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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
第二章・無職で引きこもりだったおっさんは冒険者として生きていけるか!?

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だんじょんびぎなー、地下二階へ

「おい!コウ!しっかりせよ!」

「コウ!しっかり!」

「コウ!」


 今回は絶世の美女ではなく、

美少女の声に目を覚ます。

ファニーとロリーナ、

そしてブルームが心配そうな顔をして

俺を囲んでいた。


「ああ、大丈夫だ。ちょっと頑張りすぎた」

「頑張りすぎたではない!何故一人で洞窟など」

「そうだよ!どうしたのいきなり!」

「うんうん。私以上に無茶だよ」

「そうだな」


 俺は笑いながら起き上がる。


「ちょっと自分の弱さを再認識したくて」

「あれだけ倒しておいてよく言う」

「ホントだよね。あの山凄すぎるんだけど」

「私には無理だよあんなに」


 そうあきれたように言う3人娘に微笑む。

確かに馬鹿な真似だった。

でも意味があった。


「三人とも、今日も頼むよ。俺も頑張るから」


 そう言って立ち上がる。

体力も魔力も回復していた。


「行けるの?」


 ロリーナに問われて俺は頷く。

寧ろ今すぐ行きたい。

皆と一緒に探索したくてたまらなかった。

 

 俺たちは早速洞窟へと入る。

ファニーとロリーナが俺に気を使って、

先頭に立ち、ブルームは脇に付いていた。

準備をあらかた整えて、急いで着てくれたようだ。

有り難い事だ。

一回は先に探索していたので、宝箱が補充されていないか

確認してから、いよいよ未知の地下1階へと下る。

瘴気が少し濃く感じるが、影響は今のところ無い。

皆を見ても、薄気味悪さは感じているようだが、

体調に変化は無いようだ。


「あ、宝箱」


 道を進んでいくと、小部屋に宝箱があった。

昨日までのブルームなら突っ込んでいただろう。

俺に気を使っているのか、確認するように

顔を覗き込んでいる。


「行こう」


 俺はそう行って先に入る。

するといきなり入り口が閉まった。

俺は一人部屋に取り残された。


「コウ!」


 ファニーの声が壁越しに届く。

だが今は目の前の敵に集中する。

今までの魔族より筋骨隆々の奴が何処からともなく

現れた。

だがレッサーデーモンほど大きくない。


「人間クワセロ!」


 あまり頭も良くないようだ。

いきなり飛び掛ってきた。

しかも走って。

次の瞬間落とし穴が出来てそれに嵌る魔族。

俺は近くまで行ってニコッと微笑む。


「マ、待テ!」


 俺はそれを無視して黒隕剣で叩っ斬る。

砂のようにサラサラと消える魔族。

魔族も罠に嵌るとはこの洞窟はこいつらの根城じゃ

ないのか?

どうも腑に落ちない感じがしつつも、

部屋を調べると飛び出た岩があった。

警戒しつつも、押すと壁が消えた。


 落とし穴一つだけだったようで、

ブルームはあっさり解除して宝箱の中身を見る。

すると其処には恐らく誰かが奪ったであろう、

銀貨と銅貨の山だった。

ここまでで一番のお宝だ。

俺たちは顔を見合わせ喜び合う。

しかし量が多い。

リュックを人数分持ってきてくれていたので、

最初は女性陣が俺に気を使ってじゃんけんしようと

していたので、俺はそれを止めて分けて持つ事を

提案してそうした。

誰か一人が持てば、戦闘の際に危険になる。

なら等分して持てば、マシになる。

俺たちは探索を続ける。

一階はどうやらこの洞窟の奥へ誘い込む為の宝箱

だったようで、地下1階はさっきの宝箱のみだった。

そして入り組んでもいないストレートな道になっていた。


「誘い込まれているのか……」


 ファニーがそう口にする。

確かに最初のオオカミといい、イノシシといい。

明らかに通常の行動から逸脱しているように見えた。

そして紫の瞳。

可能性として考えられるのは、魔界へ繋がる道が

最下層にある。

もしくは貴重なアイテムがあるか、その持ち主が居て

地下から養分を取る為に餌をまいているか。

何故口にしないかというと、

ブルームの母親の件があるからだ。

最後に挙げた可能性を口にすれば、

ブルームは突っ込んでいく可能性がある。

そうなると、危険極まりない。

動物を使役するというより、全てを奪い

支配しているように感じた。

この瘴気は魔界へ繋がる道か

あるいは最下層にトンでもないアイテムを

持った魔族がいるか。


「コウ、平気かい?」


 ロリーナが心配そうに顔を覗き込んでいた。


「ああ、問題ない。しかしこの洞窟は深そうだね」

「そうだね。一階二階で終わるようには思えない」

「そうなると、今後敵が強くなるな。ファニー、外は?」

「まだ昼過ぎだ」

「なら帰る道を逆算して夕方には戻ろう。夜は不味い」

「そうだね」

「一度通れば宝箱の補充は無さそうだ。仮に相手が居るなら、こっちは罠に嵌ったわけだし」

「コウはそう見ているの?」


 ブルームがそう尋ねる。

どこか期待しているような感じだ。

恐らく母親の病を治すアイテムは、強い敵の傍にあると

考えているのだろう。


「ああ、強そうなのが待ち受けていると考えている。だから出来れば夜は避けたい。洞窟だから直接の影響は無いと考えがちだけど、万が一もある。出来れば不確定要素だけど避けて間違いは無いと思う」


 そう答えながら前を向き、警戒しつつ進む。

あっさりと地下二階へ行けると思った次の瞬間、

コウモリの群れが突然俺たちの前に現れた。

ただこれは襲われたと言うよりも、何かに怯えて

コウモリたちが逃げてきたように思える。

しかもまだ浅い階層だからこそ、逃げられた。

地下二階はもしかすると、だだっ広くなっていて

何かが待ち構えているかもしれない。

そうなると長期戦は免れない。

タイムリミットまで後少しだ。


「皆警戒しつつ、急ごう。多分この先に居る敵はそう簡単に倒せない」

「そうなると時間が掛かるな」

「だね。逆算して夕方がギリギリのラインだからね。警戒しつつ急ごう」

「はい!」


 俺たちは壁を背に少しずつ降りていく。

確かに瘴気はより濃くなっているように感じる。

薄気味悪さが半端無い。

地下二階に一体何があるのか。

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