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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
反乱のエルフ

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エルフの法

「コウ様、お待ちしておりました」

 イリア姫と共に中に入ると、

 丸い大きなテーブルに

 女王とブルーム、ルールに

 リードルシュさんが座って

 テーブルを囲んでいた。

「どうぞお掛け下さい」

 俺は促されて席に着く。

「実はエルフの里の法に関して意見を伺いたくてお呼びしました」

 女王から厚めの本を渡される。

 そして中を見ると、エルフの厳格な法に

 触れた。

 中でもエルフの里の保持を犯す行為をした者は

 呪いをかけて放逐する、

 エルフが他種族と婚姻した場合に生まれた子供の

 処遇に関しても書いてあった。

 これが実行されてきたとすれば、

 エルフの里は予想以上に血にまみれている。

 表向きは綺麗でも。

「ルール、これはほぼ全て実行されていたのか?」

「……ああ」

 ルールは言葉少なく認めた。

 そうか……エルフの里を出たエルフの死は、

 エドベが指揮していた黒尽くめ達によって、

 エルフの伝統と格式を護る為に行われていた。


「女王陛下。一つ外部の者として提案したく思うのですが」

「どうぞ。コウ様の忌憚無いご意見を頂ければ」

「では」

 俺は席を立ち、俺の提案を述べる。

 先ずエルフの黒尽くめ達を解体し、

 エルフの衛兵として混ぜる。

 勿論これまでの罪については不問に付せない。

 もし仇を討ちたい者がいるならば、討たせる。

 そしてエドベに関しては無期限幽閉で

 接触も最低限にする。

 更に監視を加えて、反逆を企てる者達をあぶり出し、

 これを機に一掃する。

 捉えて隔離し無期限幽閉。

 その為の施設を建てる。

 更に文化交流として、月に1度、エルフの里の広場で

 他の町から商人を招いて情報を入れる事。

 

 またエルフの文化そのものを消失してしまっては、

 先人たちの行いが無になってしまうので、

 受け継いで行く者を、王族以外にも選抜し

 里の中で伝えつつ、秘儀は一子相伝。

 そして神秘などの重要な情報も機密保持する事。

 里の出入りについても無制限では無く、

 持ち込み品のチェックや各町に要請し、

 冒険者証のようなものを発行してもらい、

 安全を保証してもらいつつチェックして里に入れる。


 里を抜けたエルフに関しても地位回復を望む場合、

 エルフの里の最高幹部会を開いて審査する。

 そして解けるなら呪いを解く。


「以上が俺からの提案です」

 俺は一気に思っていた事を伝えた。

 注目されている中で喋るのはどうも苦手だ。

 だがエルフの里の復興の為に、俺に出来る事を

 しなければ無責任だと思い、懸命に喋る。

 心臓がドキドキしたわ。

 闘うより緊張する。

「……コウ様は何処かでこういった事に携わっておいでだったのですか?」

 イリア姫に真顔で問われる。

「いや全然。ただ思っていた事をそのまま口に出しただけだから、これを叩き台にしてキッチリしたものにしないと」

「そうですか……」

 イリア姫は納得いかない様子だった。

「ブルーム、控えていますね?」

「はいお母様。コウ、じゃなくてコウ様のご提案を全てこちらに」

「ありがとうブルーム」

 母と娘で言葉が交わされている時に、

 俺はブルームのコウ様と言う言葉にズッコける。

 様ってなんだ様って。

 それを言おうかと思ったが、女王の補佐として

 今は居るんだろうからそのままにしておく事にする。

「実に良いご提案をして頂きました。これを草案として、エルフの中でも伝統を重んじる者や、変わるべきと思っている者達を集めて協議していきたいと思います。私としては、ここから足して行く感じで考えております」

「いやでも仇討ちを承認して良いんですか?大分乱暴な気が自分でもしますが」

「仕方ありません。罪は償わなければなりませんから。まして命を奪った者です。例え誰であろうと、命を元に戻せないのですからそれ相応の罰が必要かと。そこからエルフの里は生まれ変わらなければなりません」

 女王はルールの事を思いながらも、再生する為に

 自らの子にも償いをさせると言い切った。

 俺もそう言われてしまっては、それ以上何かを

 言う事は越権行為になりかねないので、

 黙って席に着く。

 相変わらずイリア姫が俺を見ているのが気になるが。


「コウ様有難う御座います。後はこちらで詰めて参ります。またご意見を頂きたいと思うのですが、宜しいですか?」

「ああ、俺……じゃない私でお役に立つ事ならなんなりと」

「俺で結構ですよ。貴方はこの里の英雄です。貴方が今居る事、動く事こそが異文化交流であり、エルフの視野を広めてくれるのですから」

「いや好き勝手にやらせて頂いているだけで」

「それが大事なのです。私達は貴方に何も強制はしません。貴方が止めても無駄な方というのは娘から聞いておりますし、貴方の思うように動いて下さいまし」

 女王はそう言って頭を下げる。

 俺もつられて頭を下げた。

 どうもこう、かしこまられると

 むず痒い。

 無職で引きこもりだったのに、

 偉い待遇だな。


 それから俺はその場を後にする。

「コウ様!」

 イリア姫が後を追ってきた。

「どうした?」

 俺がそう振り返って問うと

「コウ様、やはり一度アイゼンリウトにも来て頂けませんでしょうか」

 と言われた。

 まぁ夜逃げみたいな形でエルツに戻ったから

 そう言われるのも解るけど。

「いや、必要無い無い。イリア姫が象徴として居ればこそ、アイゼンリウトの再生は成るんだから」

「エルフの里には長く居られるおつもりのようですが」

「まぁ壊れかけていたから、そこから立ち直るまで見守るつもりだけど」

「でしたらアイゼンリウトにも」

「アイゼンリウトは生贄以外は復興の際に正して行けば、流通は問題無いだろうし、風通しが良くなれば国として問題無い所までいけるだろう。だからエルフの里と比べられない。立派な国家として成り立てる」

「でしたらそうであるかどうか、一度アイゼンリウトに来て下さい」

 俺は姫の顔を見る。

 姫は頑固だ。

 俺は眉間にしわを寄せて困る。

 だが明らかに折れない感じだ。

「解った。機会があれば行こう。何も出来る気がしないけど」

「本当ですか!?約束しましたからね!絶対ですよ!」

 姫は喜び俺の手を取る。

 ブンブン振りまわされる手が痛いが、

 そんなにこのオッサンが来るのが嬉しいのか。

 そう思うと照れくさくなる。


 俺は姫とお供達と別れると、

 そのまま復興に戻るのであった。


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