ

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帰還

 俺は一人でゆったりと目を覚まし、

 まだ復興中のエルフの里の広場に行く。

 ここで里やアイゼンリウト、エルツから

 持ってきた食材を使って

 炊き出しをしているのだ。

 周囲は止めたのだが、女王やブルーム、

 イリア姫も炊き出しでご飯を食べている。

 俺も何故か止められたが、エルフの里の人や

 復興を手伝っている人達に混じって、

 炊き出しのご飯を頂く。

「コウ様ー!」

「コウ、今起きたのか」

「コウ殿、おはようございます」

「コウさんおはようございます」

「コウ、おはよう」

「おはよう、昨日は平気だったのか?」

 皆が集まっている所を探して輪に加わる。

 リードルシュさんのツッコミに笑顔で答え、

 他愛も無い話をしながら遅い朝ごはんを食べる。


「それにしてもコウ。いつまでエルフの里に居るつもりだ?」

「そうだな。そう長居するのも色々あるだろうから、女王様と確認が終わってからかな」

「長居するつもりは無いのだな?」

「勿論。ファニーとの約束もあるし、俺も海とか見てみたいから冒険者として色々やりたい事をする為にも、そして何よりロリーナが気がかりだしエルツに戻ろう」

「あい解った。我も着いて行っても良いか?」

「良いよ。ファニーも英雄だ」

「それは無い」

「いや俺をボコボコにしたんだから英雄だよ」

「それはまぁお前の素行が悪いからだ」

 俺とファニーは笑いあう。

「コウ様!私も海を見てみたいですわ!エルツから東にずっと行くと海があるようですし!」

「良いですね、私も見た事がありません。何より海辺の近くでは、鉄を使ったものの製法が違うとか。是非御同行したいです」

「なんだお前らは来なくていいぞ」

「なんですの!」

「ファニー殿それはないです!」

 わきゃわきゃし出した女性陣を尻目に、

 俺とダンディスさん、リードルシュさんは

 エルフの里の今後の方向について話す。

 リードルシュさんが補佐役を今務めていて、

 その中で決まった事を伝えてくれた。


 エルフの里は文化交流も復興と共に

 活発になっており、女王の許可を得て

 エミルが推薦した商人が、里以外の

 物を扱うお店を出す事も出来るようなる事。

 またダンディスさんも暫くエルフの里で、

 肉屋をしつつ獣族の後輩を鍛えて、

 それからエルツに戻るとの事。

 リードルシュさんも同じく鍛冶を

 エルフの若手に教えて仕込んだ後、

 久々にエルツの店を開けたいと言う。


 もう俺が何かをして進むと言うものでもないし、

 エドベに関しては注意を促しておいたから、

 後はエルフの里の人達やエミル達商人達に

 任せようと思った。

 新しい体験もできたし、エルツの様子も気になる。

「プレシレーネはこのすぐ後の事だけど、どうする?」

「はい、私は師匠の工房へ戻ります。そして改めて供養をし、工房を継ごうと考えています」

「そうか、少しの間寂しくなるな」

「いえ、隣街ですしリードルシュさんが戻るまでは、是非とも私の所で鍛冶関係の御用をさせて頂ければと思います」

「そうだな。俺が戻るまでこの娘に任せよう。お前への代金未払い分も貰わなければならないしな」

「そうですね。まだエルツで貯金が必要ですし、そうします」

 その後は女性陣も交えつつ、

 俺達は暫しの別れを惜しむように

 朝ごはんを食べながら他愛も無い話をして別れた。


「女王様、失礼します」

 俺は神殿の前で一言掛けた後、中へと入る。

 女王とブルーム、ルールに女王派だった

 エルフの古株の人達も出てきて、

 山のような書類に囲まれつつ処理をしていた。

 新しい事が始まるのだから、

 今は仕方が無い事かもしれない。

 ここをしっかり固めておかなければ、

 また反乱を招くかもしれない。

 今の流れに反対している人にも

 全ては無理でも妥協できる点を模索しなければ

 ならないだろうし。

「あ、コウ様すみません」

 女王は慌てて席を立ち、書類をぶちまける。

 古株のエルフ達は笑いながら書類を集め、

「女王様、英雄殿は逃げも隠れも致しませぬ。だからこそ英雄なのですぞ」

 といさめられていた。

 ブルームの母親らしいドジっ娘と言った所なのか。

「そうですね、失礼しました。で、コウ様どうされました?」

「お暇の挨拶に参りました」

「やはり……行ってしまわれるのですね」

「はい。大樹も今の姿を見れば、エルフの里が変わり始めた事を、その身で感じてくれているはずです。ルールにも注意点は伝えてありますので、力はもう存在するべきではないと思います」

「貴方と言う抑止力があればこその事もあるかと思いますが」

「女王様もハッキリおっしゃいますな。ですが抑止力であったものが圧力へと変わってしまわないうちに、私は去りたいのです。そうすれば私は何時でもエルフの里を訪れる事が出来ましょうから」

「……貴方への感謝をどのような形で表せば良いか」

「それもこれからエルフの里での新しき姿で返して下さい。私の友が商売として成り立てば、私の仕事も増えるでしょうし、繋がりがあれば私もエルフの皆さんを頼る事が出来ます故」

 そう静かに伝えると、女王だけでなく

 ブルームにルール、そして古株のエルフ達まで俺の前に

 来て頭を下げる。

 こそばゆい。

「あの、ホントそう言うのいいんで。俺苦手なんすよ!」

「いえ、英雄たる所以を我らは目の当たりに致しました。貴方の言は真清流のようなもの。生きてそのような方に御目にかかれるとは。英雄殿、老い先短い我らの全てを、貴方が救って下さった新しきエルフの里へ注ぎます故、是非またエルフの里にお越しくださいませ」

「あ、はい。それはもう。俺の仲間であるブルームとルールが居るので、言われなくてもちょくちょく来ます。ふらりとね」

 俺はお茶らけて言っているが、場が重い。

「あの、すいません頭上げて下さい。俺がした事は切っ掛けに過ぎないのです。ここからが本当の戦いであり勝負です。形作れた時に誰が一番それに尽力したか、その人が英雄です。私はただの旅人で御座います」

 俺が頭を下げると、女王たちは慌てて

「どうか頭を上げて下さい!我らが困ります!」

「でしょ?俺も頭を上げてもらわないと困ってたんで。これで良し!では旅人は旅に出ます!またお会いしましょう!」

 俺はそう言って笑って舌を出すと、改めて一礼して

 神殿を出る。

 ブルームやルールとはもう少し語り合いたかったが、

 また機会はある。

 今はそれで良い。


「恰好つけが帰って来たぞ」

 ファニーが入り口で俺が来たのを見つけてそうヤジった。

 着いてくるとか言った癖に、

 入り口でやはり待っているとか言いだしたのに

 酷い言われようだ。

「ああはいはい。取り合えず一件落着立つ鳥跡を濁さず、さっさとエルツに戻ろう!」

「立つ鳥跡を濁さずとは何だ」

「水鳥が去った後は濁って無いだろ?それと同じで去る時はキチッと挨拶と片づけをして去るってことさ」

「毎度そうは出来んからな」

「そう言う事だ。毎回出来ないからこそ、今回は綺麗に出来たんで気持ち良く去れる訳だ」

「アイゼンリウトの連中が知れば、怒られそうだがな」

「……それはまぁ。兎に角皆、エルツへ戻ろう!」

「おー!」

 エルフの里へ残る者達を後に、俺にファニー

 ウーナにプレシレーネ、リウはエルフの里から

 エルツへと戻るのであった。

 色々な事があった。

 悲しい事、辛い事、苦しい事。

 この里が新生して初めて報われるだろう。

 そして俺は一つ忘れていた事を

 少し経って思い出すのだった。

 

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