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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
第二章・無職で引きこもりだったおっさんは冒険者として生きていけるか!?

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だんじょんらんでぶー

「随分と静かだな……」

 六階に下りると、

 そこは大きな空洞になっていた。

 奥には下る為の穴がある。

 周りは岩がごろごろしているが、

 それほど高くない岩なので

 身を隠している可能性は低い。

 ぐるりと見渡してみると、宝箱が点在している。


「ブルーム、あれは魔物の可能性がある?」

「コウよく知ってるね。宝箱に化ける魔物もいるから、その可能性もある

よ」

「了解」

 俺はそういうと、足元にあった掌サイズの石を掴み、

 宝箱のうちの一つに思いっきり投げた。

 バコッと言う音と共に、宝箱は開いた。

 もう一つ石を掴んで、別の宝箱へ投げる。

「キキャアアアア」

 当たった瞬間それは宝箱の口に牙が生えて、

 俺たちに向かってきた。

 そしてそれに呼応するように、3つの宝箱が

 こちらへ突撃してきた。

「各自散開!」

「了解!」

 俺は皆を散らせると、場を動かず宝箱の魔物を

 待ち構える。

 散ったファニーたちには目もくれず、

 俺のみに突撃する宝箱の魔物たち。

「つあっ!」

 一つをファニーがブーメランで弾き飛ばす。

「てやっ!」

 ロリーナがもう一つ。

「はあっ!」

 プレシレーネが一つ弾き飛ばし、

「おりゃあっ!」

 俺が最初に飛び掛ってきた宝箱の魔物を

 一刀両断する。

 宝箱の魔物は口を全開にし、そこから黒い霧が

 飛び出て四散した。

 どうやら取り付くタイプの魔物らしい。

「キャォォォォン!」

 一息つこうかと思った瞬間、

 大きな地響きと共に、六階へ降りる穴から、

 テラノサウルスの小型版みたいのが

 突進してきた。

「中ボスって所か」

 俺はそれに対して身構える。

 頭で俺を突き飛ばそうとした瞬間、

 それを横へ移動して避ける。

 その恐竜は四階への穴の近くまで行くと、

 またこちらへ向かって突進してくる。


「プレシレーネ!これは魔物か?それとも生息しているものか!?」

「魔物ではありません!どうやら興奮しているようですが」

「そうか」

 俺は恐竜と向かい合う。

 俺の背丈が161cmだが、この恐竜は

 俺をもう一人足した位の背丈だ。

「よっしょ!」

 先程のように突進をかわした直後、

 俺はその恐竜の背に乗る。

 某ゲームをやっていたので、それをヒントに

 乗ってみた。

 この世界に来て能力があるからこそ出来た。

 そして恐竜は俺を振り落とそうと暴れる。

 俺はしがみ付きつつ、首をなでる。

 俺に敵意は無い。

 魔物が襲ってくるなら倒さなければならないが、

 生物なら何とかなるかもしれない。

 そう考えて振り落とされそうになりながらも、

 何とか踏ん張る。


「コウ!無茶をするなよ!」

「そうだよ!降りて!」

「コウ様!」

「コウ!」

「コウ殿!」

 5人娘は心配そうに、いつでもフォローできるように

 囲んでいたが、俺は笑顔で答える。

 大丈夫だ、心配ない。

「どーどーどー」

 落ち着くように促しながら、首をなでる。

 すると次第に振り落とそうとすることに疲れたのか、

 段々と勢いはなくなって来た。

 俺はなでる手と声を止めずに呼びかける。

 そしてゆっくりと周りを歩き始め、

 その内に足を止めてひざを折り馬のように座った。

「よーしよしよし。疲れたか、ごめんな急に。ゆっくり休んで良いから」

 俺はそう語りかけなでる。

「ぐるるるる」

 首だけでこちらを見たその目は、先程の敵意に溢れた

 目ではなかった。

 しかし生物なら迷い込んだのか、巣があるのか。

 恐らく何かしらの理由で暴れざるを得なかったのだろう。

 俺は首をなでながら考える。

 とすると、知的生物か、この恐竜を阻害しようとする

 生き物が居る可能性がある。

 まぁ魔剣の瘴気に当てられて、皆恐慌状態の可能性が

 高そうだが。

 この恐竜はそれでも俺の説得に応じてくれたことから、

 そう凶暴な生き物ではないようだ。

 しかしタイミングが良い上に有り難い。

「お前この中を案内してくれるか?」

 俺がそう問いかけると、理解したように頷く。

「よし、皆宝箱を回収して七階へ行こう」

「了解!」

 皆にそう伝え、俺も宝箱回収に動く。

 恐竜も付いて来てくれた。

 そして宝箱に近付こうとすると、

「グゥ」

 と言った後、俺の首に自分の首をつけて

 止めてくれる。

 どうやら罠があるようだ。

「ブルーム!」

「はい!」

 ブルームはサッと来てサッと解除した。

 中には何か分厚い書物が入っていた。

 俺は恐竜の顔を見ると、特に何も無いようだ。

 手に取りブルームが背負っている

 リュックに入れる。


 暫くして宝箱の回収が終わる。

 中身の報告は後ほどにして、俺たちは七階へ行く。

「うーん、お前恐竜っていうのはどうも良くないから、リウという名にしよう」

「竜から取ったのか?」

「うん、あまりに愛らしい名前も相応しくないし、かと言ってゴツイ名前も何だか違う気がして。どうかな」

「良いんじゃない?リウ、可愛いと思うよ」

「私も良いと思います」

「コウ殿が決めたのであれば」

「ではコウ様、少しリウさんの首をこちらに向けてくださいまし」

 ウーナに言われて俺に寄り添っていたリウの首を、

 優しく促しウーナの前に向ける。

「リウに主神オーディンの加護があらん事を」

 そう言ってリウのおでこに右人差し指を当てた。

 こういう姿を見るとシスターなんだよなぁ。

 あの丸くて刺々しいハンマーが無ければ。

「コウ様、そう見つめられると照れてしまいます」

 冗談めかして言うのかと思いきや、

 シスターの仕事をしている時はウーナは真面目だ。

 俺の方が照れそうになる。

「さ、参りましょうか。日が陰る前に行ける所まで」

「そうだね。皆、出発しよう!」

「おー!」

「グゥ!」

 リウと俺たち一行は七階へと足を進めた。


 


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